穏やかな暮らし(2010)





「私は何人も殺した
 転向し、息子も家族も信用も捨てた
 神は新しい人生をくださった

 でも今、それを取り上げようとなさる
 神は人を助ける気などないのだ」



未公開作品のイタリアン・フィルム・ノワール
監督も主演者も知りませんでしたが
演技に評価のある俳優をキャスティングし
最小限のセリフ、表情などのしぐさで
作品を見せるようにしたそうです
ヨーロッパ映画にはそのような作品が多いですね

ドイツの田舎町のレストランのオーナー、ロザリオ
そこに親戚と名乗るディエゴとその友人のエドアルドという
ふたりの若いイタリア人が訪ねてきます

快く部屋を貸し、食事を与えるロザリオ
愛おしそうにディエゴを見つめる眼差しに
このふたりはきっと親子なんだということが想像できます

だけれど実のところ、ディエゴとエドアルドはギャングであり
廃棄物利権で対立するドイツ人実業家を暗殺する依頼のため
ロザリオの家を隠れ蓑に利用しにやってきただけなのです
(イタリア旅行した友人から、イタリアの廃棄物利権は
イタリアンマフィアが牛耳ってると聞いたことがあります)

しかしディエゴの身を守ろうと
ロザリオはエドアルドを殺してしまいます
だけど、それを組織が見逃すはずはない
さらにはディエゴの命までを失ってしまう


こんな結末もあるのですね


妻と子を助けるため
そして自分が生きるため
再び行方をくらますロザリオ

でもそれは身勝手で

男だけが自由だから
できること


イタリア、ドイツ、フランス、それぞれの文化の
エッセンスを味わえる作品でしょう



【内容紹介】Amazonより
【2011イタリア・アカデミー賞作品賞他4部門ノミネート】【ローマ国際映画祭最優秀男優賞・最優秀イタリア人俳優賞】【イタリア映画記者協会賞 最優秀新人賞】【イタリア映画祭2011上映作品】 15年ぶりの息子との再会に過去を葬った男の心が揺れる。非情の掟に生きる父子の宿命と悲哀を抑制のきいたタッチで描きだす、骨太イタリアン・ノワール! <ストーリー>ドイツの田舎町でホテル・レストランを営むロザリオは、妻と幼い息子と満ち足りた暮らしをしていた。だが、ある日、2人のイタリア人の若者ディエゴとエドアルドが訪れたことで、平穏な生活は一変する。ロザリオは、ディエゴが15年前イタリアに置き去りにした実の息子であることに気づく。しかも、2人の若者は、ドイツでのゴミ処理施設建設にからむ要人暗殺のため、南イタリア暴力組織カモッラが送り込んだヒットマンだった…。