七人の無頼漢(しちにんのならずもの)(1956)

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原題は「Seven Men From Now」(今から7人の男)

人殺しをした7人の男が追い詰められて、ひとりひとり殺されていく・・

なんとオープニング主題歌でネタバレ(笑)

そのわりにはリー・マーヴィン以外のならず者に全くインパクトなし(笑)

 

そんなご都合主義のツッコミ系ですが

わずか78分で、西部劇のエッセンスを全て詰め込んでみせたのは

なかなかの職人技

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冒頭、洞窟で野宿するふたり組の男に

チリカウア族に馬を奪われ、雨宿りさせてほしいと現れた男

男は集配所から強盗に金塊が奪われた町から来たと言います

犯人は捕まったのか、訪ねるふたり組

「ふたりは、な」そして男はふたり組を撃ち殺し馬を奪います

(後にも先にも、このシーンがいちばんカッコイイ)

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男が次に出会ったのは、幌馬車が泥にはまり身動きできなくたった夫婦

カリフォルニアのフローラヴィスタに向かうという

グーリア夫妻を助けたストライドランドルフ・スコット)は

グーリア夫妻から旅を同行して欲しいと頼まれます

 

そこに現れたのがストライドを保安官と呼ぶ

マスターズ(リー・マーヴィン)と子分のクリート

そしてマスターズによって、ストライドの過去が少しづつ意味深に

明かされていくのです

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ストライドが選挙に敗れ保安官の職を失ったこと

ストライドの殺された妻がグーリア夫人に似ていたこと

 

こういうハイエナのような役やらせたら、 リー・マーヴィンは一流(笑)

外野から獲物を狙うタチの悪い曲者

だけどどこか本物の極悪人とは一線を引いている魅力があって

チャーミングなのよね

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俺だってグーリア夫人みたいな、器量がよくて料理上手な女と結婚してたら

甲斐性のない旦那より、ずっと頑張って幸せにしてやるのに

ただいい女と、堅気の仕事に縁がなかっただけ

 

一方のストライドも不器用な人間だけど

マスターズと違って女にモテる

それも娼婦とかじゃない、男が妻にしたくなるような美人にばかり(笑)

これじゃあマスターズが僻むのもわかるよな(笑)

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マスターズは度重なる嫌がらせで、ストライドを本気で怒らせ殴られます

腹いせに一足先に目的地の町に入り、主犯格のボディーンと会い

ボディーンが(旅の途中でお金に困っている)グーリアに

金塊の運び屋を頼んでいたことを知ります

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もちろんグーリアはボディーンから頼まれた荷物の中身が

強奪された金塊だとは知りませんでした

ストライドは金塊の入った箱を預かり、町には行かず逃げろと忠告します

お金より、奥さんと命のほうを大事にしろと

 

しかしグーリアは町の保安官事務所に行く決意をします

彼だって、妻にいいところを見せたかったのです

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町に入ったグーリアは、案の定簡単にボディーンに撃ち殺されてしまう

そしてボディーンはストライドがいる渓谷に向かいます

が、ボディーンを仕留めたのはストライドではなく

最初から金塊だけが目的のマスターズでした

 

マスターズはストライドに、グーリア夫人が寡婦になったと伝え

金塊を奪おうとしますが、ストライドの銃声のほうが一瞬早かった

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ストライドは奪われた金塊を持ち主に返し

たとえ補佐でも、再び保安官として働くとグーリア夫人に告げます

 

そしてグーリア夫人は

夫と行くはずだったフローラヴィスタへの出発を突然取りやめ

しばらくこの町に滞在する決意をするのでした

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特に残るものはないけれど、おひとりさまの隙間時間に

サクッと見るのにはちょうどいい

旦那が死んだばかりで不謹慎な話にもかかわらず

粋なエンディングにも、妙に納得させられてしまった(笑)

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さて、今日の名言

人妻の「恋に落ちたからよ」

 

使えるか?

コレ使えるか?(笑)

 

 

【解説】KINENOTEより

愛妻を殺した7人の無頼漢を追う元保安官が主人公の西部劇。バート・ケネディの原作・脚本によって「灼熱の勇者」のバッド・ボーティカーが監督、「中共脱出」のウィリアム・H・クローシアが撮影監督を担当した。作曲指揮はヘンリー・ヴァース。主演は「勇者の汚名」のランドルフ・スコット、「密輸空路」以来久々のゲイル・ラッセル。「攻撃」のリー・マーヴィン、テレビ・スターウォルター・リードらが助演。

7人組の無頼漢に愛妻を殺され、大金を奪われた元保安官ストライドランドルフ・スコット)は、一味を追って馬を進めるうち、幌馬車に乗ったジョン・グリーアとその妻アニイ(ゲイル・ラッセル)と出会い、カリフォルニアの宿場まで同行することになった。駅馬車中継所に着いたストライドは、マスターズとクリントという2人の男と知り合い、彼らも加えて一味の潜むと思われるフロラ・ヴィスタの町へ向かった。翌朝、一行はインディアンに襲われる牧童らしい男を助けるが、インディアンが去って間もなく折角助けた男をマスターズは射殺した。彼は、この男こそ7人組の1人だと、不気味な笑みを浮かべてストライドに告げた。その夜の露営で、マスターズは、しつこくアニイに戯れ始めた。怒ったストライドはマスターズを殴りクリントとともに追出した。そのマスターズはフロラ・ヴィスタの町に入り7人組の首領ボディーンと知り合った。ボディーンは、奪った金をグリーアの幌馬車で運んでくることを漏らし相棒になれとボディーンに奨めた。が胸に一物あるボディーンは即答を避けた。一方、ストライドは単身フロラ・ヴィスタに向かったが、途中ボディーンの部下2人に狙われ相手を倒すが自分も重傷を負った。後から着たグリーアとアニイに彼は助けられたが、親身に介抱するアニイは、夫にすら示さなかった愛情にあふれていた。ところが馬車の中でストライドは、グリーアがボスのボディーンに大金を届ける途中だとアニイに語る言葉から総てのカラクリを知った。開き直ったストライドは、7人組の残りを引寄せるため、金が欲しいならここまで来いとボディーンへの伝言を持たせ、グリーアを町にやった。町で、事の次第を告げたグリーアは直ちにボディーンに射殺された。そして間もなく部下を連れて現れたボディーンとストライドとの間に戦いが始まった。が、ボディーンは後から来たマスターズに射たれ、部下は逃げ去った。ほっとしたストライドがマスターズの助太刀を感謝しようと思った一瞬、そのマスターズが金を寄こせと迫った。大金を独り占めにしようとするマスターズは遂に馬脚を現したのだ。睨み合いの数分、一瞬早くストライドの抜打はマスターズを倒した。家へ帰るストライド。アニイも彼との愛の巣を求めていくだろう。