クリーム抜きコーヒーを頼んだら
「クリームが無いのでミルク抜きコーヒーにしてくれませんか」と言われた
原題も「NINOTCHKA」
伝説の女優グレタ・ガルボ、初のコメディ主演
「笑わない女優」ガルボが笑うシーンがあることから
「Garbolaughs!」(ガルボ笑う)というキャッチ・コピーまで使われたそうです
ルビッチに師事したビリー・ワイルダーが脚本に加わっているせいか
ワイルダーらしさが随所に感じられて楽しい
ソ連商務局から、ロシア大公妃から没収した宝石を売るため
パリに派遣された3人の使節、ラツイニン、イラノフ、ブルジアノフ
高級ホテルを覗いたのをきっかけにパリの豊かさに驚き
シャワーもない安ホテルをやめて、ロイヤルスィートにお泊り
そこにパリに亡命した大公妃の愛人レオンが現れ
可愛いフレンチメイドにどんどん料理や酒を運ばせ
3人組を酔わせて狂喜乱舞の大騒ぎ
3人組は仕事を忘れ、すっかり骨抜きにされてしまいます
帽子掛けの帽子が毛皮から、シルクハットに変わる演出がうまい
そこにガチガチの共産主義で国家一筋の軍曹
スィートルームに招かれ、フレンチメイドの来訪に
「煙草を吸いすぎたわね」のクールな一言(笑)
ニノチカは資本主義の建築物や、生活を学ぼうと街に出ようとすると
綺麗な女性には声を掛けるのがパリ男の礼儀というもの
ストーカーのようなレオンを気にすることもなく
ニノチカは実務的な数字だけに興味を持ちます
エッフェル塔(エレベーターは無料)は階段で登り
タクシー運転手行きつけの労働者が集まる安食堂に行き
追いかけてきたレオンのジョークにも全くウケない
しかし自信過剰のブルジョア貴族レオンが
大ゴケして椅子からダサく落ちたのには、さすがのニノチカも大笑い
レオンを受け入れるようになります
とはいえ執事に対して「こんな年寄りを働かせて可哀そう」と批判したり
キスをしても「殺したポーランド兵にもキスをした」と
鉄の扉は厚い
だけどレオンはあきらめない(笑)
国や主義思想を超えて、本気でニノチカに恋をしてしまったのです
花束と一緒にヤギのミルクをプレゼントする演出は素敵
それは「ヤギのミルクを飲む貴女も魅力的」というメッセージ
「ヤギのミルクで育って、軍隊ではウォッカしか知らない」と
と言ったのを覚えていてくれたのです
男性諸君、女性が「何気に行った一言」を覚えているって
これ大事よ
パリで流行りのヘンな形の帽子をかぶる、ニノチカが乙女(笑)
そして、レオンとニノチカの関係に気付いた大公妃との女の戦い
ニノチカはレストランで泥酔してしまい、リベラルな説教を始め
おまけにホテルで宝石を奪われるという失態を犯してしまいます
大公妃からいますぐソ連に帰るなら、宝石を返すと条件をつけられ
ニノチカはレオンと再会することなく3人組と帰国の飛行機に乗ります
ソ連のニノチカの部屋は、隣の部屋から部屋に移動する同志たちの通行路
ニノチカの報告書によってシベリア行きを免れた3人組と集まり
配給卵でオムレツパーティー
そこに、レオンからニノチカ宛にラブレターが届くものの
検閲で黒く塗られ、中身を読むことはできません
これって森友問題の黒塗り資料(のり弁)と同じじゃん(笑)
今の日本政府がスターリン政権下のソ連共産党と同じことをしてるって
かなり問題じゃね?
3人組は次の任務でトルコに毛皮を売りにいくことになりますが
仕事もせず大騒ぎしているという報告が入り
トルコで待っていたのは、ロシア料理店を開業した3人組とレオンでした
私、ビザや亡命の仕組みはよくわからないのですが
トルコでは正当な仕事があったり、結婚すれば強制送還されない
という解釈で正しいのでしょうか
めでたくニノチカはレオンと結ばれました
ただ私がガルボの伝説を知るには
まだまだ彼女の主演作を見なくてはならないようです
テンポもよく、よくできたラブコメでしたが
さほど美人には見えないし(笑)
ガルボの魅力を十分に理解できなかったことが残念です
【解説】allcinemaより
革命後のロシアから花の都パリへ、三人の役人がやってきた。彼らの使命は、貴族から没収した宝石を売り払うことにある。それを知った亡命婦人は、恋人(ダグラス)に命じて、三人に取り入らせる。不信をいだいたロシア政府は、ニノチカという名の女闘士(ガルボ)を派遣した。コチコチの共産主義者である彼女は、亡命婦人の恋人の魅力にも懐柔されないかに思えたが……。共産主義のかかえる人間性の問題を笑い飛ばした、ルビッチのロマンチック・コメディ。「絹の靴下」は本作のリメイクにあたる。