クロワッサンで朝食を(2012)


パリってだけで好きなんですけど(笑)

 

原題はUneEstonienne à Paris 」(パリのエストアニア人

享年89歳で亡くなった名女優ジャンヌ・モロー遺作

 

シックでエレガントシャネルの衣装

東洋風の調度品を取り入れたインテリア

クロワッサンへのこだわり

自由な恋愛観

 

ハイブランドなもの中身の詰まった女性が身に着けてこそ価値がある

この役はジャンヌ・モローにぴったりだと思いました

ちなみに作中でモローが着ている洋服やアクセサリーは

ココ・シャネルと交流があったモローの全て私物であるということ

80歳を過ぎてもスタイルを維持しているというのも凄い

 

映画のストーリーそのものは
正直あまり面白くはありませんでしたが(笑)
エストニア人というのは気難しい性格の人が多いのでしょうか

そして日本人の私たちには理解の難しい階級の壁

 

 

雪深いヨーロッパの国、酒癖の悪い夫との結婚は失敗

長い介護生活の末に痴呆の母親を看取ったアンヌのもとに

パリで家政婦をしないかという仕事が舞い込みます

 

どこの国の人にとっても、やっぱりパリは憧れなんですね(笑)

しかし彼女を待ち受けていたのは

高級アパートで暮らす気難しい老女フリーダでした

しかも即刻クビにされてしまいます

 

アンヌを雇ったカフェを経営者、ステファンは

それでもどうにかフリーダの面倒を見てくれと頼みます

そしてフリーダの息子だと思っていたステファンは

なんとフリーダの元愛人だったのです

 

どうして朝食(クロワッサン)を食べないのかと尋ねるアンヌに

「プラスチックの味がする、パンはパン屋で買うものだ」と答えるフリーダ

これも、パリっ子はパン屋でパンを買うのが当たり前だけど

エストニア人はスーパーで袋入りのパンを買うのが普通なのでしょう

 

辛辣にアンヌのことを責めるフリーダ

愛がほしいのに他者を傷つけてしまう姿が苦しい

それに対してアンヌもしっかりと口を返す(笑)

ここらへん、相手がボスでも容赦しません

 

パリに執着することが唯一の共通点のふたり

フリーダは自分が移民としてやってきたころを

アンヌに重ねる時もあるのでしょう

少しづつアンヌに気持ちを許していきます

 

しかし出かけたカフェでステファンに突き放されてしまい

また機嫌を損ねてしまうのです

そしてアンヌが招待したエストニア人の古い友人達とも

言い争いになり追い返してしまいます

 

さすがのアンヌもあきれ果てエストニアに帰る決心をします

鍵の開いた薬の棚が哀しい

だけどアンタ、ステファンと寝てしまうんかい(笑)

 

この作品に面白みを感じられなかったのは

実際の親の介護の現場とかも、きっとこうだからなのでしょう

いくら面倒を見ても、感謝の言葉どころか文句ばかり言われる

ときどきは機嫌がよくなるものの、また喧嘩、その繰り返し

 

介護する側にも、される側にもストレスがたまり

「死ぬのを待ってる」と口にしてしまうのもわかります

 

それでもエストニア人同士、心の通じるところがあるでしょう

アンヌはパンプスをブーツに履き替え、フリーダのもとに戻ってきます

 

パリに来てヒロインがだんだんと綺麗になっていくのがいい

モローも真っ赤な口紅とマニキュアがよく似合う

フランス映画を見ると女性はいくつになっても綺麗にしなきゃいけないと

しみじみ思わされます

 

そして朝のエッフェル塔を見上げながら食べる焼きたてのクロワッサン

これには本当にクロワッサンが食べたくなります(笑)

 

本作が長編映画初監督となるエストニアの俊英イルマル・ラーグが、母親の実話をもとに描く感動のヒューマンドラマ。フランスが誇る大女優ジャンヌ・モローが主演を果たし、作品は2010ロカルノ国際映画祭のエキュメニカル賞に輝いた。生まれも育ちもまったく異なる二人の女性が、反発しながらも固い絆で結ばれていく過程をリアルに描いていく。
 憧れのパリで家政婦の仕事をすることになったアンヌ。母を看取ったばかりのアンヌはエストニアを発つが、彼女を待ち受けていたのは毒舌で気むずかしい老婦人フリーダだった。高級アパルトマンに一人で暮らすフリーダは、おいしいクロワッサンの買い方すら知らないアンヌを追い返そうとするが、アンヌの中にかつての自分を重ねるようになり…。