トゥー・リブ・アゲイン(1998)


16年間母親に監禁されたという女性の

実話に着想を得た1998年のアメリカのテレビ映画

構成も映像も特筆するところのない作品ですが

最後の審問会は心打たれます

 

日本でも精神疾患という理由で両親に15年間監禁され

33歳の女性が凍死した「寝屋川監禁事件」が記憶に新しいですね

家にはベニア板が貼られ、簡易トイレとタンクを備えただけの

中からは開けることのできない2畳半の空間に閉じ込められ

わずかな食事と、風呂には入れてもらえない

 

この作品のカレンという女性と全く同じ

寝屋川監禁事件」と違うのは近所の通報により

福祉関連の部署が捜査に入り、虐待の疑いで救出されたこと

 

これには日本も何かしら疑いがあれば

アメリカのように強制的に家に入り

捜査できるようにするべきだと思いました

今も多くの子どもは虐待され続けているのだから

 

母親により分裂病(まだこう呼ばれていた)だと薬漬けにされていたカレン

しかしそれはボーイフレンドとの交際を反対され、閉じ込められたせいで

PTSDを発症してしまったからです

 

ソーシャルワーカーであるアイリスと暮らすようになり

薬をやめることで次第に平穏な生活を送れるようになりますが

そこにも母親はやってきて、娘を誘拐していきます

しかも今度はカレンが暴れるという理由で精神病院に入院させるのです


端から見れば、カレンより母親のほうが明らかに異常

だけれど母親は監禁することで娘を守っているつもりなのです

しかも他人の意見を決して受け入れようとしません

 

一方のアイリスも16歳の娘を交通事故で亡くしていました

いつの間にか子どもの人生を自分の理想と取り違えてしまい

善かれと思って命令してしまう、束縛してしまう

反抗した娘は飲酒運転をし事故を起こしてしまったのです

 

アイリスは娘の死にまつわる自らの失敗を

カレンを救うことで取り返そうとしていたのかもしれません

たとえ親であってもその人生を背負ったり

支配しすぎてはいけないのです

だけど心配ゆえの支配

支配する愛というのも、親ならよくわかる

 

審問会で「生き直す」と答えるカレン

判事の「君には幸せに生きる権利がある」という言葉が響く

 

だけれどカレンのように虐待を受けても

自立出来て、生き直せた人はどれだけいるのでしょう

やはり稀な話だから映画になったのだと思います