おにいちゃんのハナビ(2010)

 
 
見事に涙腺が決壊してしまいました。
こんなにやさしく、愛のある「わがまま」があるでしょうか。
 
妹の華の病気のために、都会から小さな町に引っ越してきた一家。
兄の太郎は成績優秀でしたがおとなしい性格のため
学校にも地域にもなじめずひきこもりになってしまいました。
父親はタクシーの運転手で休みも取らずに働いています。
もしかしたら以前は給料の良い大きな会社に勤めていたかも知れません。
母は毎日のようにスーパーでパートの仕事。
 
華は決してそのことを態度には出しませんでしたが
心の中ではすべて自分の責任だと感じていたのでしょう。
そして自分の余命が残り少ないことも知っていたのでしょう。
 
「おにいちゃんの花火が見たいなあ~」
 
ひきこもりの兄を部屋から外に出す。
仕事をさせる。
そして地元の同級生で結成される「会」に入り花火を打ち上げる。
華は太郎にそうしてほしい、と「わがまま」を言い続けるのです。
 
ついに華に根負けして新聞配達を始めた太郎に
「お給料が出たら携帯電話を買って」とねだる華。
それだって、少しでも長く仕事を続けさせるためなのかも知れません。
自分のせいでバラバラになった家族をひとつにする・・
 
明るい華、けなげな華、やさしい華・・
自分の外見も、兄のひきこもりも、決して恥ずかしいなんて思わない
強くてたくましい華。
 
なのに死んでしまった・・・
 
再びひきこもってしまった太郎。
しかし太郎の成人の日、死んだはずの華からメールが来ます。
 
「おにいちゃんの花火が見たいなあ~」
 
華のために、華が見たかった花火を打ち上げる。
太郎は再び部屋を出ます。
 
とてもストレートな物語。
先の読める展開、わかりきったラスト
だけれど涙が止まらないのです。
思い出しただけで感動でジーン・・ときます。
 
実話なんですね。
現在でも片貝町でお兄さんは妹のために
毎年花火を打ち上げているそうです。
 
とにかく泣けました。笑
お気に入りで。
 

 
 
【解説】allcinemaより
400年の伝統とギネスにも認定された世界一の花火を誇る新潟県小千谷市片貝町の“片貝まつり”を舞台に、そこで打ち上げられたある花火に秘められた兄と妹の深い愛と絆の実話から誕生した感動の物語を綴るハートフル・ドラマ。主演は「ボックス!」に続いての共演となる高良健吾谷村美月。監督はテレビを中心に活躍しこれが劇場用長編映画監督デビューとなる国本雅広。
 片貝町で年に一度行われる片貝まつりでは、町民たちがスポンサーとなり、様々な願いとともに神社に奉納する形で花火を打ち上げる。個人や家族単位のほかに、地元中学の同級生たちで結成された“会”もその主要なグループとなっていた。とくに“会”は、成人の時を最初に、還暦まで人生の節目節目で花火を打ち上げ、互いの絆を深めていくという。そんな片貝町に病気療養のため5年前に引っ越してきた須藤華。半年ぶりに退院した彼女は、自慢の兄・太郎が中学3年で転校して以来ずっと友だちも出来ず、高校卒業と同時に引きこもりになっていたことを知る。病気に苦しみながらも明るく前向きな華は、兄に元気になってもらおうと、強引に外へ連れ出し、バイトを見つけたり、よそ者扱いされていた片貝まつりの成人会に無理やり参加させようとしたりする。そんな華に困惑しながらも、少しずつ勇気を持ち始めた太郎。そんな矢先、華の病状が悪化し、再入院となってしまう。華が楽しみにしていた花火を見せてあげたいと、自ら出向き、成人会に入会させてもらう太郎だったが…。