お早よう(1959)

 
戦前サイレントの「生まれてはみたけれど」の
小津監督のセルフリメイク的な作品だと思います
 
子どもが主役的な作品なのでほほえましく楽しいですね
まあ、うちの子はこんなに理屈っぽくなくて助かりましたが(笑)
 
東京にある新興住宅地、序盤から事件勃発
 
中学生の実と小学生の勇の兄弟、彼らの間では、おでこを押されると
オナラをするという遊びが流行っている(オイオイ・・)
でも、オナラをした後の友達の幸造の様子がおかしい
ひとり家に帰る幸造
 
町内では婦人会の会費がなくなってしまいます
渡したという実と勇の母の民子(三宅邦子)に
貰っていないという幸造の母のきく江(杉村春子
 
きく江はあれこれご近所さんに民子のことを
あることないことを言いふらしてしまいます
 
近所の若夫婦の家にいつも遊びに行く子ども達
そこの家にはテレビがあるうえ
美人妻のみどりはきさくでおやつまで出してくれる
 
近所のご婦人は、そこでもイヤな噂を流して
なんとか子ども達をその家に近づけない様にします
 
テレビを見れない子どもたちは
決して口をきかないというストライキを決意
ついにはプチ家出までしてしまいます
 
ご近所付き合いも濃く
まだ貧しいとはいえ、戦後より
だんだんと物が豊かになってきた時代なのでしょう
 
そして、戦争を知らない子どもたちは、我慢や辛抱も知らない
変わりゆく時代の流れに、ついに親も折れます
 
この作品は子ども(兄弟に差をつけてはいけませんが、特に次男坊)が
愛嬌たっぷりで可愛いですね
 
そして、圧倒的存在感のおばあちゃん(三好栄子)と
その娘が杉村春子さんという
最強の母娘の組み合わせがなんたって凄いと思います
押し売りだろうが、やくざだろうが、そりゃびびってあたりまえ(笑)
 
ラストの久我美子さんと、英語の先生の佐田啓一さんが
 駅のホームで偶然会って挨拶する場面は素敵でしたね
 
「お早う」「お早う」
「いい天気ですね」「ほんとうにいい天気」
 
さりげない挨拶を繰り返す
 この日のふたりは、きっと一日中ハッピーなはず
 
 
 
だから私もハッピーになれました
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【作品情報】MovieWalkerより
彼岸花」につづいて野田高梧小津安二郎が書いた脚本を、小津安二郎が監督した、大人と子供の世界を描いた一篇。撮影は「春を待つ人々」の厚田雄春