原題も「THE BORDER」(国境)
「レッズ(1981)」と「愛と追憶の日々(1983)」の間の
ジャック・ニコルソン主演の作品
有名でもおかしくないはずのに、知らない作品でした(笑)
メキシコからの密入国の実態と、賄賂で私腹を肥やす国境警備隊の腐敗
そこに難民で子持ちの少女に、愛情を抱く中年男の事情が絡みます
ロサンゼルスの警官チャーリー・スミス(ジャック・ニコルソン)は
タウンハウスに住みたいと言う妻マーシーの望みで
彼女の親友サバンナと夫のキャット(ハーベイ・カイテル)の住む
テキサスとの国境の町エルパソヘ引っ越します
そしてキャットと共にレッド隊長(ウォーレン・オーツ)率いる
国境警備隊員として働くことにしました
すぐにチャーリーを国境地域を案内した相棒が何者かに殺されます
同じ頃、彼は乳のみ子を抱えた少女マリアを川で見かけました
マリアは弟のファンとメキシコから逃げ出してきた難民でした
新しい家では浮かれた妻がローンで買い物しまくり
その支払いのためチャーリーはキャットに持ち掛けられた
(不法入国者を北部へ送っては口銭(こうせん)をとる)
裏稼業に手を染めるようになります
そこには汚職警備隊員たちの手先のメキシコ人が
難民の子を誘拐しては北部の裕福な家庭に養子に出すという
仕事も含まれていました
マリアの赤ん坊もさらわれ、大金で売られようとしていました
彼女は赤ん坊を取り戻すお金を稼ぐために売春宿で働きはじめます
チャーリーはマリアを探し出し、自分の家に匿います
(しかも妻に面倒を見ろという 苦笑)
そして赤ん坊を救うため、レッド隊長や同僚たちと撃ち合いになります
救い出した赤ん坊をマリアに届けるため車を走らせる
いかにも正義に目覚めた国境警備隊の男の話のようだけど
美人のメキシコ人少女を入国させたかっただけじゃない(笑)
しかも、このあとどうする?
社会派サスペンスとしてはかなり雑な締めくくりで
たぶん興行も成功しなかったと思うのですが(笑)
川を隔てたあちらと、こちらの、自由奔放で浪費家の奥さんと
靴もなく裸足で誰の子かもわからない赤ん坊を育てるマリアとの対比は
アメリカの豊かさとメキシコの貧しさをうまく表現していたと思います
そして流れる曲の歌詞が痛ましく心に響く
メイン・テーマの「Across The Borderline」(国境の向こう側に)
「Too Late」(手遅れ)「Skin Game」(ぺてん、いんちき)
いつかゆっくりサントラは聞いてみたいと思います
【作品情報】MovieWalker
アメリカ合衆国とメキシコ共和国の国境の町エルパソを舞台に、国境警備員となった1人の男と彼をめぐる様ざまな事件を描く。製作総指揮はニール・ハートリー、製作はエドガー・ブロンフマン・ジュニア、監督は「大本命」(73)のトニーリチャードソン、脚本はデリク・ウォッシュバーン、ワロン・グリーン、デイヴィッド・フリーマン、撮影はリック・ウェイト、音楽はライ・クーダー、編集はロバート・K・ランバート、製作デザインはトビー・ラフェルソンが各々担当。出演はジャック・ニコルソン、ハーベイ・カイテル、ヴァレリー・ペリン、ウォーレン・オーツ、エルピディア・カリーロ、マニュエル・ビエスカスなど。