TV番組作成現場の舞台裏を描いた
でも、「破線のマリス」は読んでいないのですけど。笑
報道番組『ナイン・トゥ・テン』に売春の元締めとして報じられた女子高生が
全裸で首を吊り死にます。
『ナイン・トゥ・テン』の競合テレビに出演し
恋人を番組に殺されたと訴え涙する美青年、八尋樹一郎。
八尋は視聴者の同情と人気を集め
メディア界のカリスマとなり多くの信者を抱えるようになります。
しかしそれは、八尋によって綿密に計画された完全犯罪への幕開けだったのです。
報道被害について、報道は責任を負うのか。
八尋という邪悪なモンスターを通じて、私たちは問いかけられます。
今、私たちは原発についても、政治についても、他国との関係についても
いろいろな問題を、テレビなどの報道を通じて情報を得ることが多いですよね。
それは本当に真実を伝えているものなのか
他局との視聴率の競い合いのために、面白く刺激的にエッセンスを多く加えたものか
見極めるのはとても難しいことです。
しかし現実には、巧みに編集され
そして、魅力的でカリスマ性のある人間が報じた言葉のほうを
多くの視聴者は信じるような気がします。
報道被害について、報道は責任を負うのか・・
謝罪の言葉ひとつでおわり、それが報道でしょう。
携帯からの指令一つで、何千人もの若者を動かすことができるという設定などは
あまりにもおおげさかな・・とも思いましたが
野沢小説の魅力である病的さや狂気さは、この作品でも堪能はできました。