海底二万哩(1954)




SFの父とも言われる名作家、ジュール・ヴェルヌ
私も小学生のころ児童書で何冊か読みました

原作が書かれた約150年前は、まだ電球もなく
動力といえば蒸気だけの時代だったそうです
そんななか、このような冒険小説を生み出すとは
なんという先見性、預言者といってもいい

作品のほうも、いまとなればレトロなSFですが(笑)
54年当時は、かなり優れた特撮技術だったと思います
世界初の本格的な水中撮影は困難を極め
水中葬儀のシーンだけで1か月を要したそうです

巨大イカなんて、まさしく古典的で理想的なSFのビジュアル
作ったのはロバート・A・マッティ
ジョーズ」のサメでも有名な、アナログ特撮界の巨匠
ノーチラス号は「ミクロの決死圏」プロテウス号のデザイナー、ハーパー・ゴフ
アカデミー賞では、特殊効果と美術の二部門を受賞しています
(潜水服のデザインは絶対SWや、ガンダムでも影響うけているな)

これを見た世界中の子どもたちは
この海底の様子に、どれほど胸をワクワクと躍らせたことでしょう

しかし、ただの海洋ロマンだけではない
重いテーマも散りばめられていました
戦争をやめることができない人間への悲観
化学の進歩や発明による世界の破壊

それを止めるために、火薬を積んだ戦艦を沈没させるネモ艦長
しかし「人を殺すことにかわりはない」とアロナクス教授は責めます





とはいえ、ディズニー作品

歌あり、動物との戯れあり、楽しいシーンもたくさん
オットセイの演技がうまく、可愛いらしさに癒されます
カーク・ダグラスは、いきなり美女ふたりを引き連れて登場
こういうチャラい役も実によく似合いますね

そして、今でもTDSのミステリアスアイランドに
「海底2万マイル」のアトラクションがあることを考えれば
いかにこの作品がディズニーの力作だったのかがうかがえます

レトロな雰囲気も満喫できますし
ノーチラス号の艦内も豪華、海底を旅する気分も味わえました
原作に決して劣らない傑作だと思います



【解説】allcinemaより
 19世紀半ば、世界各地の海で謎の怪物による沈没事故が続発していた。そして、米政府が送り出した調査船の目の前に現れた怪物。その正体は、戦争を憎むネモ船長が操る万能潜水艦ノーチラス号だった……。ジュール・ヴェルヌの古典SFをディズニーが映画化した冒険大作。ネモ役のJ・メイソン、銛打ちネッド役のK・ダグラスをはじめとする充実の演技陣と、R・フライシャーのダイナミックな演出(大イカとの死闘シーンを見よ)が魅せる。ノーチラス号のデザインは、「宇宙戦争」のマーシャン・ウォー・マシーン、「タイム・マシン/80万年後の世界へ」のタイムマシンと並び、50年代SF映画のデザイン・ベスト3に入る素晴らしさ