スターリンの葬送狂騒曲 (2017)

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原題は「THE DEATH OF STALIN」(スターリンの死)
アドルフ・ヒトラー(1889~1945)は、独裁者の代名詞のような人物で
映画も数えきれないほどありますが

スターリンや、ベリヤや、フルシチョフのことは意外と知らない
なので実話をもとにしたコメディと言われても
どこまでか真実なのか、パロディかわからず笑えない

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たぶん、ロシアで復活しているという
スターリン崇拝への警鈴として作られたとは思うのですが

むしろ、架空の国の架空の政治家のギャグにしたほうが
「これってスターリン?」
「ブシェミがフルシチョフなんてふざけてるー」
「首相のご機嫌取りや取り巻きって、今の内閣にもあてはまるね」
「もし首相が倒れたら、同じような醜い政権争いが起こるかも」
とかなんとか(笑)
イマジネーションが膨らんだような気がします

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1953年ソ連、情け容赦なく拷問や処刑や暗殺が行われた時代
スターリンの別荘では最高首脳たちによる宴会が行われ
下品なジョークが交わされていました

宴会の途中、モスクワ市内で行われていたモーツァルトのコンサート会場に
スターリンは電話して録音を届けるよう命令します
既にコンサートは終わっており、プロデューサーは演奏家や観客を呼び戻し
再び演奏をやり直してなんとか録音レコードが作成
ピアニストのマリアはレコードの包装にスターリン宛の手紙を忍ばせ
手紙を読んだスターリンは突然の発作に襲われ倒れてしまいます

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医者を呼ぼうにも、有能な医者は思想犯として処刑か投獄
年寄りか役立たずしか残っておらず、スターリンは意識を戻すことなく死亡

表向きは厳粛な国葬の準備を進めながら、側近たちは後継を巡って大騒ぎ
スターリンのお気に入りだけど無能なナンバー2、マレンコフ
閣僚たちの弱味を握り、マレンコフを操る警察官僚、ベリヤ
ベリヤを失脚させたい第一書記、フルシチョフ

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ベリアは人気取りのため、粛清対象として逮捕した囚人たちを釈放させ
モスクワの警備をソ連軍から管轄下にあるNKVDに交代
スターリンの葬儀では弾圧してきたロシア正教会の主教を招きます

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フルシチョフは葬儀を混乱させるため、べリアが停止させていた鉄道を発車させ
それにより地方から多くの群衆が葬儀に押し寄せ、揉みくちゃになり
現場を制御する事が出来ず150人もの死者が出てしまいます
フルシチョフはそれをNKVDの隊員が発砲したせいだとベリヤを追及します

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また漁色家であることが災いして、結局ベリヤが権力闘争に敗れ
(史実上では、べリアの自由化政策により東ベルリンで民主化デモが起こったため)
形ばかりの密室裁判で射殺され、死体はガソリンを掛けられ燃やされます

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べリアの死後、絶対権力を握ったのはフルシチョフ
しかし彼の先行きにもまた、暗雲が立ち込めていました

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本国ロシアでは、「歴史映画としても芸術映画としても価値がない」と
封切り3日前に上映が中止されたそうですが
(撮影をロシアで行わせたのは太っ腹 笑)
たとえば韓国で、東条英機を主役にしたコメディが制作されたら
日本政府も上映を中止するような気がします
(そう思うと、ドイツは太っ腹)

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でも、こういう作品を通じて若い世代も
スターリンや粛清を考えるきっかけにはいいかも知れません
実際私も、登場人物にもなっている当時のソ連の権力者たちを調べてみて
ベリヤの変態には興味もちました(そこか?)
やはり人間は、あまり長い間権力を握るものではないのです

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【解説】KINENOTEより
ソ連の独裁者スターリンの死をきっかけに巻き起こる後継者争いを、実力派キャストの共演でシニカルなユーモアたっぷりに綴ったコメディ。1953年3月2日。危篤に陥ったスターリンの後継者の座を狙う側近たちは、姑息で熾烈な頭脳戦を繰り広げるが……。出演は「靴職人と魔法のミシン」のスティーヴ・ブシェミ、「ターザン:REBORN」のサイモン・ラッセル・ビール、「マイ・ベスト・フレンド」のパディ・コンシダイン。「In the Loop」でアカデミー賞脚色賞候補になったアーマンド・イヌア