コールドゲーム【荻原浩】(2005)


 
 
人気作家である荻原浩氏ですが、一冊も読んだことがないので
数冊借りてきてみました。
タイトルからは高校野球ものかなと思ったのですが。
乙一氏とはまた違う雰囲気の、青春ミステリーホラーというところですね。
 
いじめられっ子の復讐と、それくいとめようようとする高3の主人公たちの物語。
中学2年の頃にクラス全員で残虐ないじめていた
おとなしくて小柄だった「トロ吉」。
4年後、彼が当時のクラスメイトひとりひとりに残酷な復讐を果たしに来ます。
しかも身長は高く身体は逞しくなり、軍服にロンドンブーツ
赤いモヒカン頭という変貌を遂げて。
 
いじめという内容は、やはり読んでいてとても不快ですね。
ただ、この作品で、そうかもな・・と思ったのは
「いじめ」というのは、いじめられた本人同様に、もしかしたらそれ以上に
親の方が発狂するほど辛いかもしれないだろうな。と、いうことです。
いじめた人間を、それを知って黙認していた人間を
許すことはできないかも知れません。
 
しかし「いじめ」を考えるというよりは、やはりミステリーホラーですね。
後味の悪い「少年たちのひと夏の冒険」でしょう。
サイコ風で、最後まで一気に読めました。
登場人物の殆どが高校生なので
10代の方が読んだらもっと共感できると思います。
 

 
【あらすじ】新潮社ホームページより
高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく……。犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前、クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが――。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。