邂逅(めぐりあい)(1939)

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「頭の中で強く願い、心でも強く思う、そして諦めずにずっと願っていれば叶う」

原題は「LOVE AFFAIR」(恋愛)

オリジナルを鑑賞したのは初めて

内容は1957年版とほぼ同じでした

 

名曲「Sing My Heart」はこの映画で歌われたのが最初で

ハロルド・アーレンがアイリーン・ダンのために作曲したそうです

 

恋愛映画の王道というか、教科書のような作品で

前半はロマンチック・コメディ

終盤は涙と希望の溢れるラストまでいっきに運んでいきます

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世界的に有名なプレイボーイ、ミシェルシャルル・ボワイエ)は

富豪の令嬢と結婚するため、アメリカに向かう豪華客船で

聡明でユーモアのあるひとり旅のアメリカ人女性

テリーアイリーン・ダン)と意気投合します

 

ミシェルは9日間の船旅を一緒に過ごそうと提案しますが

テリーにはニューヨークにパトロンがいました

しかも有名人のミシェルとは、一緒にいるだけで噂の的

お互い離れようとするものの、またくっついてしまう(笑)

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そして船がマデイラ島に停泊したとき

ミシェルはテリーを祖母(マリア・オースペンスカヤ)の家に連れて行きます

そこでテリーはミシェルが描いた油絵を見たり

素敵おばあちゃんからミシェルの幼い頃の話を聞いたり

 

ふたりでカトリックの聖堂で祈りを捧げるうちに

単に気の合う友人ではなく、愛し合ってることに気付くのです

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これって石田純一を好きになるわけがないと思っていた女が

思わず石田純一を好きになるようなもの(笑)

 

遊び人の浮気男だと思って警戒していたのに

実は優しくて才能がある一面を知ったとたん惚れてしまうのです

 

ミシェルは「自立するまで半年待ってくれ」とテリーにいい

半年後の71日午後5

エンパイアー・ステート・ビルの102階で再会する約束をします

 

ミシェルは看板描をしながら画家を目指し

テリーはフィラデルフィアのホテルの専属歌手として契約を結びます

ついにやってきた71日午後5

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テリーは交通事故に

何も知らないミシェルは待ち続け、そして諦めます

「下へ?」と同じ台詞を繰り返すエレベーター・ボーイ

コミカルなぶん、フラれた男の心情が痛い

 

そしてそれからまた半年後、ふたりは偶然劇場で出会い

クリスマスの日、テリーの住所を探し出したミシェルは

おばあちゃんがプレゼントをすると約束していたショールを持って

テリーに逢いにやって来くのです

 

約束の場所に行ったのに、行かなかったと謝るミシェル

行っていないのに、待ちくたびれたと嘆くテリー

その時のお互いの気持ちを代弁しあう

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そして画商の言葉を思い出したミシェルが見たものは

鏡に映った「聖母と女性」の絵だったのです

 

テンポのいい会話のやりとりと、楽天的主観に

決して華々しくはないけれど、最後まで気持ちよく見れる

 

シャルル・ボワイエ石田純一に例えてレヴューしたのは

ファンから怒られそうだけど(笑)

 

 

 

解説KINENOTEより

レオ・マッケリーが製作監督した恋愛ドラマで、当時原題のLove Affairが風紀上よろしくないというので、わざわざ日本版の題名をSincerityに改題した。なおマッケリーは戦後の1957年にケイリー・グラント、デボラ・カー主演で再映画化し、「めぐり逢い(1957)」の題名で日本でも公開した。