赤い靴(1948)

 
 
 
 
 
「靴を脱がせて」
 
 
一度履いたら死ぬまで踊り続けなければいけない
アンデルセン童話の「赤い靴」
私も本で読みました、子ども心に恐ろしかった
 
1900年代初頭に注目を集めたバレエ団、バレエ・リュスがモデル
私この作品も幼いころに見たのですが
ずっとロシア映画だと思い込んでいて(笑)
 
イギリス映画だったのですね
not 綺麗な映像
not 綺麗な女優
not 美味しい食事(は、関係ない)
という、イギリス映画に対する思い込みを
今、私は撤回します
 
駆け出しのバレリーナのヴィッキーと作曲家のジュリアン
いつか成功を夢見るふたりは、意気投合し恋に落ちます
幸せなひと時、何もかもがうまくいく予感
 
やがて「赤い靴」の公演でジュリアンの曲が採用され
ヴィッキーはプリマとして選ばれます
 
しかし、バレエ団の団長ボリスはふたりの結婚を許しませんでした
プリマか結婚かを悩んだヴィッキーはバレエを選びます
 
一方のジュリアンはヴィッキーとの別れを決心し
団を去ってしまいます
 
ジュリアンはヴィッキーを女性として愛しました
妻にしたい、一緒に暮らしたい
 
だけれど、ボリスもまたヴィッキーを愛したのです
ヴィッキーを成功させたい
バレエのためには彼女のすべて受け入れる
 
ふたりの男性の愛の間で苦しむヴィッキー
それを忘れるためのように踊り続ける「赤い靴」
 
新聞紙とのダンスはもちろん有名ですが
なんといっても靴屋の踊りが素晴らしい
 
そして、哀しいラスト
ボリスの胸に飛び込めばよかったのに
ヴィッキーは最初の恋の相手が忘れられなかった・・
 
美しいものには不幸が似合う
綺麗なものは汚したい
そんな人間のひとつの欲望を描いた
傑作なのではないでしょうか
 

 
【解説】allcinemaより
 ロンドンのバレエ団に、ビクトリアという少女が入団した。団長のレルモントフにその才能を見いだされ、彼女は“赤い靴”のバレエ劇に出演することになる。公演は大成功をおさめ、ビクトリアは一躍スターとして認められる。だが、その地位は、“赤い靴”のように、彼女に踊り続けることを要求するものだった……。パウエル&プレスバーガーによる映像美の極致。これほどまでに“赤”の美しい画面は存在しないかもしれない。