イタリアでは「ゴッド・ファーザー」「ゴモラ」と並ぶ傑作と絶賛され
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(イタリアのアカデミー賞)では
作品賞、監督賞、脚本賞他9部門受賞ということ
しかしエンターティンメント性はゼロでした(笑)
マフィア映画というより、人間ドラマでしょう
昔から根強い影響力がある場所なのだそうです
イタリア人なら常識なのかも知れませんが
イタリアのマフィア事情がわかりませんので
最初の30分はほとんど理解できませんでした
この作品に関しては、解説などを読んでから
鑑賞したほうがいいかも知れません
ミラノに住むドラッグディーラーである(三男)ルイジと
その金をもとに事業を展開している実業家の(次男)ロッコ
一家で(長男)ルチャーノだけはカタギで、生まれ故郷で
ヤギを育てたり農作物を育てたりをしています
家族には祖父が殺されたという過去がありました
それは敵対するドン・ペッパ一一家と揉めたせいでした
そんな昔からドンとは確執があるものの
ルチャーノは平穏に暮らすことを選びます
しかし息子レオは違いました、父親を腰抜けと軽蔑し
ルイジ叔父さんのほうを尊敬しています
レオはいざこざをおこしドンと関係のある店を銃撃し
ルイジ叔父さんを頼りにミラノに逃げます
一方のルチャーノは、ドンに呼ばれ
レオのしたことに落とし前をつけるように警告されます
穏便に済ませようとするルチャーノ
なのにルイジはドンと敵対するために
地元に戻ってきてしまうのです
案の定、ドンの怒りを買い
ルイジは殺されてしまいます
悲しみと憎しみにくれるルチャーノとロッコでしたが
相手は大物、慎重に考え行動することを選びます
しかし、またしてもレオが勝手な行動をとってしまうのです
ラストでルチャーノの起こした行動は
いままでのマフィア映画を覆すものでした
それは自分のバカ息子がしたことに対するけじめであり
負の連鎖を終わらせる、唯一の手段だったのです
この作品を見てわかるのが
イタリアでは普通の家庭がマフィアだったりするのだなということ
たとえカタギになったとしても、ファミリーとの縁は切れないということ
ただ、殺人事件があっても警察が動くのではなく
個人で復讐しようとするのは、今の時代でもありなのでしょうか
警察も「どうせマフィアの抗争だから」とスルーなのかしら
撮影は素晴らしいと思います
田舎を走る黒いメルセデスの異質さや
人物描写もキマっていて、とても味わいある
おかげで退屈な作風の割には、睡魔に襲われませんでした(笑)
渋くて、ちょっと風変わりな映画が好きな人にはいいでしょう
【解説】WOWOWオンラインより