カウボーイ(1958)

 
 
デルマー・デイヴス監督の「決断の3時10分」は好かった
男をいい男に撮ることを知っていると思います
こちらの作品は、評価のほうは低いようですが
わたしは嫌いではありません
 
クールだけれど思いやりある牧童主を好演しています
 
カウボーイが馬を連れ汚れた姿で宿泊するには
ふさわしくないようなホテル
鉄道が走り、大地には農民が柵を作る
牛追いという仕事をするのが
だんだんと難しくなってきた時代なのでしょう
 
そのホテルで働くジャック・レモンは宿泊客の女性と恋をしています
だけど身分が違うと父親は怒り娘はメキシコに帰ってしまう
西部の男になって見返したいレモンは
グレン・フォードにカウボーイとして雇ってもらいます
 
だけど娘がメキシコで結婚したことを知って
レモンは荒れ、仲間に反抗するようになってしまいます
フォードのもっともな助言に耳を傾けることもありません
 
それでもフォードは、この若く人間として未熟な男を
成長させたいと願うのです
 
最後の和解のシーンは
もう少し引っ張ってほしいところでしたね(笑)
牛に対する愛が、カウボーイという仕事への誇りが
もっと伝わればよかったと思います
 
でも、西部では西部の男の言うことが正しいのです
フォードを許し受け入れたレモンには、ほら
美しい女性も笑顔を向けてくるように
なったではありませんか
 
誰が見ても、たくましい男になったのです
だからって、ホテルで発砲はイケナイですけど(笑)
 

 
【解説】allcinemaより
東部育ちの青年フランク・ハリス(J・レモン)が西部に憧れて赴き、その精神を体に鍛き込んでゆく成長譚で、実話に基づいている。“逞しくなるのは荒っぽくなることとは違う”とつぶやく牧頭童のG・フォードがとてもいい。牛の暴走(スタンピード)やインディアンの襲撃、ロマンスのお約束もあるが、それらは色どりにすぎず、カウボーイの単調で過酷な労働の日々と、自主性を重んじるその社会の素朴な魂のふれあいに力点が置かれている。D・デイヴィスが“マッチョな世界”とある種の観客には遠ざけて見られがちな西部劇の世界を人間的に引きつけて描く男の叙情“リアリズム”あふれる名篇。