原題は「Touchez pas au Grisbi」（現金に触るな）
原作はギャング出身のアルベール・シモナンの同名ベストセラー小説
老いを迎え引退を考えている昔気質のギャングと
目的のためには手段を選ばない新興ギャングとの
金塊にまつわる抗争をメインに
ギャングたちの酒に女にクラブ遊びといった
日常が描かれていきます
なかでもいちばん萌えるのが、おじさん2人のお泊まり会（笑）
ワイン飲んで、ラスクを食べて、おソロのパジャマに着替えて
「歯磨き粉そこな」とか「お前はベッドで寝ろ」とか
イケオジが無駄に可愛すぎる問題（笑）
私もギャバン御大とパジャマパーティしたいっ！
だけどラストはやはり渋い
モノクロの画面に、黒と白のクラシックカー
夜の道路で引き渡される金塊、でもそれで終わりではなかった
機関銃が炸裂し、手榴弾が爆発する
そっと死んでいく仲間
これぞフレンチ・ノワール
馴染みのレストランで食事する
ギャングのマックス（ジャン・ギャバン）と相棒のリトン（ルネ・ダリー）
マックスの愛人ローラと、リトンの愛人ジョジィ（ジャンヌ・モロー）は
ナイトクラブで働く踊り子
ダンスを見に来て欲しいとねだられるものの
そんなことより早く寝たいお年頃のマックス
マックスは最後の仕事として、オルリー空港から５千万フランの金塊を強奪し
（自宅地下の新車のトランクに隠している）ほとぼりが冷めたら換金して
やくざ稼業を引退するとリトンに打ち明けます
不注意なリトンはそのことをジョジィに漏らしてしまいます
ところがジョジィはリトンと、マックスと対抗する麻薬組織のボス
アンジェロ（リノ・ヴァンチュラ）と二股をかけていました
（ジャンヌ・モローの、若いころから曲者の香りがプンプン 笑）
マックスとリトンは金塊の存在を知ったアンジェロから
付け狙われる事になります
本作がリノ・ヴァンチュラ（本名のリノ・ボリニでクレジット）の出世作
プロレスラーを怪我で引退したヴァンチュラが
オファーを断るつもりで「ギャバンと同額のギャラ」を要求したら
なんとオーケーが出てしまい（笑）
演技指導も受けないまま主演したそうです
人生ってどう転じるかわからないものですね
リトンは独断でアンジェロと対決しようとしますが、逆に拉致されてしまい
アンジェロはリトンと引き換えに金塊を渡すよう
マックスに持ち掛けます
リトンが馬鹿なんですよ
でもマックスは彼を見捨てることが出来ないんですね
アンジェロもリトンがマックスの泣きどころであることを知っている
マックスはリトンを救うため旧友のピエロ（ポール・フランキュール）と
マルコ（ミシェル・ジュルダン）に助けを求めると
（罠に備え）武器を携えることにします
約束の夜、リトンと金塊の交換が行われ
取引は成功したように思えました
しかしその時、別のアンジェロの手下3人が現れ
マックスの車に手榴弾を投げつけたのです
マルコが犠牲になり、マックスとピエロがサブマシンガンで応戦します
車で逃げようとするアンジェロでしたが、銃弾を受け事故に遭い
手榴弾を手に反撃しようと車から出たところをピエロが射殺します
同時に手榴弾が爆発し金塊が積まれた車が炎上
マックスは金塊を取り戻すことが出来ず
リトンは胸に銃弾を受けてうなだれていました
翌朝、医者の処置を受けたリトンはマックスに
「大丈夫だから」と、食事をとりに行くよう勧めます
ベティ（彼女も愛人）を伴い、レストランへやってきたマックス
そこにピエロの妻から電話がきて、リトンが死んだことを知らされ
ショックと諦めに襲われます
それから何事もなかったようにベティのいるテーブルへと戻ると
マックスのお気に入りの曲が流れてきたのでした
何がって、名作には名わき役あり
結局ピエロがいちばんカッコよかった（笑）
演じたポール・フランキュールは（特徴的な声で有名）
その後もジャン・ギャバンやリノ・ヴェンチュラと友好を深め
多くの作品で共演したそうです
【解説】映画.COMより
フランスの名匠ジャック・ベッケル監督によるギャング映画の傑作。初老のギャング、マックスと相棒のリトンは、パリの飛行場から5千万フランの金塊を強奪することに成功する。2人はこの仕事を最後に暗黒街からの引退を考えていたが、リトンがナイトクラブの女にうっかり口をすべらせたことから、麻薬密売のボス、アンジェロに目をつけられる。ジャン・ギャバンが初老のギャングを見事に演じ、ベネチア映画祭主演男優賞を受賞。
1954年製作／92分／フランス・イタリア合作
原題：Touchez pas au grisbi
