誘う女(1995)

 
実話をベースにしたコメディタッチのフェイクドキュメンタリー
事件後の関係者インタビューという形式で
ストーリーは展開していきます
 
実際の事件はパメラという女性教師が、夫殺しを企て
男子生徒と関係を持ち、他の特定の生徒も家に誘い込み
「ナインハーフ」などの映画を見せ、その気にさせたそうです
彼女は終身刑を宣告され、現在も刑に服しているそうです
 
 
TV業界を夢見ていたスザーン(キッドマン)は
地元のケーブル局に(強引に)就職
やがて、天気予報を担当するようになります
いずれはキー局へという野心ももっていました
 
しかしイタリアン・レストランで働く夫のラリー(マット・ディロン)は
TV局は辞めて一緒に店を経営しようというのです
自分は成功すると信じているスーザンにとって
夫が邪魔な存在になる瞬間
 
 
 
 
モデルとなった、パメラ・スマート
 
 
まるでバービー人形のようなキッドマンが
空虚な中身と呼応してはまり役
 
そして、ホワキン・フェニックスが最高の演技をしています
性悪女の変態セックスの虜になってしまい、殺人まで犯してしまう
刑務所に入れられても、まだ彼女を愛しているのです
 
 
スザーンがにこやかに笑うテレビを叩き壊すラリーの父親
簡単に騙されて殺されてしまうスザーン
 
ラストのイレーナ・ダグラスのアイススケートには
邪魔者が消えた晴れがましい気持ちが伝わり
奇妙な怖さがありました
 
 
登場人物がみんなちょっと馬鹿っぽく
共感できるものはなにひとつありませんでしたが
映画としての出来は、たぶんいいものだと思います
 

 
【解説】allcinemaより 
お天気キャスターのスーザン・マレットは、“TVに映らなければ生きている意味がない”というシンプルかつ強烈な人生観の持ち主。子供の頃からスターになる事を夢みていた純真な彼女であったが、その純真さは残忍性と紙一重だった。目的達成のために夫が邪魔になることに気づいた彼女は、高校生の少年をセックスの虜にしてそそのかし、夫を殺害することを思いつく……。G・V・サントが全米を揺るがしたスキャンダラスで不条理な殺人事件を題材にして描く問題作。主人公スーザンを通して現代社会に巣くう人間性を鋭くえぐり出し、そしてその裏にあるTV文化の異常な加熱ぶり、マスコミやTVというメディアをシニカルな視点且つ独特のタッチで描いた快作。