マンハッタン(1979)

 
アレン作品の中でも「アニー・ホール」と並ぶ人気があり
評価も高め
 
やはり良かったです
 
ジョージ・ガーシュウィンのスタンダード・ナンバーも
ゴードン・ウィリスのシャープな映像も
マンハッタンの風景にぴったりで
マンハッタンという街が主人公と言って過言でありません
内容は不謹慎といえば不謹慎(笑)
 
 
放送作家で42歳のアイザックは、17歳のトレーシーと付き合い
離婚した作家の妻の暴露本出版に脅える日々
 
ある日友人のエールから彼の不倫相手メリーを紹介されますが
彼女の極端な考えについていけませんでした
しかしエールとの不倫に悩むメリーと会うたびに
だんだん彼女に惹かれていきます
 
 
 
 
この中で、いちばんマトモなのが17歳のトレーシー
(中年男と付き合ってマトモかと言われると微妙だけど笑)
下手な口出しはせず、わがままも言わず
好きな人の好きなことや、欲しいものを覚えている
 
しかし将来のある17歳、もっといろいろな経験を積んだり
他の男性とも付き合うべきだとアイザックは教えます
メリーと付き合うようになり、哀しむトレーシーを棄てるのです
 
 
 
なのにメリーはエールと再び会っていたのです
エールもメリーを愛していて、やっぱり別れられないという
 
アイザックはロンドン留学が決まっているトレーシーのもとに走り
今度はロンドンに行くなと引き止めます
 
なんという自分勝手な男たち
 
自分の欲望のままに女性を振り回し、傷つける
なのに別れてから、かけがえのない人だと気が付き
子犬のような瞳で「ヨリを戻してほしい」と平気で囁くのです
 
 
 
 
知的なキーワードでインテリジェンスを醸し出し
気取った人間をあざ笑うような
この嫌味な作品のことを、なぜ良いというのか
 
それは男性の本質を正直に描いているからです
男性の夢、理想、欲望
それは時に不快で、毒があると思うのです
 
 
アレン・ファンにはたまらない作品
そしてアレン・アレルギーの人が見たら
我慢できない1本になるでしょう
 


【解説】allcinemaより
 ガーシュウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』に促されて開幕する、このアレンのNY賛歌は一切魅力的だ。例のごとくコンプレックスを抱えた、アレン扮する中年男アイザックは、TVライターとしては売れっ子だったが、シリアスな小説に転向しようと産みの苦しみの最中。彼は粋なレストランで友達とダベっている。共にテーブルを囲むのは大学教授のエール(M・マーフィ)と妻のエミリー(A・バーン)。そして、現在、彼が同棲中の17歳の高校生トレーシー(M・ヘミングウェイ)。どちらかと言えば彼女の方が夢中で、これ以上深みにハマるのを彼は恐れている。過去に二度の結婚に失敗している彼。最初の妻は麻薬に溺れ、次の妻ジル(M・ストリープ)は彼と一児を設けながら、レズビアンに走った。現在の彼の最大の悩みはジルが彼との生活を暴露した小説を書こうとしていること。ある日、彼はMOMAを見物中のエールが連れていた浮気相手のメリー(D・キートン)に恋をする。雑誌のジャーナリストの彼女の似非インテリ臭さは鼻持ちならないが、再びパーティで出合った二人は完全に意気投合。夜が白み始めるまでマンハッタンを散策するのだが……。不埒なアレンの一転二転する恋心に皆が惑わされ、結果は寂しいことに。最後、マンハッタンを走りに走る、その姿は哀れを誘う。G・ウィリスの白黒撮影が秀逸。