親切なクムジャさん(2005)




平昌オリンピック、フィギュア男子ショート
羽生 結弦選手が復活、見事な滑りを見せてくれました
普段はまだ中学生のようなあどけない笑顔なのに
リンクの上では”神の子”かと思える銀色オーラに包まれた演技
世界中の人々が彼に魅了されてしまうのもわかります

そして、そんな絶対的王者、羽生選手にも
負けない存在感を見せつけるようになってきた宇野 昌磨選手
羽生選手には及ばなかったけれども、素晴らしい演技を見せてくれました
宇野 選手のキュートな笑顔にイチコロのご婦人も多いはず(笑)



そんな平昌五輪記念、勝手に韓国映画シリーズ第二弾は

このタイトルと画像にすっかり騙されました
てっきり感動を呼ぶヒューマンドラマかと思ったのですが・・

全く違いました(笑)





パクチャヌク監督の復讐3部作の最終作ということ
もちろん前二作は見ていません


20歳で幼児誘拐し殺したという罪で
13年間服役していた主人公クムジャ(イ・ヨンエ
出所した彼女はパティシエの職に就きます
そして密かに、服役中に知り合った仲間たちや
彼女の無実を信じる当時の捜査関係者と手を組み
クムジャを陥れた真犯人に復讐しようとします

出所時に宣教師と思われる人物が豆腐を差し出すますが
韓国では服役を終えると、身を清めるという意味合で

親類縁者が豆腐(白い食べ物)を食べさせる習慣があるそうです
(これがラストの白いケーキの伏線なっていると思います)






刑務所の中でのクムジャは天使のようで、神様について論文発表したり
認知症の老婆(元北朝鮮のスパイ)の下の世話を進んでしたり
独裁的な受刑者に数年に渡り漂白剤入りの食事を食べさせ殺したり
浮気をした旦那と相手を殺して食べた女囚人が
同じ囚人仲間に無理やり性処理をさせているのを見て
石鹸を床に塗り滑り殺すなど同じ受刑者たちから感謝されていました
誰もがクムジャさんの頼みを断る事が出来ない心境になるのです


そこにオーストラリアに養女にだされた
クムジャさんの娘ジェニーのエピソードが入り

宣教師の密告で、真犯人であるペク先生(チェ・ミンシク)に
復讐計画が気付かれ
予想外の反撃を受けますが、どうにか廃校になった校舎に連れ込み
拳銃を突きつけるまでは計画通り




しかしペク先生の携帯に付けられたストラップで
ウォンモ君のほかに3人の被害者がいる事が解り、足に弾丸をぶち込み
ペク先生の家捜しで幼児誘拐の証拠ビデオを発見
殺された4人の子どもの親族を呼び会合を開くのです

確かに私も、もし自分の子どもを殺されたなら
法の擁護で犯人の人権が守られ数年で出所なんて絶対許せない
可能なら殺したい、そういう気持ちになるでしょう
そして、殺しても恨みは晴れないと思います

そこまでは共感します





しかし、復讐のあと、クムジャさんと我が子を殺された親たちが
誕生日の歌を歌い、ケーキを食べるシーンは異様でしかありません
(あのケーキって犯人の血が入ってるんじゃ)

そして払った身代金返還の「入金よろしくね」とクムジャさんに
口座番号の書いたメモを次々に渡すのです
その小賢しさと人間臭さ
(ペク先生の誘拐目的もヨットが欲しいという俗物・・)





贖罪(しょくざい)や復讐がテーマではありますが
横スクロールを多用した映像や、奇天烈な人物像
サラッと人を殺してしまうという
コメディ風なタッチも加わって、さほど暗さは感じません

いとも簡単に人を殺してしまいますが
個ではなく、集団でやりとげるというのは
やはり「恨(ハン)の文化」を感じてしまいます

全てを終えたクムジャさんは
娘の持ってきた白いケーキを受け取り涙にくれます
ラストは感動にもっていくのかなと思いきや


ケーキに顔つっこむんかい・・
それって、どうツッコんだらいいんよ・・(笑)



ただ、凄いと思うのは
幼児誘拐殺害事件という難しいテーマを
まさかのコメディにしたこと
そこには韓国映画界の器の大きさを感じました

そして、こういうブラックな作風は

好きな人は、好きだと思います


【解説】allcinemaより

復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」に続くパク・チャヌク監督の“復讐三部作”完結編。「JSA」「宮廷女官 チャングムの誓い」のイ・ヨンエを主演に迎え、無実の罪で服役した一人の女性の壮絶な復讐の物語が描かれていく。共演は「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシク
 天使のような美貌の持ち主クムジャは、ひょんなことからペク先生に幼い娘を人質に取られ、彼が犯した幼児誘拐殺人の罪を背負わされて投獄される。刑務所では誰に対しても優しい笑顔を絶やさず、“親切なクムジャさん”と慕われていた。しかし、彼女の目的はただ一つ、ペク先生に復讐を果たすこと。そして13年の服役の末、ようやく出所した彼女は、かつて恩を売った囚人仲間のもとを訪ね、ペク先生への復讐へ向けて周到な準備を進めていく…。