高知のチャールズ・ブロンソン(マンダムだぜ←トシがバレるぜ 笑)
ギドラさんからプレゼント、第3弾映画レビュー
原題は「LES DIABOLIQUES」(悪魔的な)
本作に触発されヒッチコックは「サイコ」を撮ったと言われてますが
「サイコ」よりずっと面白いと思います
リメイク版は見ているので、オチはわかっていたのですが
それでもイライラ度マックス(笑)
こんな奴殺されても当然と思ってしまう
まず寄宿学校の糞校長ミシェル
妻と愛人に教鞭をとらせ、権力を振りまき威張り腐っている
ケチで子どもたちには糞マズい給食を出している
その妻クリスティーナ
30代半ばでおさげ頭にワンピースという女学生のようないでたち
見た目は可愛いが、優柔不断で神経症
男が思わず殴ってしまいたくなる女というのは、こういう女か
プールの水を抜き死体がついに発見されるかという時に
英語の「find」の活用を授業している(笑)
そしてニコールことシニョレ姐御
さすがの貫禄、平気で人を殺せるタイプ
でも姐さんになら殺されてもいいわ(笑)
苦しまず一気に仕留めてくれそう
ニコールは3日間の休暇を利用して、実家のあるニオールの家へ行き
そこに校長を呼び殺害しようとクリスティーナに提案します
クリスティーナは怖気づき反対しますが、結局横暴な夫に我慢できず
ニコールの言いなりになってしまいます
睡眠薬入りのウィスキーを飲ませ(ジョニ赤は庶民が飲めない高級酒だったのね)
寝こんだところを浴槽で溺死させ
用意して来た大きなバスケットに死体を詰めトランクに乗せる
パリの学校に戻り死体をプールに投げ込みます
だけどいつまで経っても死体が浮かび上がってこない
焦るクリスティーナ
クリスティーナはプールの水を抜くよう命令しますが
そこに夫の死体はありませんでした
しかも、校長が着ていたスーツがクリーニング店から届けられる
二コールとクリスティーナはクリーニング店を訪ね
依頼人の住所を開き訪れますが、そこに住民はいませんでした
不安と緊張の限界を越えたクリスティーナは警察に全て話す決意をしますが
翌朝、セーヌ河で溺死体が発見されたという新聞が届きます
しかし死体公示所で確認した死体は夫のものではありませんでした
その様子を見ていたフィチェット元老警視は
行方不明の校長を探す捜査に協力すると言います
夫の亡霊に怯え心臓病が悪化したクリスティーナは
フィチェットに夫を殺したと告白してしまう
そんな彼女にフィチェットは断言します
アンタは心臓病で死なないし、校長は必ず見つかると
ニコール(シモーヌ・シニョレ)
寄宿学校の理科の先生で校長の愛人
図太い性格で生徒たちに厳しい
校長の妻クリスティーナに校長殺害計画をもちかける
クリスティーナ(ヴェラ・クルーゾー)
夫のミシェルと寄宿学校を経営する理事長で英語教師
心臓が弱いことで夫から役立たず扱いされDVを受けているが
敬虔なカトリック教徒のため離婚できないでいる
本作の6年後、監督で夫のアンリ=ジョルジュと
ブリジット・バルドーの仲が取り沙汰され
神経衰弱に陥ったヴェラがホテルの浴室で心臓発作をおこし
溺死してしまったという本当に怖い話(自殺説もある)
ミシェル(ポール・ムーリス)
パリにある二流の寄宿学校の校長でクリスティーナの夫
学校も財産も実は妻クリスティーナのものであるが
ケチで横暴、公認でニコールと不倫している
フィチェット(シャルル・ヴァネル)
元警視の探偵
身元不明の死体の面会場所で、行方不明の届け出のない面会者を探ってる
クリスティーナを不審に思い無償で夫を探す約束をする
プランティヴォー(ジャン・ブロシャール)
ミセス・プランティヴォー(アミンダ・モントセラト)
寄宿学校で働く用務員の夫と、厨房で給食を作る妻
ドレイン先生(ピエール・ラルケイ)/レイモンド先生(ミッシェル・セロー)
ワイン好き、口うるさい校長がいなくなってせいせいしている
ミセス・ヘルブー(テレーズ・ドーニ)/ ミスター・ヘルブー(ノエル・ロクヴェト)
ニコールが管理人をしているアパートに住む夫婦
ラジオのクイズ番組の大ファン
モワネ少年(ジョニー・ハリーデイ)
生徒のひとり、パチンコで窓ガラスを割る
虚言癖があると先生たちから信用されていない
モワネ少年の言葉から心臓発作で死んだクリスティーナが実は生きていた
という、どんでん返しのどんでん返しになるのですが
終盤のフィチェットの推理による謎解きが描かれないまま
イキナリ結末を迎えたのが残念なところ
ここは部屋に残されたジョニ赤の空き瓶や
アパートに住む夫婦の旦那のほうが
夜中にお風呂にお湯を入れる時間をチェックしていたこと
ガソリンスタンドの親父が荷台の不審な水たまりに気付くところなど
伏線回収して事件解決してほしかった
そして私から見たらニコールやクリスティーナは
嫉妬深かったり強欲だったり、決して悪魔的ではなく普通の女
殿方のみなさん、貴方もいつ奥さんや恋人に
「殺したい」と思われているかもしれません(笑)
それにしても、シニョレ姐御はやっぱりカッコいい
ギドラさんのおかげで、またしても素晴らしい名画を堪能させていただきました
そしてブニュエルへと続く
私のフランス映画愛が止まらない
【解説】allcinema より
P・ボワローとT・ナルスジャックのミステリを、H=G・クルーゾーが映画化した作品で、「恐怖の報酬」(52)とはまた質の異なる突出したサスペンス描写に彩られた傑作。
舞台はパリ近郊の寄宿学校。校長のミシェル(P・ムーリス)は妻クリスティナ(V・クルーゾー)の莫大な財産の上に今の地位を築いていたが、その横暴ぶりにクリスティナの心労は極みに達していた。ミシェルの愛人でもある女教師ニコル(S・シニョレ)は彼女に同情し、二人して彼の殺害を企む。クリスティナとニコルは週末を利用してニコルの実家に赴き、ミシェルへ離婚の決意を告げる。やがて彼女を連れ戻そうと現れたミシェルは、薬入りの酒を飲まされバスタブで溺死させられる。死体をトランクに隠すと、学校に戻りプールの底に沈めてしまうクリスティナとニコル。後は死体が誰かに発見されるのを待つばかりであったが、なかなかその状況が生まれない。やむなく理由をつけてプールの栓を抜くことを命じるクリスティナ。だが、そこにはミシェルの死体など存在しなかった……。
ここから先の物語は礼儀として記す訳にはいかないが、じわじわと醸造される緊迫感、白黒の映像だからこそ活きてくる怪しい雰囲気など、全編に渡って実に巧妙な造りである。74年に“REFLECTIONS OF MURDER”(監督ジョン・バダム)としてTVムービー化された他、96年にはシャロン・ストーンとイザベル・アジャーニ共演によるリメイクも製作された。