エリック・ロメールの「喜劇と格言劇」シリーズ第 2作目
原題は「Le beau marriage」(理想の結婚)
29歳になり結婚に焦り出した女性、クラリスが
ズルズルと不倫関係を続けてきた恋人が
妻と離婚する気がないことにやっと気付き
別の結婚相手を本気で探そうとするお話
「結婚する」「結婚相手はこれから見つけるを」という信念を
エリートでハンサムな理想の男、エドモンを紹介します
どうやらエドモンもサビーヌに気があるよう
最初は意気投合したかのように思えましたが
彼女は彼に好かれようと、偶然を装ったり
思わせぶりな素振りをしたり、関心がないふりをしたり
彼を「振り向かせ」(実は「振り回す」)ようと、あの手この手
エドモンは大人で、しかも弁護士という職業上
サビーヌが「面倒臭い女」であることをすぐに察します
仕事を理由に、スマートに穏便に断ろうとするわけですが
そのやさしさが、逆効果
サビーヌはますます本気になり、彼からの連絡を待つ日々
彼の事務所にしつこく電話をしたり、ついには押しかけてしまいます
日本人は自分の気持ちを、ここまで言葉では表現しないけど
好きな人のことばかり考えて、周りの空気が読めなくなり
イライラしたり、誰かに当たったり、泣き散らしたり
こういうタイプ(自分では気付いていない)って意外と多いかも
サビーヌ(ベアトリス・ロマン)
パリで美術史の勉強をしながら、骨董店でバイトしている
長年の不倫を清算し、結婚相手を探している
忙して裕福なビジネスマンと結婚し、旦那の給料で自由な生活を送るのが夢
シモン(フェオドール・アトキーヌ)
画家で妻子持ち、アトリエでサビーヌと逢引している
サビーヌと別れた後も、彼女の恋愛相談相手になる
クラリス(アリエル・ドンバル)
サビーヌの親友で、趣味の絵の小物のブティックを持っている
裕福な医者の妻、サビーヌの憧れ
サビーヌに従弟のエドモンを紹介し
親切心とはいえ、サビーヌも、エドモンのことも、無駄に煽るおせっかい
エドモン(アンドレ・デュソリエ)
クラリスの従弟で、30代半ばの弁護士
骨董店に勤めているサビーヌに
祖母にプレゼントしたい陶器があることを相談をする
後日、サビーヌから陶器が見つかったと連絡が入り購入したものの
その後もサビーヌから誘いが来るようになり
従妹の親友なので無下にも出来ず困惑する
骨董店のオーナー(ユゲット・ファジェ)
サビーヌが得意先から、店に無断で客(エドモンに)に
骨董の陶器を売ったことを咎める
サビーヌはオーナーと喧嘩し勝手に店を辞めてしまう
自分が追い求めていた、理想の男や結婚は幻だった
彼女が高望みを捨て、運命に身をまかせたとき
ロメールは素敵なプレゼントを用意していました
オープニングとエンディングのリンク
巻き毛の男性は微笑む、あのときの彼女だと
でもサビーヌはまだ気付いていない
好きな人に対して、無理して背伸びしても長続きしないもの
大切なのは、自分の自然な姿を好きになってくれる人
そして諦める必要はない
何回失敗したとしても、幸せになる権利は残っているのです
【解説】映画.COMより
ヌーヴェル・ヴァーグの名匠、エリック・ロメールの連作シリーズ『喜劇と箴言』の第2作。製作は80年代のロメールの全作を手掛けたマルガレット・メネゴズ。脚本もロメール撮影は「飛行士の妻」に引き続き、ベルナール・リュティックで、当時としては珍しくフジカラーが使われて独特の色彩効果を出している、同時録音による録音は「飛行士の妻」のジョルジュ・プラとジェラール・ルカで、通常のブーム・マイクに加えて新式のワイヤレスマイクが駆使された。編集は「モード家の一夜」以来監督と組むセシル・デキュジスとリサ・ヘレディア。出演は「クレールの膝」のベアトリス・ロマン、「メランコリー」の名優アンドレ・デュソリエほか。撮影は24時間耐久レースで有名なルマンを中心に行われた。フランス・シネマ大賞受賞。