0.5ミリ(2014)

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「極限に追い込まれたヒトの輝きは

極限状態を凌駕し自己の実存として覚醒され、それは山をも動かすこととなる
その山とは一人ひとりの心、0.5ミリ程度のことかもしれないが

その数ミリが集結し同じ方角に動いた時こそが、革命の始まりである
今日的日本人にその魂は残されているのだろうか 」


静電気が起こるくらい近い、人と人との距離感が0.5ミリ”

ケアヘルパーの4つのオムニバスのような映画

高齢者の遺産を狙う”後妻業”のような

女性介護師の話かと思ったらそうではなく

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ホームレスの女の子が町で見かけたおじいちゃんの弱みに付け込んで

家に住まわせてもらうものの、料理上手で(笑)

頑固で孤独でふてくされているおじいちゃんの心を癒すというもの


そこに、自殺、詐欺、ジェンダー、近親相姦という

社会問題や重いテーマが加わってきます 

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片岡家で(住み込みで?)おじいちゃんの面倒を見ている

ケアヘルパーのサワ(安藤サクラ)は、娘の雪子(木内みどり)から

「おじいちゃんの冥土の土産に寝てくれない?お金は弾むから」

と頼まれてしまいます


ほとんど寝たきりで自分のことは何も出来ないおじいちゃん

当然ただの添い寝だと思っていたら

なんとこのじいさん、かなりのイロ呆けだった

サワは襲われそうになり、その騒動でストーブの火が

おじいちゃんの身体に燃え移ってしまう


おじいちゃんから逃げなきゃいけないわ

おじいちゃんの火は消さなきゃいけないわ

しかも2階の部屋から階段を駆け下りると

そこには雪子の首つり死体と

それを見つめる自閉症気味で言葉を話さない、雪子の息子のマコトの姿

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警察の事情徴収が終わり、ATMで雪子から振り込まれた現金を降ろす

ところが現金をポケットに入れたコートを電車に忘れてしまう

そこでカラオケボックスをホテルと間違えているおじいちゃんを見つけ

無理やり一緒にカラオケ、食べ物と飲み物を奢ってもらいます

夜明けにはおじいちゃんから「楽しかった」と

コートと一万円札を貰います


次にサワが見つけたのは、自転車の窃盗癖のある坂田利夫

警察に届けると脅し、勝手にアホの坂田の家に上がり込み料理する

そしてアホの坂田が、コツコツと貯めた1千万円を

ビジネスヤクザの投資詐欺に預けようとしていることを知ります

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サワはヤクザと戦い、アホの坂田は高級介護施設に入居

     長年大切にしていた名車「いすゞ117クーペ」をサワにプレゼントします


ここからちょっと日本版「グラントリノ(2008)(笑)


だけど金もなければ宿もない、クーペで寝泊まりし

ショッピングモールのトイレで身体を洗いサンプル品の香水で体臭を消す

そこで見つけたのが、おひとり様で時間を潰す真壁(津川雅彦

本屋でエロ本を上着に隠した真壁を捕らえ、家まで送り

認知症の妻(草笛光子)のホームヘルパー浜田(角替 和枝)に

新しいヘルパーだと自己紹介

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最初は上手くいっていたものの

自分より仕事が出来るサワに浜田は嫉妬し

真壁の姪の久子(浅田美代子)に連絡をして来てもらいます

すると久子は介護は自分がするからとサワをクビにしてしまう

お別れの日、真壁は自分の戦争体験を吹き込んだ

カセットテープをサワに渡します


そこに録音されているセリフは、監督であり原作者の安藤桃子

戦争体験者から実際に聞いた話ということ

(だからといって反戦映画ではない)

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再び行く当てもなく、再彷徨うサワの目の前に現れたのが

駄菓子屋で万引きしていた片岡家のマコト

マコトはかって「海の家」だった建物で、父親(柄本明)と暮らしていて

サワはマコトの部屋に泊めてもらうことにします

そこでもサワは働き者で(笑)ごみ屋敷を掃除し、料理を作る


父親は海岸で空き缶などを集め収入を得ているようですが

サワにはセクハラ、マコトにはDVというトンデモとうちゃん

旦那(柄本佑)の父親とここまで絡む安藤サクラの凄まじさ(笑)

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とうちゃんの発言から、マコトがイロ呆け爺の子であること

マコトの脚に血が流れたことで、実はマコトが女の子であること

そして本当は自閉症ではなく、言葉を話せることを知ります


マコトが近親相姦の子と知って、とうちゃんは自暴自棄になったのだろう

離婚した雪子は実家に帰り、マコトがイロ呆け爺にレイプされないよう

男の子として育て、学校にも行かせなかったのかも知れない

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雪子の残した赤いワンピースを抱えて泣くマコト

そうしてもうひとつ、トランクから出てきたのは

「サワちゃんありがとう」と書かれた封筒に入った100万円


サワとマコトはふたり、クーペに乗って旅に出る

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三時間強という長尺だし、明るい話ではないし

結局サワが何者なのかわからないし(笑)

でもお金は必要だけれど、お金に執着しないことが

この作品を爽やかにしている


とにかく最初から最後まで、安藤サクラのパワーと才能を感じる

今一番スゴイ女優かも知れないですね




【解説】ウィキペディアより

介護ヘルパーの山岸サワは、ある日派遣先で寝たきり老人の娘から唐突に「冥途の土産におじいちゃんと寝てほしい。」と依頼される。サワは添い寝するだけとの条件で引き受けるが、その日のうちに大事件に巻き込まれ、職場も住居も失ってしまう。

住み慣れた街を離れたサワは、見知らぬ土地土地で見つけたワケありの老人につけこみ、彼らの生活に入り込むおしかけヘルパーを始める。

監督・脚本は作者である安藤が担当し、主役には実妹安藤サクラを迎え、エグゼクティブプロデューサーは実父の奥田瑛二、フードスタイリストは実母の安藤和津が務めた。

ロケは20133月から4月にかけて高知県で行われ、同年10月の四万十おきゃく映画祭で初上映。201410月に高知市の城西公園に設置した仮設劇場で先行上映したのち、118日より全国公開が開始された。

キューポラのある街(1962)

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「貧しいから弱くなるのか、弱いから貧しくなるのか」


舞台は鋳物の工場が立ち並ぶ埼玉県川口市

キューポラcupola furnaceは、鋳物を作る溶解炉のことで

独特の形をした煙突が特徴


かっては戦争で需要があった鋳物工場は経営困難に陥り

大企業に買収され、近代化やオートメ化が進み

古い職人はリストラされる運命にありました

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身体の悪い辰五郎(東野英治郎)も、長年勤めていた工場をクビになります

しかも家では妻のトミ杉山徳子)に赤ちゃんが産まれ

長女のジュン吉永小百合)は県立の名門高校を目指す受験生でした


同じ工場で鋳造工をしていた塚本克巳(いつもの浜田光夫)は

辰五郎を心配し退職金をもらえるよう組合に掛け合ったり

再就職先を探してくれるのですが

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このクソ親父、プライドだけは高い

酒を飲んで暴言さえ吐けば自分の意見が全て通ると思ってる

俺は職人だ、組合がなんだと克巳の提案を拒否し

手元に残ったなけなしのお金まで、すべて博打ですってしまうのです

 

ジュンの親友のお父さんが紹介してくれた条件のいい仕事にも

(当時の日立の最新工場らしい)

頭よさげな若者に仕事を教えてもらうのが気に入らず辞めてしまう


かあちゃんの内職だけで生活できるはずもなく

ジュンは高校進学のためパチンコ屋でアルバイトをし

かあちゃんは飲み屋に働きに行くとこにします

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だけどクソ親父が仕事を辞めてしまったことで

ジュンは親友と顔を合わせられず

おまけにかあちゃんが飲み屋で酔っ払いの客と戯れているのを見てしまう

 

修学旅行をボイコットし、朝鮮人のリスちゃんと夜遊び

そこで朝鮮人の不良グループにレイプされそうになるのですが

いつもの浜田光夫が警察を連れてやってきて、ジュンは助かりますが

それから「勉強などしてもムダ」と学校をサボるようになります

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1960年代、高度経済成長と労働組合の誕生で

貧富の差で抑圧され続けていた労働者階級の人々の意識の高まり


そこに弟のタカユキと在日朝鮮人の少年サンキチとの友情や

バリバリの日教組(といっても今のように”なあなあ”ではない)の

担任教師、加藤武やクラスメイトとの心温まるエピソードが加わります

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日本人も在日朝鮮人もお互い貧しく、子ども達まで生きる手段を選ばない

ある日、いつも通り牛乳を盗んだタカユキとサンキチは

牛乳配達の少年に見つかってしまう

 

川の小舟に乗り、少年から逃げて誇らしげに牛乳を飲むふたり

そんなタカユキとサンキチに転んで泥だらけになった少年は

オマエたちのせいで給料は差し引かれ

病気の親の薬が買えないと泣き叫ぶ


自分は貧乏で苦しいから、金のあるところから盗んで当然と思っていた

生きるためなら何をしてもいいと信じていた

だけど真面目に働いて給料をもらっている人間も

自分たちと同じ苦しみを抱えていることを

その時はじめて知るのです

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在日朝鮮人が「楽園」だと信じている故郷北朝鮮

バンザイの声に送られて帰還していく情景と

社会主義共産主義への幻影

親に頼らず働きながら学ぶという、女性の自立


若い女性や少年たちの心情を見事に描いた

今村昌平の脚本が素晴らしい

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なんでも今村の奥さんが近所の主婦を集め

あしたのジョー」など人気アニメのセル画の採色した収入で

苦しい時代の今村を助けたのだとか(笑)

 

吉永小百合といつも浜田光夫の日活にしては、思った以上に傑作で(笑)

私が見た小百合ちゃん主演の中でも上位ランキング

当時の世相を知る意味でも貴重な映画でしょう

 

 

【解説】allcinema より

鋳物の町として有名な埼玉県川口市。この街にはキューポラという煙突が立ち並ぶ。昔カタギの職人の町にも時代の波が押し寄せる。旧来型の鋳物職人であるジュンの父は、働いていた工場が大工場に買収されたことからクビになってしまう。困窮に苦しむ一家だったが、ジュンはそんな境遇の中でも、自分の進路について一生懸命考え、パチンコ屋でバイトしながらも高校進学の学費を稼ごうとがんばる……。吉永小百合主演で、高度経済成長期の庶民の暮らしを温かなまなざしで描いた青春ドラマ。

家族ゲーム(1983)

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公開された年の映画賞を総なめ

今でも名作だとか、森田芳光監督の最高傑作と称えられている怪作

 

ストーリーそのものは成績の振るわない中学三年生の息子のため

両親が大学生の家庭教師を雇い、見事進学校に合格するという単純なもの

ですが、サクセス感は全くありません(笑)

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モデルは受験戦争、父や兄への劣等感と学歴コンプレックス

家庭内でのコミュニケーション不足が原因と言われた

「神奈川金属バット両親殺害事件」(1980

 

事件はうろ覚えだし、原作も読んでいないし

森田監督の意向もわかりませんが

大人になって私が見た感想は”発達障害”を描いた映画

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テスト中に騒いだり、仮病を使ったり、なにかと問題行動を起こし

クラスでは虐められ、意味もなくニヤニヤ笑い

ジェットコースターに執着している主人公

 

成績優秀で有名高校に進学したもののサボりがちで

タロットにハマり、ひとりで占いをする兄

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しかも常に植物図鑑を持ち歩き(喧嘩は強い)

ほとんど大学には行っていない、三流大学7年生の家庭教師

 

しかも登場人物は全員何かしらの「こだわり」を持つ変わり者ばかり

特に顕著に表れるのが「食へのこだわり」

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横一列に並んだ食卓、食器がぶつかる音、咀嚼(そしゃく)音

目玉焼きは半熟、黄身をチューチュー吸うのが日課の父親

 

結婚して何年にもなるのに、そのことに気付いていない母親

その母親は、おかずは必ず一度ご飯の上に乗せてから食べる

 

飲み物は一気に飲み干さずにいられない

だけど豆乳だけはストローな家庭教師

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それぞれが理性を保つために持つ「こだわり」

そのバランスが壊れてしまったら

何が起こるかわからない緊張感

 

そして、こういう言い方をしたら人権保護団体や

発達障害者のいる家族からお叱りを受けてしょうがないけれど

この”しつこさ”は正直ちょっと「気持ち悪い」

 

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唯一の救いは少年が精神的に強いこと

いくら虐められて酷い目にあっても

それをバネにしてきっちり仕返しします

 

勉強も頑張って、晴れて兄と同じ進学校にも合格(知能は高い)

一方のいじめっ子は不合格、私立に進学することになり万々

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しかし合格祝いの食事の席で、学歴志向の父親の発言にキレてしまう家庭教師

野菜サラダをばらまき、マヨネーズを振り回す

発達障害者は生野菜が得意でない人が多い)

やがて乱闘になり食卓はメチャクチャ

 

家庭教師は家族ひとりひとりに断罪(有罪判決)を下します

(そういう家庭教師も何様よ)

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ラストはヘリコプターの騒音の中、睡魔に襲われ

昼寝してしまう兄弟と母親

 

たぶん騒音は報道ヘリコプターで、近所で大きな事件があったということ

それは将来、この家族にも降りかかるかも知れない暗雲

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たとえ問題行動や、障害があったとしても

それを親の見栄とか願望で潰しちゃいかんよ

どうして10代で結果を求める、大器晩成と思えばいい

 

なぜ私がここまで言うのか、それは私も相当な変わり者だったから

(ただ、大器晩成ではなかった 笑)

 

 

【解説】allcinema より

息子の高校受験のためにと雇った風変わりな家庭教師がやって来たことで一家に巻き起こる騒動を描いた傑作ホーム・コメディ。「の・ようなもの」の森田芳光監督が、現代家庭の抱える問題をシュールなタッチでユーモラスに描く。横一列に並んでの食事シーンなど斬新な表現手法が話題を呼んだ。出来のいい兄とは反対に、問題児の中学3年の弟・沼田茂之。高校受験を控えて、家庭教師としてやって来たのは三流大学の7年生でなぜか植物図鑑を持ち歩く吉本勝という奇妙な男だった……。

 

 

 

ホワイトラブ(1979)

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百恵友和第10作目の記念映画オリジナル・ストーリーを一般公募

受賞作を藤田敏八小林竜雄脚色

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今までの文芸的な作風とはうってかわって

外国語教室、品川ナンバーのオープンカー

業界でスタイリスト、商社勤務、シングルマザー

インスタント食品、女性向けスクーター、海外旅行

70年代から80年代(バブル)へ向かう時代の風俗が懐かしい

(飲酒運転OKだったかどうかは知らないけれど 笑)

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スペインロケというのも確実に配給収入を見込める

当時の百恵ちゃん(20歳)の人気ならでは

だけど展開はかなり無理やりで強引(笑)

 

ホワイト”がスペインの田舎の民家の壁の色が”白”

からきているのかどうかは知らない(笑)

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スペイン語教室に通う百恵ちゃん

学校のロビーで友和さんの火の付いた煙草のケースが誤って飛んでしまい

白いワンピースが焼け焦がされてしまいます

洋服を弁償すると約束して翌日待ち合わせるふたりでしたが

百恵ちゃんに急用が入り友和さんは待ち惚け

 

再びスペイン語教室で再会するわけですが

実は友和さんは外国語に堪能でスペイン語もペラペラ

臨時講師として働いていたのです

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外国語を話せる人間にヨワイ日本人あるある(笑)

百恵ちゃんは元商社勤めの友和さんの虜になっていくわけですが

友和さんは、外国人相手のポン引きをしている岩城滉一の助手として

身銭を稼いでいました

何かとすれ違い、金銭トラブルや女性問題を抱える友和さんと

距離をおくようになる百恵ちゃん

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そして死んだと思っていた行方不明の父親が危篤で

スペインで末娘の百恵ちゃんに会いたがっていると

父親の親友の北村和夫から知らされ

急遽、北村和夫とスペインに向かう百恵ちゃん

そして友和さんも、スペインまで百恵ちゃんを追って行きます

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ここからはもうノリと勢いだけで作ったのか(笑)

ツッコミどころ満載

 

マドリッドに着いたとたん都合よく高熱を出す北村和夫

しかもイキナリ百恵ちゃんスペイン語ペラペラ

すぐに市街で友和さんの元恋人、范文雀と出会う

住んでいるアパートまで発見(なんという土地勘の強さ)

瞼の父親(小林桂樹)と涙の再会も、翌日あっさりお別れ

友和さんとふいたりで元恋人を探しに旅立ちます

(父親と会うためここまで来たんじゃなかったのか?笑)

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そこで友和さんから、スペイン駐在時代の恋人范文雀

職場の上司、高橋昌也にレイプされてしまい妊娠

(友和と高橋、どちらの子かわからない)

中絶するため電車でフランスに向かう途中駅で

范文雀が消えてしまったことを打ち明けます

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牛追い祭りで友和さんが范文雀と再会し熱い抱擁をかわすと

百恵ちゃんはそっと部屋を出ていきました

しかし「ケン」の血液型は友和の子ではなく

だけど友和の子だと思って育てていると告白します

 

そして百恵ちゃんを追う友和さんを窓から見送ると

窓の柵が壊れ落下、范文雀は死んでしまい(死体は置き去りかよ)

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ふたりは「ケン」を連れて、”あの時の子”だと

駐在所の高橋昌也に会いに行くものの

突然「私たちで育てる」と言い出し

高橋が養育費だと渡した小切手を、鼻チンして投げ返す

まあ、そこまではドラマの演出としてアリだとしても

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いくら母親が死んだからって、スペイン生まれの子どもを

平然と日本に連れて帰っていいものなのか

(それって誘拐だと思う)

 

さすがに共演10作目とあって百恵ちゃんと友和さんの息はぴったり

脇を固めるのもベテランの芸達者な名優ばかり

にもかかわらずこのリアリティのなさ

(コメディだと思って見ればいいのか 笑)

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ただ、人気アイドルの主演映画の脚本の一般募集というのは

今でもやって欲しいですね

脚本家を目指す素人作家のメジャーデビューのチャンスになりますし

埋もれた才能の持ち主の発掘になるかもしれない

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そうしたら私も応募しよう

今から構想を練っておかねば(笑)

(オマエが書いたらアイドル映画じゃなくて、変態映画になるわ)

 

 

【解説】KINENOTEより

スペイン語を習うスタイリストの女と、スペイン語講師との愛を描く。山口百恵三浦友和共演十作を記念して、オリジナル・ストーリーを一般公募し、選ばれた中川美知子の原案をもとに、脚本は「もっとしなやかにもっとしたたかに」の小林竜雄と「帰らざる日々」の藤田敏八の共同執筆、監督は「ピンク・レディーの活動大写真」の小谷承靖、撮影は「炎の舞」の萩原憲治がそれぞれ担当している。

風立ちぬ(1976)

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堀辰雄の同名小説の映画化

作中にある「風立ちぬ、いざ生きめやも」(風が渡っていく、さあ生きていこう)

という詩句、はポール・ヴァレリーの詩『海辺の墓地』の一節

Le vent se lève, il faut tenter de vivre.」を堀本人が訳したもの

「私」の婚約者、節子のモデルは堀と1934(昭和9)年9月に婚約し

1935(昭和10)年12月に死去した矢野綾子という女性のこと

 

映画のほうは太平洋戦争真っただ中の19421944年ごろが舞台だと思います

軽井沢に住む元外交官の水沢(芦田伸介)は学生たちを家に招いては

食事や酒をふるまっていました

そのなかのひとり結城達郎(三浦友和

ひとり娘の節子(山口百恵)はお互い惹かれあっていました

(何がびっくりするって、若い頃の松平健 笑)

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なのに百恵ちゃんの叔母は次から次へと

百恵ちゃんにお見合い話を持ってきます

友和さんは百恵ちゃんの父親に結婚を申し込みに行こうとしますが

家族から「お前は戦地へ行く人間だ。死地へ行く者が彼女を幸せにできない」

(死ぬこと前提 笑)と結婚に反対し

友和さんもそれを受け入れ遠く離れた大学に進学します

 

そのことを父親から知らされた百恵ちゃんは

いきなり「ゴホゴホ」と咳をしだして、倒れてしまいます

この瞬間結末はわかってしまうのですが(笑)

 

百恵ちゃんと別れ、酒に溺れていた友和さんは

百恵ちゃんが結核だと知り急遽帰省し

八ヶ岳にある結核専門の診療所に百恵ちゃんを入院させ

付ききりで看病するのでした

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戦争中とはいえ、ふたりとも良家の子女なので

生活に困っている様子は全くありません(笑)

ただ今の新型コロナと一緒で当時の結核には特効薬がなかったんですね

回復するには安静と換気としっかり栄養を摂るくらいしかありません

それでも友和さんの献身的な介護で百恵ちゃんは元気になります

 

そこに日本軍から学徒出陣の命令が下され

友和さんも急遽戦場に向かうことになります

そこでやっと「戦地から生きて帰る希望を」と

友和さんの父親は百恵ちゃんとの結婚を許すのでした

 

しかし友和さんが旅立つその朝

百恵ちゃんは息を引き取ってしまいます

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若い男女の悲恋物語ですが、 往生際はまったく映さないので

最後までしんみりとすることはありません

そんななか診療所の少年が亡くなって母親が泣き叫ぶのと

芦田伸介さんが電話口で娘の死を報告するのが(名演)

唯一”死”を感じるシーン

 

この時代は恋人や夫が戦死してしまう

または戦場から生きて帰れても、好きな人が死んでしまっていた

という話が山ほどあったんだろうな

 

そしてこういう病弱だったり、死んでしまう役ばかりの百恵ちゃんに憧れて

「身体が弱くなりたい」と願った多くの女の子の中の私もひとり(笑)

 

関係ないけど現在の百恵ちゃんも年齢不詳なんだろうか(笑)

 

 

【解説】スポンサーリンクより

風立ちぬ1976年製作の日本映画。山口百恵主演文芸作品第5弾。

ホリプロ堀威夫社長が率先して映画化。東宝配給。

前作『エデンの海』でコンビを解消したかのように思われた山口百恵三浦友和コンビが復活して大ヒット。『絶唱』と同様、悲恋映画である。

山口百恵は当時の不治の病である結核で亡くなる役を熱演。若杉光夫監督作品。往年のスター芦田伸介河津清三郎宇野重吉らが出演。若き日の森次晃嗣松平健が初々しい。

若い人(1962)

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「ああいう苦しみを持った子に弱いんです」


原作は石坂洋次郎の同名小説

原作では高校教師の主人公は偽善性や卑怯さを持った

典型的な日本人男性の心情が描かれているそうですが

裕次郎にドロドロ感はなく、あくまで爽やか(笑)

女子生徒からの愛情を受け止めかね、困惑しながらも

自分の気持ちを正直に伝えるという勇気を持っているという役柄

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でも内容がどうのこうのというより

ほぼ小百合ちゃんを見るためだけに作られたような映画

怒った小百合ちゃん、笑った小百合ちゃん、泣いた小百合ちゃん


そこに清楚で美人だった頃の浅丘ルリ子さんと

(今がブスみたいな言い方じゃない 笑)

熟女の怪しい魅力を振りまく三浦充子さんが登場

こんな女性たちに囲まれたら、男なら誰だって優柔不断になってしまう(笑)

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九州、長崎のミッションスクール

数学教師裕次郎は、毎朝遅刻してくる女生徒

吉永小百合を窓から大声で叱るのが日課

そして歴史教師浅丘ルリ子が気になっています

アプローチの仕方は小学生並みなんですけど(笑)


学校の帰り道ルリ子姐さんから

小百合ちゃんが書いた作文を手渡された裕次郎

そこには自分の父親は誰かわからず

母親の恋愛遍歴のなかで生まれた私生児であること

料亭を営む母が世間から娼婦と呼ばれていること

その境遇を受け止めながらも、奔放な母親に反発していること

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ルリ子姐さんは裕次郎に父親の面影と、恋愛対象として憧れることで

小百合ちゃんが心の均衡を保っているのではないかと打ち明けます

そしてその作文を裕次郎に託すのです


これって凄いな(笑)

どっちの女を選ぶのか、裕次郎の気持ちを試そうとしている


その夜、小百合ちゃんと母親の三浦充子が革靴のプレゼントを持って

裕次郎の下宿を訪ねてきます

(官能小説を声を上げて読みあげる下宿屋のオヤジ  笑)

本来は保護者からの贈り物禁止なものを、受け取り方がスマート

(実際昭和は教師がガンガン贈り物もらっていたがな)

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母親だけが帰った後、すれ違いでやって来たルリ子姐さん

慌てて押し入れに隠れる小百合ちゃん

いったん渡した手紙を、返して貰いに来たり

着物姿で現れるところなど、やっぱりルリ子姐さんが上手

というか当時の映画は「男が好きなタイプの女性」を

描くのがうまいのだろうな


だけど修学旅行の夜、行方不明になり雨の中彷徨っていた

小百合ちゃんの激情を、抱きしめることで受け入れてしまう裕次郎

そうして、小百合ちゃんは自ら妊娠した”というデマを流すのです

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裕次郎に対するルリ子姐さんの態度は冷たいものでしたが

先生を必要としているのは小百合ちゃんだと、はっきり言います

その瞬間裕次郎は、自分本当に愛しているのは

ルリ子姐さんのほうだと確信するのです

 

面倒なほうの女がだんだん嫌になってきたんだな(笑)

小百合ちゃんに気持ちを伝えるため会いに行くと

そこは母親の三浦充子さんと若い愛人、北村和夫の修羅場でした

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北村和夫さん、酒飲みのヒモ男でDVかと思ったのですが

実は一番マトモなのかも(笑)

怒りながらも、不幸な母親を憐れみ助けようとしている

でも喧嘩の仲裁に入った裕次郎ケガをして意識を失ってしまう

 

翌日学校を休んだ裕次郎を、ルリ子姐さんが心配してやってきますが

母親わざとらしく小百合ちゃんの介抱ぶりを誇張したため

早々に立ち去るしかありませんでした

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ルリ子姐さんを追って、学校に向かう裕次郎

裕次郎を追う小百合ちゃん

そこで裕次郎はルリ子姐さんが好だと打ち明けます

 

裕次郎の気持ちは最初から知っていたと

来た道を戻って行く小百合ちゃん

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文学の世界の中で男を惑わす美しい女は

高い確率で作者に殺されるけど(笑)

 

確かにこういうストーカータイプの女の子

は自殺(未遂)するかもしれないな

未遂なのは、結局は好きな男を奪いたいから

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自分に自信のある女が本当に死んでたまるか(笑)

 

 

「アラン・ドロン生誕85年記念祭 シネマ・ライブVOL.8」(2020)

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去る118日(日)

チェイサーさん主催、銀座タクトで行われた

アラン・ドロン生誕85年記念祭 シネマ・ライブVOL.8」に行ってきました

  

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           コロナ渦中での開催ではありましたが

チェイサーさんの「ドロンさんに対して何らかの方法で

日本のファンの方々からの応援メッセージを届けたい」

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また「自粛を余儀なくされてきたライブハウススタッフの方々や

プロのミュージシャンの方々に本来の「力」を発揮できる場を作って協力したい」

という強い思いから今年も素晴らしいシネマ・ライブと

秘蔵映像やトークがあり

シネマファンとの新たな出会いもありました

f:id:burizitto:20201110195924j:plain        クイズタイムではあまりの難問に頭を悩ませながら

マニアックさに笑ってしまいました(笑)

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          お土産には参加者全員に「バリ・マッチ」の

唯一のアラン・ドロン”特集号のDVD

俳優としてのドロンさま

起業家としてのドロンさま

アートコレクターとしてのドロンさま

馬や犬が大好きなドロンさま

ドロンさまの素顔と謎に迫った

これもまた素晴らしい内容になっています

(フランス語はわからないけど、たぶんそうだと思う 笑)

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         チェイサーさん、本当にありがとうございます

そしてお疲れさまでした


いつもより小規模な開催で

お互いの距離はソーシャル・ディスタンンスでしたが

心は映画を愛する者同士の”蜜”を感じられました

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        ブログ友では去年参加の、ジーナちゃん、ゆうちゃん

たっふぃーさんとは再会できなかったけど

名古屋から八点鐘さんが参入

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       なんか八点鐘さんとたっふぃーさんって、同じ匂いがする

体臭を嗅いだわけではありません 笑)

来年の”ドロン生誕祭”では絶対会わせたいわあ

ジーナちゃんと再びどっちが飲めるか東西横綱対決

ゆうちゃんは絶対来ないとダメ(笑)

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                二次会はこっそり新橋

チェイサーさん”ドロン生誕祭”常連さんもお誘いし

盛り上がりたかったのですが、密を避けて

小規模にはてブロ”メンバーでオフ会


その日のうちに名古屋に帰る八点鐘さんを新橋駅で見送った後も

映画の話は尽きず、場所を変えてまた飲む(笑)

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      このような映画ファンと共に過ごせるひと時を作ってくれる

チェイサーさんに毎年感謝

来年の「アラン・ドロン生誕86年記念祭」も楽しみにしています

そしてコロナが収っていたら、思い切りハグましよう(笑)