原題は「Shoot Out」(決闘)
ジョン・スタージェスの「ガンヒルの決斗」(1959)とは
全く関係ありませんでした(笑)
ヘンリー・ハサウェイ最後の西部劇
プロットは「勇気ある追跡」(1969)
+「ペーパー・ムーン」(1973)という感じ
銀行強盗で7年の刑を食らい出所した
クレイ・ローマックス(グレゴリー・ペック)は
彼を裏切り金を奪った相棒のサム(ジェームズ・グレゴリー)に復讐するため
ガンヒルの町に向かおうとするのですが
金を貰おうとした昔の恋人から「あなたの子よ」と
生意気な6歳の女の子を託されてしまいます
預け先をあたってみたものの
(女の子は働き手にならないと)断られてしまい
結局一緒に旅をすることになってしまいます
このデッキ―(ドーン・リン)という女の子がなかなか賢い
「おじさんはパパ?」と尋ねるけど、クレイは確信持てません
でも刑務所に入る前と出た後、年月的にはあっている
足手まといだと思っていたけど、ちゃんと馬にも乗れる
そんなふたりのキャンプのシーンが微笑ましい
沼に投げ込まれ石鹸で洗われる
「ホーキー ポキー エル スエノー」のおまじない
フライパンのホットケーキが上空で消え、再び現れる
迷子になった野生の子馬が、再び母馬のところに戻る情景
だんだんと本当の娘のような愛情が湧いてくる
途中(寂しいキッチンドランカーの)未亡人と
素直そうな息子が経営する牧場に宿を求めると
母子はふたりを歓迎してくれました
しかし休息できたのもつかの間
そこにサムがクレイを連れてくるよう雇った、自称三銃士が現れ
クレイは囚われの身となってしまいます
その中でもボビーという親玉格のチンピラが下衆なんですね
デッキ―相手に、わざと震える手で
ウィリアム・テルのまねごとをしたり
それを止めようとした情婦を撃ち殺したり
デッキ―を誘拐し、仲間たちまで殺す
隙を見てデッキ―は逃げ出したものの
クレイに追われ、報酬を受け取るために逃げ込んだ
サム(町の名士になっている、そしてクレイに償おうとしている)の家で
サムを殺したうえ彼の金庫の中身まで奪おうとします
しかし欲に駆られたせいで無防備になってしまい
かけつけたクレイに気付くのが遅れてしまいます
クレイは家政婦に命じ、ボビーの頭の上にリンゴを乗せさせ
ボビーがデッキ―にしたのと同じように
ウィリアム・テルのまねごとをします
次は小さなグラス、次はもっと小さな薬莢
そしてわざと手を振るわせるのでした
(因果応報って本当にあると思う)
そして、ついに恐怖に耐えきれず
銃を抜いたボビーを仕留めるのです
(クレイと和解する前にサムが死んでしまったのは残念だけど)
クレイが再び未亡人を訪ねると
デッキーは無事に牧場に戻っていました
再び「パパなの」と尋ねるデッキ―
「またその質問か」とはぐらかすクレイ
「じゃあ、なぜ戻ってきたの?」
「さあ、なぜかな」
本当に血が繋がっているかどうかなんて
今さらどうでもいいこと
本物の家族になることのほうが大切なのだから
ハリウッド映画は、こういうおませな少女を描くのがうまい
それだけでも見る価値がある
誰でもその可愛らしさの虜になってしまいます
そして今度は、未亡人とその息子のためにも
甘いホットケーキを焼いてあげてほしい
「ホーキー ポキー エル スエノー」
魔法のおまじないと一緒に
【解説】KINENOTEより
復讐心にたぎる男に、絡みつく女心と澄んだ子供心。製作はハル・B・ウォリス、監督は「勇気ある追跡」のヘンリー・ハサウェイ。ウィリアム・ジェームズの原作をマーゲリット・ロバーツが脚色、撮影は「ロンメル軍団を叩け」のアール・ラス、音楽はデビッド・グルーシンが各々担当。出演は「レッド・ムーン」のグレゴリー・ペック、パット・クイン、ロバート・F・ライオンズ、スーザン・ティレル、ジェフ・コーリー、ジェームズ・グレゴリー、リタ・ガムなど。