グッバイ、レーニン!(2003)

 
広い宇宙からすれば地球はちっぽけな星
資本主義とか社会主義などと対立したり
東と西に分かれていがみ合わず
家族の思い、人々の思いが通じ
皆仲良く暮らせればそれに越したことではないか
 
 
私がこの母親と同じ立場だったら
やはり息子に「素晴らしいわ」と伝えるでしょう
全て嘘だと知っていても
 
 
ドイツ統一で社会や生活が変わっていく様子を、東ドイツ側から見つめた作品
歴史的、政治的な出来事がテーマだと
批判めいて重苦しい作品がどうしても多いですが
ここでは家族愛を軸に、質の良いヒューマンドラマになっています
 
心臓発作で母親が昏睡中に東西ドイツが統一
東ドイツにはあっという間に西側の文化や物資が入ってきます
母親が目が覚めた時、息子のアレックスは母親がショックを受けないよう
東ドイツ崩壊を隠すことにしました
母親は熱狂的な社会主義教育者だったのです
 
 
 
東ドイツ風の部屋に戻し、東ドイツの食料を探す
偽のニュース番組を作る
息子が突き通す嘘は、社会主義プロパガンダそのもの
でもそれは母親への純粋な愛情によるものなのです
 
レーニン像の空輸や、コカ・コーラのポスターなど
絶対バレる場面でも、騙し続ける根性には感心します(笑)
 
まわりの人々も皆、やさしいのです
乗り気じゃない姉、看護師で恋人のララ、校長先生
テレビ局の友人
 
 
 
そして亡命した父親の登場で、母親も嘘をつき続けていたことがわかります
当局から目を付けられていた家族を守るために
父親は西側の女性と駆け落ちしたことにしたのです
そして社会主義活動に身を捧げたのです
 
最後、テレビのニュースではなく、アレックスの顔を見つめる母親
ここは感動するシーンですね
そして騙されたふりをしたまま逝ってしまうのです
嘘だとか、本当より、大切なことがあります
 
 


この作品がヨーロッパで高い評価を受けているのは
東ドイツの旧体制時代を知っている人々が見たら
きっと懐かしいものがあるのでしょう
 
いろいろな共産党グッズが登場しますし、トラバンドも走ってる(笑)
物やお金がなくても、東西統一に燃えていたノスタルジック
日本人がこの映画を見るより、感慨深いものがあると思います
 
 
ユーモアと、切なさと、皮肉さがちょうどいいバランス
気になるのは、東ドイツのピクルスは美味しかったのかなということ(笑)
 

【解説】allcinemaより
東西ドイツの統一という時代の波に翻弄される人々の悲喜劇を笑いと涙で綴ったファミリー・ドラマ。東ベルリンを舞台に、昏睡中に東西ドイツが統一され、意識を取り戻した母が再びショックを受けないよう、消滅前の東ドイツを必死に見せ続ける息子の奮闘をユーモラスに描く。監督は本作が長編2作目となるヴォルフガング・ベッカーベルリン国際映画祭で最優秀ヨーロッパ映画賞受賞をはじめさまざまな映画賞に輝き、本国ドイツで歴代の興行記録を塗り替える大ヒットを記録。
 1989年、東ベルリン。テレビ修理店に勤める青年アレックス。彼の父は10年前に家族を捨て、西側に亡命した。一方、母クリスティアーネは、その反動からますます愛国心を強めていく。そんなある日、秘かに反体制の考えを持っていたアレックスが反社会主義デモに参加。その結果、警察と衝突するところを偶然目撃したクリスティアーネはショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。その間にベルリンの壁が崩壊、統一ドイツは資本主義国家となる。やがて8ヶ月後、クリスティアーネは奇跡的に覚醒するのだが…。