法廷ものといったらこの人、大ベストセラー作家ジョン・グリシャム
10代から働き始めるものの低賃金に嫌気がさし
働きながら進学し、ロースクール、そして弁護士事務所を開業
1983年にはミシシッピ州議員にも当選し
小説を書き始めるようになったそうです
1984年、12歳の少女のレイプ事件の裁判の傍聴をきっかけに
しかし28社の出版社に断られ、最終的に出版できたのは1988年
しかも初版はたった5000部
ミシシッピ州を舞台にした人種問題とレイプ事件と法廷を書く
娘をレイプした白人の殺人未遂犯を撃ち殺した黒人の父親
陪審員は全員白人の中、人種のトリックと論理のすり替えで
見事に父親の無罪を勝ち取るというもの
冒頭から不穏な雰囲気
ガラの悪い白人の男二人組がトラックで黒人街にやってきて
次々と黒人たちにいやがらせをしていきます
そこにおつかいの帰りの10歳の少女が歩いている
彼らは少女をレイプし、暴行を加え、放尿し、木に吊るし
最後に川に放り捨てました
少女は奇跡的に命だけはとりとめました
当然ですが子宮は壊れ、子どもを産むことはできません
同じような事件がいくつあっても
この土地で白人は無罪釈放になってしまう
そうしたら、この鬼畜たちはまた同じ事件を繰り返すのです
父親のカール(サミュエル・L・ジャクソン)は
法廷に向かう途中の犯人たちを自動小銃で撃ち殺します
護衛の警官も膝に銃弾を受け、左足を切断する重傷を負ってしまいます
カールの弁護を引き受けたのは白人弁護士ジェイク(マシュー・マコノヒー)
そして敵対する検事はやり手のルーファス・バックリー(ケビン・スペイシー)
その一方で白人青年のフレディ(キーファー・サザーランド)は
兄をカールに殺された怒りからKKKを設立し、ジェイクにいやがらせをしてきます
(だけど何かと窮地を助けてくれる「ミッキー」って何者?笑)
誰がどうみてもレイプ犯が悪い、KKKが悪い
だけど彼らは自分と違う人種だからという理由だけで
レイプしてもかまわないし
殺したいほど憎むという感覚が存在するのです
しかもそうでない白人でさえ、黒人に対して同じ感情をもっているのです
だけどジェイクの、涙ながらの「白人でした」の最終弁論だけで
あまりにもあっさりと立場を変えた陪審員たち
法廷とは万人に平等でないし、真実が語られる場所でもない
むしろ事実でないことを真実にしてでも、勝利する場所なのです
ラストはありきたりでしたが、ハッピーエンでよかったでしょう
誰もが望んでいるのは、平和な生活と、暖かい家族なのですから
アメリカのベストセラー作家ジョン・グリシャムのデビュー作をもとにした法廷サスペンス。ミシシッピー州の街カントンで10歳の黒人少女が二人の白人青年に暴行を受けるという事件が起った。娘の哀れな姿に心を傷めたその父カール・リーは、マシンガンを持って裁判所に出向き、その青年2人を射殺してしまう。新米弁護士として働くジェイクは有能な法学生エレンの助けを借りてカール・リーの弁護を務める事になるが、この事件は彼の周りで大きな犠牲者を生み始め、やがて白人と黒人を巡る大きな社会問題へと発展してゆく……。娘思いの父親が犯した殺人事件を通じて人間の愛や絆、そしてその背景にあるアメリカの人種問題を描いた作品であるが、見た目は派手なエンターテイメントに仕上がっているものの、同じテーマを扱った傑作「白く渇いた季節」に比べると、そのテーマの重さから底の浅い作品と言わざるを得ない。