エアポート'80(1979)

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原題は「THE CONCORDE-AIRPORT '79」(コンコルド/エアポート'79

コンコルド」はイギリスとフランスで共同開発された

マッハ2.04毎時という戦闘機並みの音速旅客機

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ロンドンとニューヨークをわずか3.5時間で飛行でき

ブリティッシュ・エアウェイズの前身である英国海外航空や

エールフランスはもちろん、JAL日本航空)など

大手航空会社がこぞって発注したそうですが

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1973(昭和48)年第四次中東戦争の影響を受け

世界的にオイルショックが発生

航空会社は「コンコルド」を運航する余裕が無くなってしまったうえ

従来の旅客機に比べて長い滑走路が必要で騒音も大きい

音速を突破する際に衝撃波(ソニックブーム)が発生することから

運航できる路線が限られてしまいます

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さらに2000年のコンコルド墜落事故

2001アメリ同時多発テロによる世界的な航空不況により

2003コンコルド退役を余儀なくされます

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ということで、本作の主役はトップ・クレジットのドロンさまではなく

ほぼ「コンコルド」(でもパイロット姿のドロンさまには萌え 笑)

それだけ70年代では話題になり、人気の飛行機だったのでしょう

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とはいえ設定には無理がありすぎて、酷評につぐ酷評

旅客機にミサイルを撃ち込むなんてワールド・トレード・センター並みの

テロ行為だし(でもアメリカならやりかねないと思ってしまう)

コンコルドとジェット戦闘機のチェイスも不可能

ドラマは薄っぺらだし、シルビア・クリステルも脱がないと意味がない

と、超ツッコミ入れ放題 (笑)

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おおまかなあらすじは、ソ連親善スポーツ選手団や招待客を乗せ

パリ経由でプレ・オリンピックが開かれるモスクワまで

飛行する予定のコンコルドに、取材のため乗り込んだ

ニュース・キャスター(スーザン・ブレイクリー)

そのとき彼女は大手軍需企業の武器の密輸に関する

機密書類を渡されていました

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そこでキャスターの恋人であり、軍需企業の黒幕(ロバート・ワグナー)は

書類を亡きものにするためコンコルドごと

最新ミサイルや戦闘機を駆使して墜落しようと企むのです

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ミニチュアを使った特撮はなかなかの出来で
F15
(イーグル)もF4(ファントム)も出てくるし(笑)

飛行機好きなら愛を感じるシーンもありますが

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ジョージ・ケネディは、音速飛行中のコンコルドの窓を手で開け信号弾を撃ったり

爆破により座席の横の通路が抜け

エディ・アルバートが吸い込まれそうになるのですが

手をひっぱり座席ごと軽々と持ち上げ助けるというスゴ技

ジョージが「大丈夫か?」と訊ねると

「ここは特等席さ」と爽やかに笑うアルバート(笑)

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最後はコンコルドが、都合のいいことに作業員がたくさんいる雪山に不時着して

事故の余韻もなく全員サクサクと救出され

黒幕は武器の密輸をニュースで放映され銃身自殺

(民間人乗せたコンコルド墜落させたほうが問題だと思うけど)

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だけど翌年のモスクワ・オリンピック・ボイコットや

本作の撮影で使われたコンコルド2000年の墜落事故機体であることなど

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だだの駄作とは言い切れない、何かしら未来を予知したような

因縁を持った作品のように感じました

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【解説】allcinema より

米国の航空会社として初めて購入したコンコルドが、ベテランのパイロット、ポールの操縦でフランスから帰国した。このニュースは人気キャスター、マギーの番組でも取り上げられ、また一方では、彼女の恋人でもある実業家ハリソンの会社が新型攻撃ミサイルを開発した、という報道もあった。だがやがて、マギーはハリソンの会社による武器の不正輸出を知ってしまい、モスクワへ親善飛行するコンコルドへの搭乗を機にその事実を国外で公表しようとする。それを知ったハリソンはミサイルを駆使してコンコルドを攻撃。コンコルドはポールらの操縦テクニックで奇跡的に撃墜の危機を免れるのだが…。
 「エアポート」シリーズ第4弾。武器の密売を行う実業家が売上拡大を狙ってコンコルドを撃墜させる政治的陰謀を企てた!さすがにこの本家のシリーズだけあって多くの航空パニックの亜流に比べて、コンコルドの起用とそれを追うミサイルという設定は群を抜くが、薄っぺらな人間ドラマのみが目立つ空疎な作品。米TV放映時は19分のシーンが追加された