飛行士の妻(1981)

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エリック・ロメールの「喜劇と格言劇」1作目

原題も「La femme de l'aviateur

ロメールならではの「論争して論争して和解」

この後あらゆる恋愛映画が、ロメールの影響を受けているんだろうな

 

法学生のフランソワは

恋人のアンヌのアパートの配管を直す都合を聞くため

早朝(彼女を起こさないため)メモを置きに行くと

アンヌの元不倫相手のパイロット、クリスチャン

部屋から出るのを目撃してしまいます

 

フランソワはアンヌとクリスチャンがヨリを戻したのではないかと

勘違いして激しく嫉妬、アンヌと大喧嘩

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そして偶然クリスチャンが女性といるところを見かけたフランソワは

クリスチャンを追いかけ

フランソワに興味を持った高校生のリュシーは

フランソワと行動を共にすることにします

 

アンヌにとってクリスチャンは国際線のパイロットという憧れの存在

騙されているとわかっていても、好きになってしまう

一方のフランソワは垢ぬけないし、しつこいし、イライラするけれど

こんな神経質で我儘で、「拒絶ワード」の乱打する(笑)私を受け入れてくれる

いい男には遊ばれて捨てられるけど

童貞クンやモテないクンは振り回すあるある女

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一方フランソワにとって、アンヌは年上だけど見た目がタイプで一目惚れ

しかも初めて付き合った女性なのだろう

何でもいいなりになってしまう優柔不断男

リュシーという快活で可愛い女の子が現れ思わず惹かれてしまうが

15歳と知り、好きになることを躊躇している

 

フランソワがわかりやすい(笑)

カフェでクリスチャンを見つけた時の顔とか最高

でクリスチャンを尾行してるつもりが、分かれ道ではクリスチャンではなく

リュシーの行くほうに思わず付いていってしまう(笑)

男の子の浅はかさを何気に描くうまさよ

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リュシーもわかりやすい

なによりアンヌのように面倒臭くない
でもこういう可愛い娘が、一番したたかで罪深いんだろうな(笑)

無意識のうちに男を虜にして、勝手に向こうからいい男がやってくる

 

アンヌが嵐の中を彷徨う迷える子羊なら

リュシーは太陽の下で幸せを掴むサラブレッド

 

結局フランソワもアンヌも、どちらも負け犬似た者同士

このふたり、最終的にうまくいくことはないでしょうが

関係は、もうしばらく続くでしょう

 

 

フランソワ(フィリップ・マルロー)

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郵便局で夜間のアルバイトをしながら、法学部に通う20の青年

5歳年上のアンヌと付き合っているが

彼女が不倫相手のパイロットとヨリを戻したと勘違いし激しく嫉妬

アンヌを怒らせ、街で偶然見かけたパイロットを尾行する

 

 

アンヌ(マリー・リヴィエール)

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25歳のOL

ある朝物音に気付いて目覚め、玄関前にいたクリスチャンを部屋に招きいれると

「妻が妊娠したから別れる、妻を愛している」と告げられショックを受ける

 

クリスチャン(マチュー・カリエール)

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国際線のパイロット(アンヌの憧れの職業なのだろう)で

アンヌの不倫相手

 

リュシー(アンヌ=マリー・ムーリ)

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クリスチャンを尾行するフランソワに興味を持ち、尾行につきあう女学生

アンヌとクリスチャンとその妻の関係を、あれこれ想像し

結果がわかったら教えてとフランソワに住所を教える

が、実はお熱い彼氏がいた

 

 

そして、どこにいたのか「飛行士の妻」

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ロメールって、意地悪(笑)

 

 

【解説】映画.COMより

ヌーヴェルバーグの指導的立場にあったエリック・ロメールが、80年代に向けて放った新しい連作シリーズ『喜劇と箴言集』の第1作。製作はロメールの“菱形映画社”でマルガレット・メネゴス。撮影はベルナール・リュティックがあたり、16ミリの撮影フィルムが公開用に35ミリにブローアップされている。同時録音による録音はジョルジュ・ブラ。編集は「モード家の一夜」以来組むセシル・デキュジス。音楽はジャン=ルイ・ヴァレロで、ラストシーンの挿入歌『パリは私を魅了した』を歌うのはアリエル・ドンバル。出演は当時パリ第三大学の学生だったフィリップ・マルロー、「緑の光線」のマリー・リヴィエールほか。

法学部の学生フランソワ(フィリップ・マルロー)は東駅の郵便局で夜間のアルバイトをしている。彼は仕事帰りの早朝、年上の恋人アンヌ(マリー・リヴィエール)のアパートの前で彼女が元愛人であるパイロットのクリスチャン(マチュー・カリエール)と一緒なのを見てしまう。アンヌにしてみればずっと姿を消していた彼が朝の7時に突然現れて、妻とよりを戻すからと別れ話を切りだしたので面白くないのだが、フランソワには知る由もない。昼食時に職場の近くでアンヌを捕まえた彼は彼女と喧嘩になり、午後になってもイライラしてなにも手につかない。駅のカフェにいくと、そこにいたのがなんとクリスチャン。相手が女連れで出掛けるのを見て、フランソワは尾行を始める。途中のバスで彼はリュシー(アンヌ=マリー・ムーリ)と目が合う。クリスチャンはビュット=ショーモン公園でバスを下り、フランソワも慌てて後を追うが、リュシーも同じところで下車した。フランソワは道を聞くふりをしたのが縁でリュシーと知り合い、彼女は面白がって尾行に協力する。クリスチャンたちは公園を出て弁護士のアパルトマンを尋ね、フランソワとリュシーは表のカフェで待ち伏せする。途中で用事のあるリュシーは席を立つが、結果が知りたいからと彼に住所を教えていった。アンヌは気の落ちつかないまま家に帰って少し休息しようとするが、そこにフランソワが。アンヌはどうにもならない感情をフランソワにぶつけ、二人は長いあいだの口論の末に和解する。フランソワはアンヌに聞かれてリュシーのことは話したが、クリスチャンを見たことは話さなかった。いずれにせよ彼の妻だと思った女は妹で、弁護士を訪ねたのは離婚ではなく相続話のためだったようだ。夜の仕事にいく途中、彼はことの次第をリュシー宛の絵はがきに書く。行きがけに彼女の家に届けていこうとすると、なんとリュシーが彼の親友とキスしているではないか。彼は絵はがきを捨ててしまおうかと思うが、思いなおして切手を張り、ポストに投函する。