原題は「De la part des copains」(友人から)
「激突!」(1971)「ヘルハウス」(1973)や
傑作恋愛映画「ある日どこかで」(1979)で知られる
リチャード・マシスンの同名小説をフランス(イタリア合作)で映画化
フランス語が堪能なチャールズ・ブロンソンは吹替なし
この頃はフランス映画にも立て続けに主演していて
フランスでの人気の高さがわかります
ブロンソンは南フランスで観光クルーザーのオーナー兼
ボートの運転のインストラクターをしており
地元の人々に愛され、妻(リヴ・ウルマン)との間には12歳の娘がいます
ある日いつも通り仕事を終え帰宅すると
妻が何者かから不審な電話があったと言う
その夜、見知らぬ男が現れブロンソンを殴り倒すと
ブロンソンは隙を見て男を殺してしまいます
妻と死体を崖に捨て自宅に戻ると、3人の男が待っていました
死んだ男と彼らは昔のムショの脱走仲間で
アヘンを密輸するためブロンソンにクルーザーを貸すよう頼みにきたのです
妻子を人質にし強引に犯罪に協力させようとします
同年の「雨の訪問者」に続いての”訪問者シリーズ”のようですが(笑)
テレンス・ヤング監督による全く別物のサスペンスドラマ
プロットは悪くないのですが、妻が思いのほか夫を信じきっていて
疑念がないのでサスペンス感は薄め
しかも悪玉の親分、ジェームズ・メイスン以外の悪役が頼りなく
緊張感に欠ける(笑)
でもクライマックスの、コートダジュールでの
海岸絶壁カーチェイスはなかなかいい
親分の愛人でヒッピー女(でブロンソンの実の妻)のジル・アイアランドを
脇でキャアキャア叫ばせながら寡黙にハンドルを切るブロンソン
子分のひとりがアヘンで手に入れた金を狙いメイスンを撃ち
メイスンが死ぬ前に医者を連れて行かなければ、妻子の命が危ない
しかしメイスンは命絶えてしまいます
(ここ、メイスンのゾンビメイクを笑ってはいけない 笑)
妻はメイスンを治療した消毒用アルコールを子分の顔にあびせ
娘と外に逃げ草原に火を放ちます
そこに危機一髪戻ってきたブロンソン
再び、ブロンソンは妻子を連れ子分と共に港に行き
アヘン取引のため海へ向かいます
この子分はロリコンで、お金以外にも12歳の娘が目当てなんですね
でもそれが命取になって、娘に見とれているうち
ブロンソンに船の救難用信号拳銃に撃たれ、火だるまになって海にドボン
親子が港に戻ると、そこはパリ祭の夜の賑わいたけなわでした
一流の役者にスタッフをそろえたわりにB級感は拭えませんが(笑)
普通に面白いし、楽しめます
何より一番脂がのっていたころの、ブロンソンの良さが感じられる
ブロンソンファンなら必見の1作でしょう
【解説】KINENOTEより
南仏の或る港町の平和な家庭に突如、訪れた危機。サンペンスいっぱいにその闘いを描く。製作は「告白」のロベール・ドルフマン、監督は「007/危機一発」「暗くなるまで待って」のテレンス・ヤング、リチャード・マシスンの原作をシモン・ウィンセルベルクと「地下室のメロディー」のアルベール・シモナンが共同脚色、撮影は「シェルブールの雨傘」のジャン・ラビエ、音楽は「軍曹」のミシェル・マーニュ、美術をトニー・ローマン等が各々担当。出演は「狼の挽歌」のチャールズ・ブロンソン、「ペルソナ」のリヴ・ウルマン、「ブルー・マックス」のジェームズ・メイソン、ブロンソン夫人で「狼の挽歌」のジル・アイアランド、その他、「アルデンヌの戦い」のミシェル・コンスタンタン、ジャン・トパール、ルイジ・ピスティリ、ヤニック・ドリュールなど。