バファロー大隊(1960)


 
 
オープニングから画面いっぱいのモニュメントバレーの
ジョンフォード・ポイントに、流れる軽快なマーチ。
これはどんな痛快なアクション西部劇が始まるのかと
思わず胸をときめかせてしまいましたが。
 
なんと軍事法廷劇でした・・・
イキナリの大どんでん返し。笑
 
黒人だけの騎兵隊、第9連隊のラトレッジ曹長(ストロード)は
少女の暴行殺人と少女の父親である少佐殺しの犯人として逮捕されます。
町の男たちは「つるし首だ!」とわめきたてます。
彼は隊ではエースと呼ばれるほど、隊員から信頼されていました。
軍人としての数々の実績もありました。
 
「黒人のくせに・・」
 
明らかに無罪と思われる証言も証拠もあるのに
検察側の露骨な人種差別により弁護側は不利に立ちます。
 
人種差別問題を扱う法廷サスペンスといえば
真っ先に「12人の怒れる男」や「アラバマ物語」を思い出しますが
人種差別を扱いながら多くの作品は正義の味方が白人側にあるような気がしますが
ジョン・フォード・ワールドでは黒人ヒーローを描いていました。
アパッチの襲撃を知り仲間と共に戦い第9騎兵隊を救うラトレッジ曹長
死にゆく部下にラトレッジ曹長が人間の誇りについて語るシーンは
感動ものです。
 
「皮膚の色が裁判の判断材料になるなら、裁かれるべきなのは法廷だ!」
 
なにひとつ釈明しない寡黙なラトレッジ曹長がよかった。
とても気高く、ほかの白人が皆コミカルに見えてしまいます。
ただ真犯人がわかる場面はもう少し練ってほしかったですね。
ラストのキスシーンもなくてもよかった気がします。
 
・・まあいっか
ジョン・フォード監督作品なんだし。笑
 

 
【解説】allcinemaより
 第9連隊の砦内で起きた将校令嬢の暴行殺人事件。現場から逃走した黒人曹長が容疑者として逮捕される。軍法会議を中心に回想形式で事件の真相に迫る造りで、アパッチの襲撃シーンも織り込みながら、アクション西部劇としてもミステリー法廷劇としても充分の面白さを保っている。かなりきわどい題材ながら名匠J・フォードが手際良くまとめて見せた異色編。