「80過ぎてはじめてわかることがある」
作家であり料理家である辰巳芳子さんのドキュメンタリー作品。
辰巳さんのお料理教室にはたくさんの生徒が来ます。
そこで彼女は「料理」を通じて「生きること」「愛すること」を伝えます。
私はあまり食べることに興味があるほうではありません。
ジャンクフードも食べますし、お酒も飲みます。
確かに生きることにもあまり執着がないですね。
もし自分が病気になったら、延命治療などしないで尊厳死したいと願います。
でも映画は説教くささをあまり感じることもなく
最後まで楽しんで鑑賞することが出来ました。
辰巳さんのような女性の作るお料理は絶対美味しそうです。
決して食器や盛り付けがオシャレじゃなくても
素朴でちょっと甘くてやさしい味がする、そんなイメージが湧きます。
そしてその姿には多くの人がたぶん
自分の「おばあちゃん」や「おかあさん」を思い出すと思うのです。
買い物の時も料理を作るときも
常に家族の好物や健康を考えるのです。
美味しいって喜んでもらいたい
お腹いっぱいにしてあげたい。
お料理には気が付かないうちに
愛情のスパイスが入っているものなのでしょう。
作品の中では辰巳さんが父親のために作った「いのちのスープ」が
ときに命をも左右するくらいの影響があると病院や医療機関の間で広がり
患者さんにも提供することになります。
スープを飲んだ人々の幸せそうな顔、美味しいという言葉。
身体に良いものを美味しく摂るためにはどうしたらいいのか?という
辰巳さんの料理への探求心の賜物だと思います。
辰巳さんの鎌倉のおうちも素敵でしたね。
広いお庭があって、ロハスな女性が憧れるような佇まい。
キッチンもお洒落で落ち着いていて、それでいて使いやすそうで。
奥さん、チェックです。笑
【解説】allcinemaより
料理研究家・辰巳芳子の活動を追ったドキュメンタリー。病床の父のために様々な工夫を凝らしたスープを作り続けた辰巳芳子。やがてそのスープは“いのちのスープ”と呼ばれて多くの人々に注目され、静かな感動の輪を広げていく。そんな辰巳芳子のスープには、食材への深い理解と愛情、いのちの原点としての食べることに対する畏敬の気持ちがつまっている。本作は辰巳芳子のスープ作りを通して、自然と農、食と命の関係を改めて見つめ直していく。