壮烈第七騎兵隊(1941)




南北戦争の英雄、カスター将軍
アメリカ史は知らなくても、名前だけは知っています
作品のほうはかなり脚色し、実話とは違うということですが
娯楽映画として秀作だと思います

特に前半はコメディ色が強く楽しい
厳しい士官学校将軍様かというようなド派手な軍服でやってきた新入生
上官のいたずらとは知らず、教官の部屋で犬にエサをやりくつろぐ
その後もドジばかりで成績は最下位、だけど憎めないカスター

当時の映画界では名コンビだったらしく、息もぴったり
ここでもお茶目なメイド役として活躍しています


上官の命令に従わず、そのことで見事南軍を蹴散らし
昇進もし、恋人のリビーとも結婚してめでたしめでたしでしたが

戦いの魅力に取り憑かれたカスターは
戦場でしか生きられなくなっていたのです
そして酒に溺れていくようになります

しかし妻の尽力でカスターは軍に復帰
ダコタにある第7騎兵隊を再建し、インディアンと平和条約を結びます
それは聖地「ブラック・ヒルズ」に白人は決して入らないという条件付きでした
しかし白人は金鉱のために約束を破り、再び戦いが始まってしまうのです





ラオール・ウォルシュ監督はサイレントから活躍していただけあって
さすがに映像の見せ方がウマイ
戦闘シーンはかなり本格的で、圧巻はクライマックスの先住民連合との戦い
広大な荒野のあらゆる方向から馬群が駆け抜け、見事な戦闘を披露しています

そして人物描写のうまさ
食いしん坊のスコット将軍
なぜカリフォルニアかはわからない、カリフォルニアジョー
かっこいいスー族の酋長(アンソニー・クイン)
脇役や端役の個性がとても生かされていて、最後まで飽きさせない


世界が戦争の渦に巻き込まれていった時代で
この作品でのカスター将軍のような理想の軍人に世界を変えてほしい
そんなふうに願った、これは夢物語だったのかも知れません

たとえ史実と違ったとしても
楽しめる戦争西部劇の1本に違いないでしょう



【解説】ウィキペディアより
『壮烈第七騎兵隊』(原題:They Died with Their Boots On)は、アメリカ合衆国で1941年に公開された西部劇映画である。監督はラオール・ウォルシュで、エロール・フリンオリヴィア・デ・ハヴィランドらが主演を務めた。脚本はウォーリー・クライン(Wally Kline)とイーニアス・マッケンジー。実在の人物であるジョージ・アームストロング・カスター将軍を主人公として、彼の陸軍士官学校入学から南北戦争、そしてリトルビックホーンの戦いにおける玉砕までを描いているが、随所に大幅な脚色が加えられている。例えばクレイジー・ホースとの戦いについては、土地の利権を狙う政治家と企業の取引のねじれが発端として描かれ、カスターは土地をインディアンたちに譲ろうと考えていたとされている。決して歴史的に正しいとは言えない描写が多かったものの、本作は1941年の全米最高興行収入を記録した。フリンとデ・ハヴィランドの共演作としては8作目にあたり、また最後の共演作でもある。
1990年代にはフリン主演の映画『シー・ホーク』(原題:The Sea Hawk)などと共にカラーライズ版が製作され、1998年にはこのカラーライズ版がVHSソフトとして発売された。後にDVD化されるまで、オリジナルの白黒版はソフト化されなかった