パリは燃えているか(1966)

パリは燃えているか! パリは燃えているか!」

原題も「Paris brule-t-il?」英題「Is Paris Burning?

は、ヒトラーが幕僚に訊ねたとされている言葉ですが

当時の「パリの民衆の気持ち」とのダブルネーミング(たぶん 笑)

116日にアラン・ドロン生誕87年祭があるので、ドロンさま目当て(笑)

イキナリ漆黒の画面に「OVERTURE(序曲)」の字幕と

モーリス・ジャールの名曲がおよそ5分(笑)

NHK番組「映像の世紀」のテーマ曲でお馴染みです

それにしても豪華なキャスト、映画ファン必見です

バリ解放時の実際の映像もふんだんに使われていて

記録映画としても貴重ですね

(インターミッション付173分は長かったけど 笑)

ドイツ語の標識、書店に並ぶ「我が闘争

19448月、ドイツによる占領から4年目のパリ

レジスタンスがパリ解放の計画を立てていますが

ドゴール派と自由フランス軍FFIの腕章を付けている)

左翼派(フランス共産党)の意見がまとまらない

ドゴール将軍の幕僚デルマ(アラン・ドロン)は

ラベの言うことならレジスタンスは聞く

政治犯として捕らえられているラべを釈放するため

ラベの妻フランソワーズ(レスリー・キャロン)を

スウェーデン領事ノルドリンク(オーソン・ウェルズ)のところに行かせます

ノルドリンク領事は新しい司令官なら話を聞いてくれるかも知れないと

パリ占領軍司令官コルティッツ将軍(ゲルト・フレーベ)に会いに行き

ドイツ兵の捕虜とラべを交換することで同意します

しかしすでにラベの身柄は親衛隊に手に渡り

妻との再会も虚しく撃ち殺されてしまうのでした

ドゴール派と左翼派が決起を決め、先にドゴール派とが警察本部を占領

市民たちも蜂起しパリ中心部に「解放区」を作ります

コルティッツ将軍は警察本部に戦車を配置し

レジスタンスは銃や火炎瓶で対抗しますが

武器は底をつき追い込まれていきます

さらにヒトラーエッフェル塔凱旋門ルーブルノートルダム

「パリを渡すくらいなら燃やしてしまえ」という命令で

ヒトラーがどの映画より激似 笑)

ドイツ軍がワルシャワから撤退する時、全て焼き払ったのと同じように

(映画館のニュース映画で瓦礫の山しかないワルシャワの映像が流れる)

パリも焼き払う計画を立てていたのです

「私には総統の命令に従う義務がある」

「敵は連合軍でパリ市民ではない あなたの任務はパリの防衛では?」

コルティッツ将軍は、パリを破壊することは得策ではないと考え

ノルドリンク領事と共に市街戦を一時停戦する決定を下します

ノルドリンク領事から停戦を知らされたデルマは

連合軍から支援を受けるため、ガロア少佐(ピエール・ヴァネック)を

赤十字医師団、モノー博士(シャルル・ボワイエ)の協力のもと

米軍司令部に送るのでした

何とかノルマンディに到着したガロア少佐でしたが

パットン将軍(カーク・ダグラス)から

「パリ解放は米軍の任務ではない」と断られてしまいます

しかしパットン将軍は最前線にいるフランス軍

クレール将軍(クロード・リッシュ)に会いに行くことを承諾し

部下に案内させます

事態を知ったクレール将軍はシーバート将軍(ロバート・スタック)と

ブラッドレー将軍(グレン・フォード)を説得

ブラッドレー将軍は全軍にパリ進軍を命じるのでした

グレン・フォードがかっこよすぎる 笑)

ここからがまるで凱旋パレード(笑)

まだドイツ軍がいるのに、戦争が終わったわけでないのに

浮かれた女の子たちが飛び出してきてアメリカ兵にキス

電話で家族に家に帰ることを伝えるフランス兵

(カフェの女主人がシモーヌ・シニョレという贅沢)

こういう普通の兵士や人々の姿を映す演出は最初から最後までうまい

どうせ戦争に負けると、投獄されてしまうやる気のないドイツ兵

解放を急いだせいで騙され親衛隊に殺される30人の若者

ブッヘルバルトへ送られる2980人の政治犯

自転車の空気入れに手紙

銃撃戦中に犬の散歩をする紳士

地面を這って道を横断する男女

「臨時政府の者だ」と名乗るレジスタンス代表の

モランダ(ジャン=ポール・ベルモンド)が

大臣と間違われ言葉巧みに首相官邸を乗っとるシーンは笑えます

 

「警官を使うのは、独軍が制服に弱いからだ」

深刻な中に、ユーモラスを織り交ぜるセンスのよさは

フランス映画ならでは

「(ルーブルの)ベイユー・タペストリーをヒムラー長官へ貰いたい」

それに答えるコルティッツ将軍の皮肉なジョークさえわからない

真面目なドイツ兵が可愛すぎる

家の近くまで来て、妻にアメリカまで煙草を買いに行ったと言う

と、笑った直後に爆撃されてしまうフランス兵

憧れのパリに興奮するアメリカ兵(アンソニー・パーキンス

息子を探す母親に容赦のない銃声

レジスタンスが押し入ったアパートで、ワクワクと紅茶を淹れる老マダム

(おばあちゃんがキュートすぎ)

ナポレオンの墓

教会の鐘の音

ラ・マルセイエーズ」の大合唱


撮影ではナチスの鉤十字旗を掲げることをフランス当局から許されず

赤の部分を緑に変色させた旗を使用することで許可
そのことをごまかすためのモノクロ映画になったそうです

そのぶん、ラストのカラーの空撮にパリが救われたことを実感します

今見るとウクライナの状況とどうしても比べてしまいますね

人命はもちろん、人類が築き上げてきた

歴史や文化を破壊するのも許されることではないのです

 

今年87歳になるドロンさま(17歳で従軍)が

ゼレンスキー大統領とどうしても会談しなければならなかった理由が

この映画で少しは理解できたような気がしました

こんな兵士やレジスタンスがいたら

思わず抱きついてキスしてしまう女性の気持ちも(笑)

 

 

 

【解説】allcinema より

史上最大の作戦」以降隆盛を極めた戦争大作の1本。第二次大戦中、独軍占領下のパリを舞台に、連合軍によるパリ解放に至る過程と、その裏で繰り広げられた大戦秘話をオールスター・キャストで描いた作品である。物語の主軸は、パリ郊外に迫る連合軍の進撃を阻止するためにヒトラーが立案した、“パリ焦土化計画”と、これを食い止めようとするレジスタンスたちの熾烈な攻防戦。これに連合軍の侵攻の過程が刻々と挿入され、クライマックスはパリの大市街戦へとなだれ込んでいく。多くの出演者の中では、若いレジスタンスを演じたベルモンドと、戦車隊の指揮官を演じたY・モンタンが出色の出来。脚本をライター時代のF・コッポラが担当しており、場面展開に非凡なものが感じられるが、後の本人のコメントによれば“あまり気に入っていない”との事。