春との旅(2009)

 
 
 「辛いから生きるのよ・・」
 
 
頑固で気難しい、足の悪い
孫娘とふたり暮らしの老いた元漁師。
 
私には幸せな老後に思えましたね。
もし自分が年老いた時のことを考えてみたら、どうでしょう?
 
少子化の現代。
訪ねて泊まれる兄弟姉妹の家なんてほとんどの方がないでしょう。
まして面倒を見てくれると笑顔で言ってくれる嫁や孫がいるなんて
宝くじが当たるのと同じくらい夢のまた夢のような気がします。
 
孫娘の春の勤め先の学校が廃校になったため、都会に就職させてあげたい。
今まで孫娘の世話になっていたおじいちゃんの忠男は
これからは自分の兄弟に面倒をみてもらおうと
親せきを訪ね歩く、そんなロードムービー
 
そりの合わない兄、悪だけど可愛い弟、どうしてもかなわない強い姉・・
そして母と離婚し違う女性と再婚した春の父親へとふたりは向かいます。
 
でも本当は、忠男は自分が世話になる先を探すと言いながら
春のため親戚の家を巡ったのではないでしょうか。
 
忠男は自分の死を予感していたのです。
自分が死んだら春には身寄りがなくなってしまう・・・
 
もしかしたら春には忠男と同じく足の障害があるかもしれません。
だから周囲にクソ爺のまねをしてでまで
春は苦労しているんだと
春に何かあったら助けてくれと
そう親戚に伝えたかったのだと思います。
 
しかし映画としては、何か調味料がたりませんでした。
演出があまりよくなく、展開が説明不足に感じるのです。
見せ場での音楽も煩すぎてセリフが聞き取りにくい。
 
仲代達也さんも漁師というより、インテリ教授のような風貌ですし。笑
ベテラン俳優さんたちが名演技を披露しているというのに
非常にもったいないの一言です。
 
でも名優さん達の演技はやはり素晴らしい。
特に80歳はとうにオーバーしている淡島千景姉さんの
綺麗で色っぽいこと!
何歳になっても女性らしさは忘れてはいけませんね。笑
 
映画自体の出来はイマイチでしたが。笑
でももし、気の合わない親戚から面倒なことを頼まれたらどうしようとか
もし自分の老後、身寄りがなくなったらどうすべきとか
そんな将来をリアルに考えてしまう・・
そういう作品ではあるでしょう。
 

 
【解説】allcinemaより
 「バッシング」「歩く、人」の小林政広監督が、自ら著わした同名原作を豪華キャスト競演で映画化した感動ドラマ。身の拠り所を求めて疎遠の親類縁者を訪ねる旅に出た老漁師と孫娘が、次々と再会を経る中で浮き彫りになる過去の事実や確執に否応なく向き合っていく姿とその人間模様をリアリスティックに描く。主演は「白い犬とワルツを」の仲代達矢と「アキレスと亀」の徳永えり
 4月の北海道・増毛。寂れた海辺のあばら家に暮らす老漁師・忠男と孫娘・春。若い頃から北海の漁師一筋に生きてきた忠男も今では妻を失い、財産もなく、足が不自由となり、独りでは生きていけない身となっていた。一方、春は、数年前に母を亡くして以来、忠男を支えるため地元小学校の給食係として働きながら生計を立てている。しかし、ある日小学校が廃校となったことから春が失職してしまい、彼らの生活もいよいよ行き詰まってくる。そこで2人は、忠男の受け入れ先を求めて、疎遠となって久しい忠男の姉兄弟たちを訪ね歩く宮城各地への旅に出ることに。だが、行く先々で再会する姉兄弟はそれぞれの事情で忠男の面倒を見るどころではないうえ、過去の軋轢も再燃し、彼らとの愛憎や葛藤に直面する羽目になる忠男。そんな彼の姿を目の当たりにし、長く離別している父親に再会したい思いが芽生えた春。そして彼女は忠男と共に、後妻と暮らす父の牧場へと向かう…。