美しき結婚(1982)

f:id:burizitto:20211216173134j:plain

エリック・ロメールの「喜劇と格言劇」シリーズ第 2作目

原題は「Le beau marriage」(理想の結婚)

 

29歳になり結婚に焦り出した女性、クラリス

ズルズルと不倫関係を続けてきた恋人が

妻と離婚する気がないことにやっと気付き

別の結婚相手を本気で探そうとするお話

f:id:burizitto:20211216173143j:plain

「結婚する」「結婚相手はこれから見つけるを」という信念を

親友のクラリスに相談すると、クラリスは義理の妹の結婚式で

エリートでハンサムな理想の男、エドモンを紹介します

どうやらエドモンもサビーヌに気があるよう

最初は意気投合したかのように思えましたが

 

彼女は彼に好かれようと、偶然を装ったり

思わせぶりな素振りをしたり、関心がないふりをしたり

彼を「振り向かせ」(実は「振り回す」)ようと、あの手この手

f:id:burizitto:20211216173209p:plain

エドモンは大人で、しかも弁護士という職業上

サビーヌが「面倒臭い女」であることをすぐに察します

仕事を理由に、スマートに穏便に断ろうとするわけですが

 

そのやさしさが、逆効果

サビーヌはますます本気になり、彼からの連絡を待つ日々

彼の事務所にしつこく電話をしたり、ついには押しかけてしまいます

f:id:burizitto:20211216173223j:plain

日本人は自分の気持ちを、ここまで言葉では表現しないけど

好きな人のことばかり考えて、周りの空気が読めなくなり

イライラしたり、誰かに当たったり、泣き散らしたり

こういうタイプ(自分では気付いていない)って意外と多いかも

 

 

サビーヌ(ベアトリス・ロマン)

f:id:burizitto:20211216173240j:plain

パリで美術史の勉強をしながら、骨董店でバイトしている

長年の不倫を清算し、結婚相手を探している

忙して裕福なビジネスマンと結婚し、旦那の給料で自由な生活を送るのが夢

 

シモン(フェオドール・アトキーヌ)

f:id:burizitto:20211216173309j:plain

画家で妻子持ち、アトリエでサビーヌと逢引している

サビーヌと別れた後も、彼女の恋愛相談相手になる

 

クラリス(アリエル・ドンバル)

f:id:burizitto:20211216173352j:plain

サビーヌの親友で、趣味の絵の小物のブティックを持っている

裕福な医者の妻、サビーヌの憧れ

サビーヌに従弟のエドモンを紹介し

親切心とはいえ、サビーヌも、エドモンのことも、無駄に煽るおせっかい

 

エドモン(アンドレ・デュソリエ

f:id:burizitto:20211216173402j:plain

クラリスの従弟で、30代半ばの弁護士

骨董店に勤めているサビーヌに

祖母にプレゼントしたい陶器があることを相談をする

後日、サビーヌから陶器が見つかったと連絡が入り購入したものの

その後もサビーヌから誘いが来るようになり

従妹の親友なので無下にも出来ず困惑する

 

骨董店のオーナー(ユゲット・ファジェ)

f:id:burizitto:20211216173411j:plain

サビーヌが得意先から、店に無断で客(エドモンに)に

骨董の陶器を売ったことを咎め

サビーヌはオーナーと喧嘩し勝手に店を辞めてしまう

 

 

自分が追い求めていた、理想の男や結婚は幻だった

彼女が高望みを捨て、運命に身をまかせたとき

ロメールは素敵なプレゼントを用意していました

 

オープニングとエンディングのリンク

巻き毛の男性は微笑む、あのときの彼女だと

でもサビーヌはまだ気付いていない

 

好きな人に対して、無理して背伸びしても長続きしないもの

大切なのは、自分の自然な姿を好きになってくれる人

そして諦める必要はない

何回失敗したとしても、幸せになる権利は残っているのです

 

 

【解説】映画.COMより

ヌーヴェル・ヴァーグの名匠、エリック・ロメールの連作シリーズ『喜劇と箴言』の第2作。製作は80年代のロメールの全作を手掛けたマルガレット・メネゴズ。脚本もロメール撮影は「飛行士の妻」に引き続き、ベルナール・リュティックで、当時としては珍しくフジカラーが使われて独特の色彩効果を出している、同時録音による録音は「飛行士の妻」のジョルジュ・プラとジェラール・ルカで、通常のブーム・マイクに加えて新式のワイヤレスマイクが駆使された。編集は「モード家の一夜」以来監督と組むセシル・デキュジスとリサ・ヘレディア。出演は「クレールの膝」のベアトリス・ロマン、「メランコリー」の名優アンドレ・デュソリエほか。撮影は24時間耐久レースで有名なルマンを中心に行われた。フランス・シネマ大賞受賞。