草原の野獣(1958)





映画だったら「エデンの東」や「普通の人々」「スタンド・バイ・ミー」・・
長男にばかり愛情も手間もかけてしまう親
現在でもそういう親ってたぶんいますよね。

正直、どちらかが可愛いということは
親としてはありますよね。
でもそれがあまりにも極端だと
期待をかけられた方はプレッシャーで押しつぶされ反抗的になり
愛されなかった方は寂しい思いのまま育つ。
そうなってしまうこともあるでしょう。

大牧場主で地元の有力者であるリー。
銃の力でたくさんの先住民を殺し
土地を守り権力を築いてきました。
しかし時代は変わり、町では銃を持つことさえ違法です。

長男のエドは銃の腕前も、乗馬も一流でした。
父親の望むカーボーイ、男らしい男。
しかし彼は乱暴な性格で差別主義な人間でした。

次男のデイヴィは心やさしく思慮深い。
でも射撃はまったくだめ、争いごとに興味もありません。
差別もなく、先住民とフランス人のハーフの女性クリーに恋します。

拳銃の腕と財力にものをいわせてきた父親から
溺愛されて育ったエドが我儘で暴力的になるのもうなずけるし
親の愛情に飢えているデイヴィが、先住民の女の子に恋をしてしまうのも
なんとなくわかるような気がします。

リーがずっと正しいと信じていた子育て。
しかしそれは時代遅れのものだったのです。
世の中は暴力ではなく、法律で裁かれるの時代なのです。

だんだんと病んでいくエド
だけど可愛い息子には間違いありません。
彼のおこした事件を偽の証言でもみ消そうとします。

子煩悩な親に反抗的な子ども
どこの家庭にも多かれ少なかれありますよね。
でもそこに「銃」という存在がはいると
たとえ親と子の間であっても殺し合いになってしまう
可能性は出てくると思います。

親子の確執というテーマが最後までブレず
落ち着いたわかりやすいストリー。
ただ弟クンには、もう少し活躍して欲しかったかな。笑



【解説】NHKオンラインより
1899年春のワイオミング。かつてピストルを持って荒野に町を築いたと自負する大牧場主リー・ハケットは、二人の息子を自分が理想とする勇敢な男に育てたいと願っていた。兄のエドは銃の腕は立つが反抗的で乱暴者、弟のデイビーは内気でおとなしく、父と兄の考え方にはいつも批判的だった。ある日、家畜移動中のエドは、野生の美しい白馬を追って競争した家畜管理人ポールを崖下に転落させてしまい…。