「頭の中で強く願い、心でも強く思う、そして諦めずにずっと願っていれば叶う」
原題は「LOVE AFFAIR」(恋愛)
オリジナルを鑑賞したのは初めて
内容は1957年版とほぼ同じでした
名曲「Sing My Heart」はこの映画で歌われたのが最初で
ハロルド・アーレンがアイリーン・ダンのために作曲したそうです
恋愛映画の王道というか、教科書のような作品で
前半はロマンチック・コメディ
終盤は涙と希望の溢れるラストまでいっきに運んでいきます
世界的に有名なプレイボーイ、ミシェル(シャルル・ボワイエ)は
富豪の令嬢と結婚するため、アメリカに向かう豪華客船で
聡明でユーモアのあるひとり旅のアメリカ人女性
テリー(アイリーン・ダン)と意気投合します
ミシェルは9日間の船旅を一緒に過ごそうと提案しますが
テリーにはニューヨークにパトロンがいました
しかも有名人のミシェルとは、一緒にいるだけで噂の的
お互い離れようとするものの、またくっついてしまう(笑)
そして船がマデイラ島に停泊したとき
ミシェルはテリーを祖母(マリア・オースペンスカヤ)の家に連れて行きます
そこでテリーはミシェルが描いた油絵を見たり
素敵おばあちゃんからミシェルの幼い頃の話を聞いたり
ふたりでカトリックの聖堂で祈りを捧げるうちに
単に気の合う友人ではなく、愛し合ってることに気付くのです
これって石田純一を好きになるわけがないと思っていた女が
思わず石田純一を好きになるようなもの(笑)
遊び人の浮気男だと思って警戒していたのに
実は優しくて才能がある一面を知ったとたん惚れてしまうのです
ミシェルは「自立するまで半年待ってくれ」とテリーにいい
半年後の7月1日午後5時
エンパイアー・ステート・ビルの102階で再会する約束をします
ミシェルは看板描をしながら画家を目指し
テリーはフィラデルフィアのホテルの専属歌手として契約を結びます
ついにやってきた7月1日午後5時
テリーは交通事故に
何も知らないミシェルは待ち続け、そして諦めます
「下へ?」と同じ台詞を繰り返すエレベーター・ボーイ
コミカルなぶん、フラれた男の心情が痛い
そしてそれからまた半年後、ふたりは偶然劇場で出会い
クリスマスの日、テリーの住所を探し出したミシェルは
おばあちゃんがプレゼントをすると約束していたショールを持って
テリーに逢いにやって来くのです
約束の場所に行ったのに、行かなかったと謝るミシェル
行っていないのに、待ちくたびれたと嘆くテリー
その時のお互いの気持ちを代弁しあう
そして画商の言葉を思い出したミシェルが見たものは
鏡に映った「聖母と女性」の絵だったのです
テンポのいい会話のやりとりと、楽天的主観に
決して華々しくはないけれど、最後まで気持ちよく見れる
ファンから怒られそうだけど(笑)
【解説】KINENOTEより
レオ・マッケリーが製作監督した恋愛ドラマで、当時原題のLove Affairが風紀上よろしくないというので、わざわざ日本版の題名をSincerityに改題した。なおマッケリーは戦後の1957年にケイリー・グラント、デボラ・カー主演で再映画化し、「めぐり逢い(1957)」の題名で日本でも公開した。