シャイアン(1964)


 
 
「犬でさえ好きなところに行けるのに シャイアンは行けない」
 
ジョン・フォード最後の西部劇。
監督自らの自己批判と謝罪の作品といわれています。

アカデミー賞を獲得した「ダンス・ウィズ・ウルブス」に
多大な影響を与えたことでも知られているようです。

 
故郷のイエローストーンから何千キロも離れた砂漠の居留地
移住させられたシャイン族。
しかし、白人からの移住時の約束は守られず
飢えやマラリアで多くのシャイン族が死にました。

彼らは居留地を脱走し、再び故郷に戻ろうとします。
そして、先住民の子どたちに文字を教えている
教師のデボラ(キャロル・ベーカー)は
彼らの旅に同行することを決意します。
 
残酷な白人の行為を、まるでシャイン族がしたように噂は広まります。
白人はその誇大に膨れ上がった怖い話を信じ
たった数百人のシャイン族を恐れます。
 
滅ぼされようとする少数民族の悲劇の語り手は
アーチャー大尉(リチャード ウィドマーク)。
正義感に溢れ、好きな女性のためには命も厭わない
一途な男の役がよかったですね。
 
西部劇映画への主演は、ネイティブ・アメリカンの人々の
収入源であったと聞いたことがあります。
長年にわたって西部劇を撮り続けてきた監督が、
ともに仕事をし続けてきた彼らに
友情や仲間意識を感じることは当然かもしれません。


人にはそれぞれ、人のためにできることがある


それはジョン・フォード監督にとって
映画を撮影することだったのではないでしょうか。
 

 
【解説】allcinemaより
合衆国のインディアン政策によって、シャイアン族は居留地に押し込められていた。だが合衆国の約束した物資は一向にとどかない。餓えと病で多くの仲間を失った彼らは、元のイエローストーンへ戻ることを決意する。しかしその行動は反乱行為とみなされ、騎兵隊による討伐の目標となってしまう……。横暴な白人によって滅ぼされようとする、少数派民族の悲哀を描く。