ビルマの竪琴(1985)





「いっしょに日本に帰ろう」


大戦中、ビルマミャンマー)での日本軍のインパール作戦
インド領内の連合国側の本拠地インパールを制圧しようと
補給もないなか、無謀にも日本軍は進軍しました。

飢えと病に苦しみ、疲れ果て、傷つき
14万人近くの日本人が戦死したそうです。
そしていまだに4万5千人の遺骨が
ミャンマーの政治治安情勢のため回収できず)
現地に残されたままなのだそうです。

わたしはこの作品を見て
インパール作戦というものを初めて知りました。

音楽学校出身の隊長と合唱好きの隊員の日本軍の小隊。
音楽の才能に優れた水島上等兵
ビルマ伝統の竪琴を奏で、隊員たちの人気者でした。
やがて日本は無条件降伏し、小隊はイギリス軍の捕虜となります。

しかし山奥では降伏に抵抗し、いまだ戦闘を続けている部隊がいます。
このままでは連合軍の猛攻に日本兵が全滅してしまう。
降伏することを説得するため水島上等兵は戦地に向かいます。
そこで見たのは屍の山でした。

水島上等兵はそのまま消息を絶ちます。
仲間が再び水島を見たとき
彼は出家してビルマの僧となっていました。

そして亡くなった日本兵を供養するために
帰国せずビルマにとどまる決意をするのです。

戦争映画ではありますが、牧歌的でファンタジック
それほどの悲惨さは感じません。
男性合唱は素晴らしいのではないでしょうか。
特に「埴生の宿」を日本兵とイギリス兵が一緒に歌うシーンは
心に響きます。

戦争映画として傑作といえる作品ではありませんでしたが
ビルマ戦線を知る事ができたのは勉強になりました。

戦争はするべきではないのです。
絶対に。



【解説】allcinemaより
1956年に一度映画化された竹山道雄の同名小説を同じ市川崑監督で再映画化。日本兵の霊を慰めるため、僧侶となってひとりビルマの地に残る兵士の姿を描く。1945年夏。ビルマ戦線の日本軍はタイ国へと苦難の撤退を続けていた。そんな逃避行の最中、井上小隊長率いる部隊は、みな音楽好きで水島上等兵の弾く竪琴の音に合わせ力強く合唱していた。やがて終戦を知った彼らは投降し、ムドンに護送されることになったが、水島だけは未だ抵抗を続ける日本軍に降伏を勧めるため隊を離れるのだが……。