(500)日のサマー(2009)


 
 
「あのクソ女!」
 
 
草食系男子クンの未練たっぷり恋愛回想記。
出逢って、付き合って、フラれて
そして立ち直ろうとする500日間の物語。
 
グリーティング・カード会社でコピーを考える仕事をしているトム(レヴィット)。
秘書として働き始めたサマー(ゾーイちゃん)に一目惚れ
彼女こそ運命の女性だと信じます。
 
「今聴いてるのスミスでしょ?私も大好き」
 
エレベータの中で、カラオケ大会で
音楽が好きという共通点があることを知ったふたりは
友だちとして付き合い始めます。
 
このサマーという女の子は可愛いけれど
ちょっと変わり者の不思議ちゃん。
でもきっと男性から見た女性という生物は
誰でもサマーのように不思議で理解できないのでしょう、きっと。
 
いつも一緒、セックスもする
そして大好き。
なのにサマーは最初から真剣に付き合う気はない
友だちだと言い張りました。
そして理由もわからないままサマーにトムはフラれてしまいます。
 
腐ってしまったトム。
酒を飲み、仕事をサボり、親切な仲間に八つ当たり。
悪態をついて会社まで辞めてしまいます。
全部自分勝手で、めちゃくちゃで、クソ女のサマーのせい。
悲しい、悲しい、悲しい。
 
私も前半はずっとトムに同情していました。
サマーの一方的な我儘でトムが傷ついてしまったのだと。
だけれどトムとブラインドデートした女の子との会話で
そうではなかったことを知ります。
 
「ひとつ聞いてもいい?」
「何?」
「彼女浮気した?」
「いや一度も」
「あなたの弱みに付け込んだ?」
「いや、ない」
「じゃあ傷つけたのはあなたじゃないの?」
 
トムがいちばん愛していたのは、大切だったのは
自分自身だったのです。
自分勝手だったのは、我儘だったのは、彼のほうだったのです。
そして子どもでした、妹に助けを求めるほどの。
 
リンゴ・スターを好きなことを馬鹿にする。
「卒業」を見て泣くサマー。
サマーだって本当はトムのことを愛していたのです。
 
そしてラスト、トムは少し大人になりました。
サマーとの辛く悲しかった失恋を乗り越えて
彼は成長したのです。
時が経ち季節がめぐるように、新しい出逢いも訪れます。
 
この作品も、語り継がれる恋愛映画のひとつに違いないでしょう。
しかし100%男性目線なので
女性はあまり感情移入はできないかも知れません。
 

 
【解説】allcinemaより
運命の恋を信じるナイーヴな青年が、対照的な恋愛観の女性と辿る甘くてホロ苦い500日の愛の軌跡を綴った異色のロマンティック・コメディ。真実の愛など信じないちょっと風変わりな女の子と恋に落ちた主人公に訪れる様々な感情の変遷を、その心象風景を趣向を凝らした映像で表現しつつ、男目線からリアルに描き出していく。主演は「BRICK ブリック」のジョセフ・ゴードン=レヴィットと「ハプニング」のゾーイ・デシャネル。監督はこれまで数々のミュージック・クリップを手掛け、本作で劇場長編監督デビューの新鋭マーク・ウェブ。
 グリーティングカードの会社に勤める建築家志望のライター、トム。彼はある日、アシスタントとして入社してきたサマーに一目惚れしてしまう。それが彼にとって運命的に出会った彼女との1日目だった。そして4日目には、エレベーターの中で好きな音楽の話をしたことをきっかけに、2人は会話を交わすようになっていく。28日目、トムはサマーに彼氏がいないことを知る。しかし、“恋人なんて欲しくない。誰かの所有物になるなんて理解できない”と語る彼女は、愛というものを信じていなかった。それでも、これを機に友達としてつきあい始める2人。34日目、デートのさなか、“真剣につきあう気はない”と伝えるサマーに対しトムは“気軽な関係で構わない”と答え、2人の距離感が縮まっていく。そんなトムとサマーの淡くも良好な関係は、ずっと続いていくかに思われたが…。