恐怖のメロディ(1971)




イーストウッドの監督デビューとなるサイコ・サスペンス
「危険な情事」(1987)の元ネタとなった作品だそうです
不倫ものではありませんが、確かによく似ています

イブリン(ジェシカ・ウォルター)とトビー(ドナ・ミルズ)と
ソンドラ・ロックもよく似ていますよね
イーストウッドの女性の好みもまるわかり(笑)

ストーカーを扱った初めての作品だということ
何でも相談しやすいようにと、ドン・シーゲル
バーのバーテンダー役で主演させています(笑)
荒業だけど、結果としてはいいファンサービスになったでしょう

ラジオの人気DJデイブは、行きつけのバーで知り合った
ちょっとイイ女のイブリンと知り合い一夜を共にします
彼女は実は、デイブの番組にいつも
「ミスティ」という曲をリクエストするリスナーでした

それからというもの、デイブに付きまとうようになったイブリン
だけど恋人のトビーが街に帰ってきたことで
デイブはイブリンとの関係を清算しようとします
そこからイブリンの本当の狂気は始まります

ただ、当時のアメリカでは殺人未遂犯を
あんなに簡単に釈放してしまっていたのでしょうか?
事実だとしたらかなり怖いですよね

作品の中で引用されている
エドガー・アラン・ポーの「アナベル・リー」という詩は
日本でいえば宮沢賢治の「アメニモマケズ」のように
アメリカでは子どもから大人まで知ってる有名な詩なのだそうです

この「アナベル・リー」の内容に沿って物語は進行し
ラストでストーカー女の死体が
波間を漂う姿に至るのだということです

しかしポーの詩そのものを知らない私は
これだけ引っ張っておいて
なんてあっけない死に方なんだろうと
思ってしまいましたが(笑)

でも、まだストーカーという言葉もなかった
時代だと思えば、当時はかなり怖かったでしょうね
特に男性が(笑)

女好きの女難映画

一番悪いのは、デイブ
優柔不断なあなたね



【解説】allcinemaより
カリフォルニア、モントレーの地方局でDJを務めるイーストウッドの前に、いつも“ミスティ”をリクエストしてくる女性が現れる。だが、出来心から一夜を共にして以来、女の態度が常軌を逸してくる。一度は彼女を振り払ったものの、恋人のルームメイトとして再び姿を現す中盤から、サスペンスのテンションは上がり、恐怖映画さながらのクライマックスまで一気に見せる。J・ウォルターの鬼気迫る芝居は特筆モノで、後の「危険な情事」(87)のグレン・クローズの原型はここにある。イーストウッドの演出は監督デビュー作とは思えない完成度で、ムード醸造とサスペンス描写には目を見張るものがある。酒場のバーテンとして出演しているのは彼の師にあたるドン・シーゲル