「殺人や不倫は神が赦してくれる でも人種の融和は認められない」
原題も「I Am Not Your Negro」
1950年代後半から60年代にかけて
マルコムXやマーティン・ルーサー・キング牧師と知り合いであり
自身も公民権運動活動をしていた黒人作家
ジェイムズ・ボールドウィンの発言や記録映像をもとに
アメリカの黒人に対する人種差別を扱ったドキュメンタリー映画
最近ではプロテニスプレーヤーの大阪なおみさんの
警察官による人種差別的な暴力の被害に遭った
黒人犠牲者たちの名前の書かれたマスクが話題になりましたが
本作のなかでも白人警察官による暴力シーンがいくつも登場します
首を膝で押さえつける窒息死
妻や子どもの目の前で無抵抗の人間を容赦なく殴る、蹴る
しかも何人も警察官が集団で
古い映像では木にぶら下がるいくつもの首つり死体
惨殺された死体の山が映し出されます
こんな酷いことが昔アメリカであったのか、ではない
これは今日もどこかで起きている現実
警察官に目を付けられたら終わり、いつ殺されるかわからない
黒人の命は常に危険に晒されているのです
なのにテレビや映画では、そんな事実はひとつもないような
黒人の生活は向上していると、白人の都合のいいように描かれている
ボールドウィンは言う
「なぜ“ニグロ”が必要なのか それを自分に問いかけてほしい」
一方的に抑圧する側と、抑圧される側
これは人種差別だけでなく、階級や、いじめ
いろいろな社会の構造の問題を表してる言葉だと思います
同じ病理は日本にも、世界中にもますます広がっている
重いテーマで、生々しい心情を表した言葉がきついですが
映像や音楽の使い方がうまく、数々の名作映画を使っての解説もうまい
特に黒人への迫害を今の言葉で叩きつける
エンドクレジットで流れたケンドリック・ラマー の
「ブラッカー・ザ・ベリー」(The Blacker The Berry) には
ガツンときます
【解説】ウィキペディアより
『私はあなたのニグロではない』(I Am Not Your Negro)は、ジェイムズ・ボールドウィンの未完成原稿『Remember This House』を基にしたラウル・ペック監督による2016年のドキュメンタリー映画である。サミュエル・L・ジャクソンがナレーションを務めるこの映画は、ボールドウィンによる公民権運動指導者のメドガー・エバース、マルコム・X、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの回想を通してアメリカ合衆国の人種差別の歴史、そして米国史についての彼の個人的な考察が描かれる。第89回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。
ドキュメンタリーはサミュエル・L・ジャクソンがナレーションを担当し、ジェームズ・ボールドウィンの未完成原稿『Remember This House』と彼の1970年代のメモや手紙に基づく内容となっている。回想で彼の友人で公民権運動の指導者のマルコム・X、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、メドガー・エバースの人生が紹介される。