ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956)




「侵略は始まってる、次は君らの番だ!」


ドン・シーゲル監督、脚本はペキンバー
日本では未公開だったというのが不思議です

主人公が、お互い離婚した男性と女性のカップルというのが
当時の映倫にひっかかったのでしょうか

この作品の恐怖は
エイリアンに身体が乗っ取られるということより
自由や感情が奪われてしまうことにある気がします
社会は統一体制となり反体制派は排除されてしまう
気が付かないうちに、寝ている間にそうなってしまうのです

反共的な作品として製作されたようですが
人間には対共産主義に限らず
こういう傾向があるような気がします

正しい人間の言葉には耳を傾けず
過激な暴言のほうが支持を受ける

逃走劇としてもよく出来ていました
地下室、階段、山道を
ハイヒールの女性を連れ逃げる、隠れる

ノワール的な美しい夜の風景が
不気味なムードをより引き立てます

描き切れていない部分も多く、疑問も残りましたが
80分という長さは見やすくていい(笑)
古典的なSFホラーとして楽しめました



【解説】allcinemaより
侵略SFの古典、ジャック・フィニイの『盗まれた街』を、D・シーゲルが映画化した劇場未公開の逸品。カリフォルニアのある街が、異星生物の侵略を受けた。その生物は次々と人間の複製を造り上げ、本物と入れ換わっていく。主人公はその事実を知り、恋人と共に街を脱出しようとするが……。派手な見せ場やスペクタクルなど皆無、だがシンプルかつユニークなストーリーと、躍動感に満ちたダイナミックな演出が映画をここまで面白くする。'78年に「SF/ボディ・スナッチャー」としてリメイクされた他、何度もリメイクされている珍しい作品。