原題は「THEAWFUL TRUTH」(認めたくない事実)
"AWFUL"は「ひどい」という意味ですが
ここでは「愛している」の裏返しとしても使われているそうです
邦題はどうでしょう
見る前までは、森繁久彌さんの「社長シリーズ」なのかな、と
勘違いしていました(笑)
それくらい知らない作品だったのですが
スクリューボール・コメディの代表作のひとつで大当たりし
BBCが選出した歴代のコメディ映画ベスト100に選ばれ
小説家でコラムニスト、映画評論もなさる小林信彦さんも
オール洋画のベスト100に入れているそうです
ドタバタズッコケぶりも見事ですが
なんといっても素敵なのが、ワンちゃんと猫ちゃんの使い方
アスタ(別名スキッピー)という名前のワイヤーフォックステリアで
代表作は20作以上というという超売れっ子俳優犬だったそうです
こんなに可愛くておりこうさんなら
離婚調停で「犬の所有権」を争うのも当然です
物語は、夫のジェリー(ケイリー・グラント)が
フロリダへ出張だと嘘を言って、男友達と一晩ポーカーを楽しみ
フロリダに行ったかのようにサロンで日焼けするシーンから始まります
(この頃から日焼けサロンがあったのね←日焼けメイクがわざとらしい)
夫が家に帰ると、妻のルーシー(アイリーン・ダン)は
車の故障で、声楽教師の男とやむなくホテルに一泊したと
あとから帰宅してきます
夫は自分の事を棚に上げて妻の不謹慎を責め
夫の浮気を疑います
ふたりは離婚調停の法廷へ
90日後に離婚が成立という判決が下されます
だけど、お互い相手のことが気になってしょうがない
相手に恋人ができると、心中穏やかならず
知らず知らずのうちに、妨害工作に出てしまうのです
コメディのセンスのすばらしさには驚かされます
声楽教師の家で忍術で投げられ、イスからズッコケる(笑)
サイズのあわない帽子をどうにかあわせようとする
アイリーン・ダンのほうも夫の恋人の家に押しかけ
妹と偽って傍若無人に振舞うシーンは最高
その下品さといったら!
ほかの上流社会を描いたコメディ映画に見られるような
金持ち階級の嫌味が全くなく、チャーミングなのです
そして次第に脇キャラは次々に消えていき
「演技」だけで魅せるふたり芝居になっていきます
柱時計の男女のからくり人形も洒落ていますね
またひとつ、知らざれる名作との出会いがありました