永遠のマリア・カラス(2002)




「眠っていても、彼の夢を見る
 目覚めても彼の感触が・・
 呪いは解けない」
                      『トスカ』より



マリア・カラスと親交のあった
ゼッフィレリ監督が想像で描いた作品

ゼッフィレリ監督の映像美は大好き
ロミオとジュリエット」「ブラザーサンシスタームーン」・・
若くて、とても瑞々しい

でも、映画よりもオペラの舞台監督としての
活躍のほうが多いそうですね

そんな彼が80歳を過ぎ
美声を失った名オペラ歌手のための映画を作る

才能のある人、トップに立った人
そんな人間にしかわからない哀愁なのでしょう

しかし、撮影現場の描写の素晴らしさは
さすがのゼッフィレリ監督だと思います

フラメンコを踊るシーン
ジプシーが集う酒場
カルメン愛するホセを挑発する眼差し
そして美しい歌声

マリアも
ゲイの青年も
ジプシーの太ったオバチャンも
誰もがキラキラと輝く
 
だけれど、どんなに成功しても
マリアが望んだのは
たったひとつだったのです

ただひとりの男性に愛されること
それは誰もが知っているあの男

ゼッフィレリ監督はゴシップだらけのマリアの人生を
自分の作品で綺麗にしてあげたかったのだと思います

マリアの歌声は本物だったから


 
【解説】allcinemaより
伝説の天才オペラ歌手、マリア・カラス生誕80周年を記念して製作された音楽ヒューマン・ドラマ。亡くなる前の数ヶ月間、隠遁生活を送るマリア・カラスが仲間の支えを得て一転かつての栄光を取り戻そうと奮闘する、という設定で芸術家の情熱と孤独を描く。主演は「愛と哀しみのボレロ」「8人の女たち」のファニー・アルダン。監督は「ムッソリーニとお茶を」のフランコ・ゼフィレッリ
 20世紀のオペラ界で、その美声と美貌から名を馳せたマリア・カラス。だが、彼女は今ではその歌声も失い、愛するギリシャの大富豪オナシスも亡くして失意の中、パリで隠遁生活を送っていた。そんなカラスのもとにある日、彼女のかつての仕事仲間ラリーが訪ねてくる。彼は何やら企画書を持参していた。それは、カラスの全盛期の録音を用いて彼女が主演するオペラ映画を製作するというもの。最初は戸惑い、そのオファーを拒否するカラスだったが、次第に彼女の中であの頃と同じ情熱が甦ってくるのだった…。