ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972)

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高知の「ロッキー」か「ランボー」か

シルベスター・スタローン(勝手にマッチョ)こと

ギドラさんからのプレゼント

 

原題は「LE CHARME DISCRET DE LA BOURGEOISIE

ブルジョワジーの控えめな魅力

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簡単に言えば、裕福な男女6人が食事しようとするにも

食事にありつけない話

 

そして謎めいたシーンの「反復」

郊外の一本道を、何か目的でもあるように一心不乱に歩く

どこまでが夢で、どこからが現実なのか

どこまでが生きている人間で、どこからが死体で、亡霊なのか

全くわからない

 

何を描きたかったのか、到達点さえ見えない

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でもこの映画を撮ったころの、ブニュエルの背景を知ると

この意味不明のストーリーこそが、実にしっくりくる

 

この頃、ブニュエルの母親は重度の認知症

息子のことさえ忘れてしまい

ブニュエルは会う度、何度も何度も同じことや、意味不明なことを言われ

何度も何度も説明を繰り返したそうです

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その「反復」が、「いつまでもたっても食事にありつけない」を繰り返す

この作品のアイディアに繋がったということ

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「曖昧」「不完全」「幻想」があたりまえの世界

はたから見たら、くだらなくて何のことか理解できないことでも

本人にとっては、いたって真面目で本気だったりするのです

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それをブルジョワジーにかけて皮肉ってる

あんたらは、大昔(自分にとっていい時代)の記憶しか残っていない

呆けたばあさんと同じなのだと

 

ラファエル・コスタフェルナンド・レイ

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ミランダ共和国(南米の架空の国)の駐仏大使

外交特権を利用して友人のフランソワアンリと結託し

没収されたコカインの密輸に手を染め、大金を稼いでいる



フランソワ・テブノ ポール・フランクール

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アコスタ大使の友人



シモーヌ・テブノデルフィーヌ・セイリグ

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フランソワの妻、アコスタ大使と変態的な浮気している

 

フロランス(ビュル・オジエ

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シモーヌの妹、酒癖が悪い



アンリ・セネシャル(ジャン=ピエール・カッセル

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アコスタ大使の友人

 

アリス・セネシャルステファーヌ・オードラン

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アンリの妻

 

イネス(ミレーナ・ヴコティッチ)

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セネシャル家の忠実な召使い



司祭/庭師(ジュリアン・ベルトー)

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カフェの中尉(クリスチャン・バルタウス)

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アンリとシモーヌとフローランスの3人がお茶をしようとしたカフェで

(紅茶を注文してもコーヒーを注文しても品切れと言われる)

聞いてもいないのに自分の生い立ち

死んだ母親の亡霊に頼まれ、父親を毒殺した話を聞かせる



大佐(クロード・ピエプル

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セネシャル家の晩餐会に突然軍隊を引き連れ現れる

アリスは兵隊たちの食事を用意させるものの

その直後実戦演習の命令が入り、お詫びに自宅に食事を招待する



軍曹(マクセンス・メイフォート

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大佐に実戦演習の伝令を伝えにきた男

大佐から夢の話を聞かせろと命令され

夢の中で死んだ友人や恋人が現れる亡霊の街の話をする



大佐の妻(アリックス・マユー)

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パーティに招いたアコスタ大使らを接待するものの

アコスタ大使と、夫の大佐がトラブルをおこしてしまう



内務大臣(ミシェル・ピッコリ

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アコスタ大使、フランソワ、アンリ、妻たちが麻薬取締法で逮捕されるが

アメリカとの国交を重要視し、釈放するよう命じる

 

農家の女(ムニ)

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懺悔したい瀕死の庭師がいるので助けてほしいと司祭を訪ねる

司祭に自分は宗教を信じていないと、その理由を明かしたいと告げるが

結局理由は明かされない



農場の庭師(ジョルジュ・ドゥーキング)

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司祭にかっての主を殺した罪を告白し懺悔するものの

殺されたのは司祭の両親でした

しかも司祭に、幼い頃庭仕事を教えた庭師でした

司祭は赦しを与えますが、結局赦すことはできず

そこにあったライフルで射殺してしまいます



テロリストの妻(マリア・ガブリエラ・マイオーネ)

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アコスタ大使の命を狙っているものの、ことごとく失敗する



アンリとアリスは晩餐会に友人を招くが、1度目は日にちの勘違い

代わりに行ったレストランは葬儀の最中

2度目は妻の欲情で時間に遅れ、来客が帰ってしまう

3度目は食事は出たものの、軍隊がやって来て食べる機会を失ってしまう

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招かれたパーティで喧嘩になってしまったり

警察に捕まったり、テロリストに襲われたり、結局食事にありつけない

挙句の果て、車はガス欠になり田舎道を歩くしかない羽目に

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批評家や、ツウのからの評価の高いブニュエル後期の作品

とはいえ「スキャンダル映画監督」 というレッテルを貼られ

低予算映画を量産するしかなかったブニュエル

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シュールレアリスム(無意識の探求)

奇抜で、複雑でそうだけど、実は単純なのかも

口先だけの言葉は信じられない

目に見せる芸術で、資本家に反撥する

早すぎたアナーキー、傑作

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ギドラ・ロッキーさん(笑)

今ではなかなか見ることの出来ない名作の数々ありがとうございました

本当に感謝感激雨あられ(昭和すぎw)

 

来年の誕生日もまた、名作よろしくお願いします

(催促かい 笑)

 

 

【解説】映画.COMより

ブルジョワの紳士淑女が集う晩餐。しかしレストランでの奥では通夜が行われており、宴は仕切り直しとなった。その後も集まるたびに偶然の闖入に邪魔され、一同はどうしても食事にありつけない。これは悪夢なのか、それとも現実か……。「銀河」と「自由の幻想」とあわせて3部作とされ、ブニュエルのめざした大胆で自由な映画づくりの豪華さを堪能できる1本。