ラムの大通り(1971)

原題は「Boulevard du Rhnm」(ラム通り=実際にあったラム酒の密売ルート)

1920年代の禁酒法アメリカで

密売酒を運ぶ船の船長リノ・ヴァンチュラ

サイレント映画のスター、ブリジット・バルドーに恋をしてしまう

 

だけどこの恋は本物だったのか、それとも夢か幻だったのか

ニュー・シネマ・パラダイス」を彷彿させる

スクリーンを見つめ涙を流すラスト

場面ごとに優雅な衣装に身を包んだBBが歌って踊る

BBのひとりファッションショー

長いキセルを粋にくわえて、かっこいいですねえ

愛人をオークションにかけるような悪女ですが

なんとも憎めない

問題はBBが登場するまで40分以上かかるうえ

眉毛をどこにやった(笑)

おそらくグロリア・スワンソン

(ハリウッド女優として初めて貴族と結婚した)ポーラ・ネグリ がモデルで

当時流行りだった蛾眉(蛾の触角のような細い眉=転じて美人のこと)を

真似たのでしょうが、BBには似合わなかった

映画のジャンルも支離滅裂だけど(笑)

ラストまで楽しい

BBも毎度のことながら惜しげもなく(引退する2年前の37歳)

抜群のプロポーションを披露しています

ラム酒を密売する船の船長コルネリュウ

通称コルニー(リノ・ヴァンチュラ)は

アメリカ沿岸警備船に襲撃され船は沈没

国境に近いメキシコの海岸に漂着します

 

たどり着いた食堂で、食事と皿洗いの仕事にありつくと

店主から大金が手に入ると「暗闇撃ち」の賭けに誘われます

アメリカ人の裕福な10人の男が、弾丸一発を5百ドルで買い

暗闇に立つ人間を撃ち、灯りを点けてまだ生きていたら

4千5百ドル手に入るという話(5百ドルは店主の手数料)

危険すぎると、いったんは断ったコルニーですが

海が恋しいし、船も欲しい

一気に酒を飲み干すと、命を賭けることに挑みます

「暗闇撃ち」は10回も繰り返され、コルニーは全身撃たれながらも

4万5千ドルを勝ち取り

「Lady of Heart(わが心のレディ)」という名の船を手に入れます

それから半年後、コルニーはジャマイカキングストン港にいました

「ラム通り」を仕切るサンダース提督は早速彼に次の仕事を依頼します

コルニーはそれより先に女の子とのデートがしたいと出かけると

スコールに遭い、映画館でひとり雨宿りすることにします

そこでは「恋する女豹」という映画が上映されており

うる星やつら」のラムちゃんか、ドロンジョさまか(笑)

野生の美女リンダ・ラルー(BB)が

原住民に捕らわれた文明社会の男に恋してしまい

さらにキングコング(コルニーのあだ名)というか

ニコングが原住民からふたりを助け出す(笑)

というクライマックスでフィルムが焼けてしまい

映画館が火事になってしまいます

どうしても「恋する女豹」の続きが観たい!と出航したコルニーは

(フランス領だった)ハイチのポルトープランスまで行き、続きを見て

次のパナマではギャング映画を見て、心底リンダの夢中になります

一方、消息不明になっていたコルニーを見つけたサンダースは

7千本のラム酒をフロリダ西海岸ホワイト・ウォーター湾まで運び

(後で回収するため)海に沈めることを命じます

 

その日酒に酔ったコルニーは、海辺で泳ぐ女性を見つけます

リンダに似ていると、まさか本人だとは思わずに

彼女にリンダと映画の素晴らしさを語るコルニー

その夜、コルニーの泊まるホテルに

リンダからパーティーへの誘いの電話が入ります

リンダは愛人を仲間うちでオークションにかけるような悪女でしたが

なぜか憎めない

 

コルニーの純朴さに惹かれ

関係者たちが、ふたりを引き離そうとした偽の手紙のせいで

かえって愛し合ってしまいます

リンダは「わが心のレディ」号に乗りこみ、船員たちと共に西海岸に向かい

密告者のせいで沿岸警備船に追われると

英国船のハモンド侯爵(クライヴ・レヴィル)が

舵を取るリンダに一目惚れ

「わが心のレディ」号の盾となり沿岸警備船から救ったうえ

リンダにプロポーズします

リンダはハモンド侯爵が高貴な身分というだけで、結婚を承諾

そこでコルニーはリンダが1週間以内に自分のところに戻り

「ネンゴロ」になると、ハモンド侯爵と「暗闇撃ち」をする賭けをし

そのことはリンダには内緒だと約束します

1週間後、リンダはコルニーの許に戻ってきます

ハモンドは潔く負けを認め「暗闇撃ち」を行いますが

コルニーらが用意していたのは実弾を使わない号砲でした

(映画の撮影や、運動会のスタートで使うやつ)

名誉を重んじるハモンドは、今度は決闘を申し込みます

その間リンダはハリウッドの映画会社のスタッフに誘拐され

コルニーとハモンドは(間抜けな決闘中)

沿岸警備隊に逮捕されてしまいます

それから6年後、禁酒令が解禁となりコルニーとハモンドは釈放され

酒場にビールを飲むため集まる仲間たち

しかしハモンドは、まだ決闘を諦めておらず(笑)

やがて乱闘になると、酔ったコルニーはリンダのポスターを見ます

コルニーが映画館へ飛び込むと、そこはカリブ海

「愛の歓び」を歌い(コルニーそっくりの)男の肩に乗るリンダの姿

コルニーは夢でも見たかのように、涙を流すのでした

酒と、女と、海と、映画と、哀愁・・

という、男が大好きなものてんこもり(笑)

イタリア映画ならここで幕を閉じ、しんみり余韻に浸るのでしょうが

ダメ出しの掃除のおばちゃん登場(笑)

コルニーは客席から追い出されてしまいます



 

【解説】洋画専門チャンネル ザ・シネマより

町山智浩VIDEO SHOP UFO『ラムの大通り』

https://www.youtube.com/watch?v=E2psYAvmrZE&t=37s