キャリー(1976)

原題は「Carrie」(ヒロインの名前)

原作はスティーヴン・キング同名小説

キングが最初の3ページだけ書いてゴミ箱に捨てた原稿を

読んだ妻のタビサが最後まで完成させるよう励まし

出来上がってみたら処女作でベストセラー(笑)

小説に惚れこんだデ・パルマが、ほぼ原作どおり映画化

今見ても全く色褪せない傑作

キング原作の映画化でも上位に入ると思います

その理由として、ヒロインのキャリーが

念動能力(テレキネシス)を使い大量殺戮を行うという

確かにホラーではあるのですが

むしろキャリーがそこにいたるまでの「いじめ」や

母親による宗教の強要や虐待というものが

現代でも大きな社会問題だからです

あまりの仕打ちに心のガタが外れ、怒りが復讐と化する

普段おとなしい人ほど、内に秘めた怨念が爆発したときの怖さが

とてもよくわかる

そして「いじめ」とは最悪の結果しかもたらさないことも

高校生のキャリー(シシー・スペイセク)は純粋でおとなしい女の子

ただいつもおどおどしていて、運動も得意じゃない

絶好のいじめの対象になっています

体育の授業では一軍さんのリーダー格のクリス(ナンシー・アレン)から

「マジ死ね!このクソブス」 と罵られ

キャリーがシャワー中、初潮を迎えパニックになってしまい

助けを求めて走り回ると、「バカじゃん」「キモッ!」 と

ナプキン(生理用品を投げつけられます

 

コリンズ先生がやって来て、その場は収まりますが

17にもなって生理知らないなんて」と

新たないじめの対象になってしまいます

キャリーの母親(パイパー・ローリー)は狂信的なキリスト教信者で

近所でも評判の困った人(を超えた精神疾患

聖書の教えを説いて歩くのですが、奥様方は早く帰ってほしいため

寄付だとお金を渡して追い出します

聖書に書いてあることが全て、キャリーが生理になったことを知ると

「初潮とは神聖なる処女ではなくなり汚れた女になることだ!」

つまり「お前が淫らだからだ!」という謎解釈で

神に祈って許しを請う」と嫌がるキャリーを

オリジナルの祈祷室に閉じ込めてしまいます
キャリーがコミュニケーション障害になってしまったのは

明らかにこの毒母が原因

翌日、コリンズ先生はキャリーにナプキンを投げた女子生徒を呼び出し

罰として「毎日放課後に体育の授業」すること

嫌なら「プロムパーティーの参加は禁止」だと命じます

クリスは課外授業を受けることになったのは、キャリーのせいだと逆恨み

コリンズ先生の厳しい授業を逃げ出し、キャリーに仕返しするため

ボーイフレンドのジミー(ジョン・トラボルタ)に協力してほしいと頼みます

 

クリスとえっちをしたいジミーは

クリスの言うことをなんでも聞いちゃう状態(笑)

もうひとりの一軍さん、スー(エイミー・アーヴィング)は

キャリーをいじめた罪滅ぼし

クラスいちのイケメン、トミー(ウィリアム・カット)

キャリーをプロムに誘ってほしいと頼みます

トミーが一緒にプロムに行きたいのはスーで

「なんで俺が?」と思うわけですが

彼も好きな女の子の頼みは断れない

キャリーは生理が来てから(身体が大人になり力がついた?)

念力で物を動かせる能力があることに気付きます

図書館でテレキネシス」について調べていると

キャリーを見つけたトミーからプロムに誘われます

理由を尋ねると「授業で僕の詩を美しいと褒めてくれた」から、だと

スーはキャリーを有頂天にさせ

どん底に突き落とすのではないか、と思ったのはたぶん私だけでなく

コリンズ先生も(大人の心は汚れている 笑)

スーとトミーを呼び、何か企みがあるのではないかと確認します

しかしスーがキャリーに「プロムを楽しんでもらいたいだけ」だと知ると

キャリーに、あなたは可愛いのだから

プロムではメイクして髪をカールすればもっと素敵になると

アドバイスします

プロム当日、頑張ってメイクして髪もカール、母親の反対を押し切り

迎えに来たトミーの前に、お手製のドレスで現れたキャリー

結構可愛いじゃん!と本気でキャリーに心がなびいてしまうトミー(笑)

不安がる彼女にブーケをプレゼントし優しく励まします

パーティ会場ではトミーとダンスを楽しみ

いよいよベストカップルの発表

クリスが投票用紙を入れ替え、選ばれたのはキャリーとトミー

今までに無い幸せを感じながらステージに上るキャリー

その姿を確認したスーは、安心して会場を後にします

 

しかし天井に吊るされたバケツから

ジミーが養豚場の豚を殺して用意した大量の血がキャリーに降り注がれ

さらにバケツがトミーの頭に落下、トミーが死んでしまいます

キャリーの怒りが極限に達し

覚醒した彼女がステージから人々を見下すと

出入口はふさがれ、会場に閉じ込められた全員の虐殺がはじまります

 

でも悲しいことに、キャリーは無実の人間も

唯一の味方のコリンズ先生まで、無差別に殺してしまうのです

燃え盛る会場を後にし、歩いて家に帰ろうとするキャリー

なんとか会場を逃げ出したクリスとビリーは

ビリーの車でキャリーをひき殺そうとしますが

ビリーの車は吹き飛ばされ、ふたりとも死んでしまいます

家に到着すると、母親に「ママの言う通りだった」と泣きつくキャリー

しかし母親は「汚れた娘」だ「死ね!魔女め!」と

キャリーの背中を包丁で刺したのです

とどめを刺しに来た母親を(キリスト像と同じように)串刺しにすると

キャリーは母親を祈祷室に運び、涙を流しながら祈りを捧げ

そして家屋を崩壊させ自分も死ぬのでした

ただひとり(会場にいなかったため)生き残ったスーが

キャリーの家の跡地に行き、弔いの花を手向けようとしたとき

突如地面からキャリーの手が伸び彼女の腕を掴みます

 

夢から目覚めたスー

なだめ母親の腕の中で、ただくしかありませんでした

 

 

【解説】映画.COMより

スティーブン・キングの小説を原作に、超能力をもった少女キャリーが引き起こす惨劇を描いた青春オカルトホラー。狂信的な母親のもとで育てられ、学校でも日常的にいじめを受けている少女キャリーは初潮を迎えて動揺するが、生理現象は汚れの象徴だと母親に罵られる。しかし、その日を境にキャリーは念じることで物を動かせる超能力に目覚めていく。一方、いじめっ子たちは陰惨な嫌がらせを思いつき、高校最後のプロムパーティの場でキャリーを陥れるが、怒りを爆発させたキャリーの超能力が惨劇を招く。画面分割などを用いたブライアン・デ・パルマ監督の凝った映像演出も見どころ。キャリー役のシシー・スペイセクと母親役のパイパー・ローリーが、それぞれアカデミー主演女優賞、助演女優賞にノミネートされた。

1976年製作/98分/R15+アメリ
原題:Carrie

 


劇場公開日:197735