レナードの朝(1990)

 
 
年月を経ての2度目の鑑賞
 
若い頃は、結局は元の姿に戻ってしまったラストに
患者たちやその親族に、より残酷な思いをさせたのではないかと
あまりいい気持がしませんでした
 
でも、感動的な出来過ぎたラストより
この切なさこそが人間らしさであって
この作品のいいところなのかもしれません
 
研究ヲタクで世間に疎い学者であるセイヤーが
重度の慢性神経病患者を扱う病院の医師として働くことになります
最初は患者の奇怪な行動に驚くばかり
でも、人との付き合いは苦手なセイヤーでしたが
物言わぬ患者とは意外とうまく付き合えるようになります
そして、彼らにはちゃんと意思があるのだと確信していきます
 
その中でも、30年間眠り続けている最も重症な患者
レナードにパーキンソン氏病用の薬を使おうと決断します
そしてレナードは目覚めるのです
 
デ・ニーロの怪演は言うまでもなく見事なのですが
他の俳優さんも皆、演技が素晴らしい
看護師たちのやさしさがわかりますし
患者たちの喜びや戸惑い、恐怖が伝わります
 
10代や20代だった自分がいまはすっかり老いてしまった
元気になったからといって退院もできない
自由もない
 
なんとか病院から患者を連れ出そうとするセイヤー
行ったのはサボテン公園・・・小学生の遠足かよ(笑)
 
 
 
 
 
このまま回復していくと思った
心も成長していけると思った
恋だってできると思った
でも違った
 
レナードがポーラとのダンスシーンだけでは
震えが止まるのにはジーンとくる
 
自分のしたことは正解だったのか
悩むセイヤーを看護師のエレノアは慰めます
 
でも真夜中にコーヒーって・・
せめて食事かお酒に誘おうよ
さすが、セイヤー(笑)
 
 
希望を与えるということは
再び絶望を与えかねないこと
でも、希望がなければ人生に明るさはない
 
ほんの短い期間だけれど
患者たちは取り戻した人生を謳歌した
そう信じたいですね
 

 
【解説】allcinemaより
 オリヴァー・サックスの実話を基に、治療不能の難病に挑む医師の奮闘を、一人の重症患者との交流を軸に描いた感動のヒューマン・ドラマ。30年間昏睡状態だった男レナードが、奇跡的に意識を回復した。セイヤー博士の治療が功を奏したのだ。博士はその治療を、他の患者にも適用してめざましい効果をあげるが……。二人の怪優に囲まれながらも、女流監督ペニー・マーシャルの演出は良好。寝たきりだった患者たちが次々に起き上がる場面には否応なしに感動を覚える。デ・ニーロは非情に難しい役柄ながらも、彼にしかできないであろう見事な演技を見せ、正に快演。しかし、観る物が役そのものよりも“演技”の方に注目してしまう、あまりに巨大になった演技派としての自身のレッテルを打ち破れたかは疑問。ウィリアムズはその快演にたじろぐ様子も無く、自らのキャラクターを存分に生かし役者としての力を見せつけた。