恋多き女(1956)




正統派美人すぎてコメディが似合いません

オードリーやシャリー・マクレーンみたいに
それほど美人じゃないほうが(失礼よね)
コケティッシュな魅力がありますよね、やっぱり。

面白いことを言っても高貴すぎ。笑
だけど可愛いひな菊を持っているバーグマンは
うっとりするほど綺麗で目の保養。
笑えなくても許そう。笑

そのひな菊に思いをこめて殿方に渡すと
殿方の願いは叶いそして成功します。
美しい未亡人のエレナ公女からそんなことをされてしまったら
恋に落ちないわけはない。

しかし公女といいながら、財産はもうほとんどありません。
お金のために金持ちの靴屋と政略結婚することになります。

愛がなくても「お金のため」にメタボなおじいちゃんと結婚・・
それはもちろんシャンパンに高級なドレスという
贅沢な暮らしを捨てることができないからです。

そういう生々しいことでも
ルノワール・ワールドは全くドロドロしていませんね。
実にさらっと爽やか。

そんな天真爛漫な公女を好きになってしまった
アンリ伯爵は公女をロラン将軍に紹介します。
しかし英雄ロラン将軍も公女を好きになってしまいます。
ロラン将軍を好きなのはエスコフィエ嬢。

ゴム屋の娘が好きなのは靴屋の息子
靴屋の息子が好きなのはメイド娘
メイドが好きなのは将軍の護衛の男・・
そんな恋の追いかけごっこ

ジプシー女のジュリエット・グレコも魅力的でした。
ラストに歌う「ミアルカ」がうまく映画をまとめていましたね。

綺麗な映像にパリの街と女性が素敵。
フランスらしいお洒落映画でしょう。



【解説】allcinemaより
ルノワールらしい、少々デタラメな恋愛喜劇の秀作。バーグマンの芝居がウィットを欠くので、その野放図な良さが伝わりきらないが、後段など彼にしか表せない愛の讃歌となって、フランス人の恋愛至上主義をいぶかしく思う人も抵抗はできまい。美貌のポーランドの公爵未亡人で自由を満喫していたエレナは世話人の男爵夫人に製靴業で財を成したミショー氏を紹介され、結婚するよう言われる。彼女は関心なしだが、夫人の娘のドゥーニーズは氏の愚息ウージェーヌにお熱となった様子。が、彼はエレナの女給のロロドに夢中である(この、いわば下々の者の恋のさや当てがエレナたちの恋愛遊戯と対比して生き生きと描かれるのは、「ゲームの規則」でもおなじみのルノワールのタッチ)。おりしも、名将ローランの閲兵式の最中、見物に出て知り合った侯爵アンリ(ファーラー)は、エレナをローランに紹介。彼を大統領に立てようとする自分の政略に、彼女を利用しようと考える。ローランには同じく貴族未亡人のエスコフィエが付きまとうが、ヒナギクを贈って幸運をもたらすエレナに興味津々である。共和派と独裁派、ローランをめぐる争いは熾烈で、その思惑がお色気に搦み取られて、郊外のローランの隠れ家でドタバタと繰り広げられる段は傑作。そこへアンリに流し目を送るジプシーの歌姫--黒髪が印象的なJ・グレコが、その髪の色に託して夜を謳うバラードを口ずさむと、あら不思議、ローラン万歳とそこに詰めかけて彼の外出を阻んでいた群衆はうっとりと恋のムードに染まり、ジプシーに化けてそこを逃げ出した彼の身代わりに窓際に立って歓呼に応えるアンリとエレナにつられるようにキスを交わし始めるのである。グレコが芸人たちをとらえ歌い出す瞬間の演出は素晴らしい。J・マレーの生真面目なユーモアが印象的。