忘れられし愛(2013)

原題は「Znachor」(インチキ)

原作はポーランドでは有名な

タデウシュ・ドウェンガ=モストヴィッチによる小説で

3度目の映画化ということ

ポーランド人にとってとても馴染みのある物語なんですね

大雑把にいえば「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン

記憶喪失になってしまい「ブラック・ジャック」になった話

(大雑把すぎてポーランド人に怒られるわ)

中盤まではすごくいい

冷酷な出世主義者、腐ったエリート、社会的差異とは対照的に

田舎の生活や食事や民族舞踊を描いていく

医療現場の白衣から、庶民の衣装までデザインもすごく凝って

見ていて飽きることがありません

ただ終盤にさしかかってのクライマックスが

ヒロインが(最初は軽蔑していた)伯爵のどこに惚れたのか

(イケメンで金持ちだから?)

あれほど結婚に反対していた伯爵の母親が心変わりしたり

極めつけは突然主人公の記憶が戻るという急展開

(オープニングのぬいぐるみを伏線にしてほしかった)

大切なところは省略して、余計な部分は長くするNetflixあるある(笑)

(文芸作品としてもっと良く出来たはずなのに)実に惜しい

 

とはいえ映像は驚くほど美しく、趣もあり

日本人大好き系のストーリーなので

ポーランドブラック・ジャックだから 笑)

Netflix加入の方はぜひご覧ください

ワルシャワの裕福な教授で天才外科医のラフィア・ヴィチューラ

ある日、愛する妻が幼い娘メリーシアを連れ

愛人の森林官のもとへ去ってしまい

失意のラフィアは酒を飲み、酔ったところを強盗に襲われ

頭に大怪我を負ってしまいます

ラフィアはそのまま行方不明になり、死んだことになります

15年後、アントニ・コシバと名乗る記憶のない男がある村にたどり着くと

製粉工場の未亡人に雇われながら、村の人々を無償で治療するようになります

彼こそがラフィアで、村にはかって生き別れになった愛娘マリアも

大学に進学するための学費を稼ぐためユダヤ人の食堂で働いていました

ラフィアは重傷を負ったメリシアを実の娘と知らないまま

村の訪問医から盗んだ器具で、困難な脳外科の手術に成功しますが

(盗みと無免許で)裁判にかけられることになります

しかしラフィアに後悔はありませんでした

有罪になる覚悟ですべての罪を認めます

そこにラフィアと製粉工場の女将との大人の関係

メリシアとレシェク伯爵の身分の差恋

レシェクに嫉妬するメリシアの幼馴染

(レシェクのバイクに細工をし事故を起こさせる)

レシェクとマリアの結婚を反対するレシェクの母親

(バイク事故でメリシアが死んだとレシェクに嘘をつく)

という感情の揺らめきが描かれていきます

ラストは、父娘でW結婚式という大円団(笑)

旧ナントカ教会の合同結婚式は気味悪いけど

こんな合同結婚式なら素敵よね


しかも、続編ありきと制作されているようで

ラフィアの助手だったイェジ・ドブラニエツキが

なぜラフィアが暴漢に襲われているのを目撃しながら見捨てたのか

コシバが裁かれる裁判でも、彼がラフィアと知りながら評言しなかったのか

その理由が明らかになると思います

(なぜなら想像がつくから 笑)



【解説】映画.COMより

かつては有能な外科医として尊敬を集めていた男は、家族に去られ、記憶まで失ってしまう。だが、過去とともに忘れ去った人との再会をきっかけに、人生を取り戻すャンスを得る。出演:レシェク・リホタ、マリア・コヴァルスカ、イグナツィ・リス

Netflixで2023年9月27日から配信。

2023年製作/140分/ポーランド
原題:Znachor
配信:Netflix
配信開始日:2023年9月27日