スタンドアップ(2005)

 
1988年に行なわれた世界初の
セクシャルハラスメント訴訟に基づいた実話ということ
初めてのセクハラ訴訟が意外と最近のことだとは驚きです
 
そして、このような作品を見ると
トランプ氏のような過激な発言をする男性が
なぜアメリカでは支持をされるのか
少しはわかるような気がします
 
 
シングルマザーであるジョージー
ふたりの子どもを育てるため
複数の女性たちとともに、炭鉱で働くことになります
 
そこにまっていたのは、激しいパワハラにセクハラでした
卑猥な言葉、排泄物を使ったいやがらせ
それでもお金のため、女性たちは仕事を辞めるわけにはいきません
 
会社は時代とともに女性労働者も雇わなければならなかったのでしょう
しかし従業員たちは「女性に仕事を取られるのでは」という不安でいっぱい
そのことが大きな差別を生み、男たちを団結させ、爆発させる
おまえらなんて、男にとっては性の対象でしかないのだと
 
黒人やヒスパニック、東洋人の従業員がひとりもいないことにもわかります
ここがどういう場所なのか
 
夫のいないジョージーが、特に標的になってしまうのもしかたがないこと
しかしこの吊し上げはあまりにもひどい
彼女はニューヨークからやってきた、ビル・ホワイトという弁護士に
会社を訴訟したいと持ち掛けます
 
 
ほかの訴訟映画とちょっと違うのは
裁判に勝つことよりも、家族の理解を得ることのほうに
重点をおいていることでしょう
家族を中傷から守りたい、そのことがいちばん大事なのです
 
さらに作品を見ごたえあるものにしているのは
ヒロインのシャーリーズ・セロンはじめ
主演陣の演技の力量の凄さでしょう
 
古風な父親、リチャード・ジェンキンズ
親友であるフランシス・マクドーナンドと
 
母親を恨むジョージーの息子に
大切な時計を贈るシーンは感動もの
少年を「大人の男」にするのです
 
ここまで見事な演技を見せつけられたら
お気に入りにしないわけにはいきません(笑)
 
女性なら誰でも少なからず経験することなので
飽きることなく、最後まで引き込まれました
 
そして、アメリカはまたこのような時代に戻りたいのかと
不安にもなる作品でした
 

 
【解説】allcinemaより
全米で最初にセクシャルハラスメント訴訟に勝った実在の女性をモデルに映画化した感動ドラマ。2人の子どもを持つシングルマザーが、鉱山労働者として“男の職場”で悪質な嫌がらせに苦しみながらも、ついには勇気を持って立ち上がる姿を描く。主演は「モンスター」でアカデミー主演女優賞に輝いたシャーリーズ・セロン。監督は「クジラの島の少女」のニキ・カーロ。
 暴力夫と別れ、2人の子どもを連れて故郷の北ミネソタの町に戻ってきたジョージー・エイムズ。シングルマザーでなおかつ2人の子どもの父親が違うということで周囲は彼女に冷たい視線を投げかける。そんなジョージーが自分一人の手で子どもたちを養うために選んだ仕事は鉱山労働者。決して楽な仕事ではないと覚悟していたジョージーではあったが、何より彼女を困惑させたのは、同僚のほとんどを占める男性たちからの露骨で悪質な嫌がらせの数々だった…。